アスベスト(石綿)健康被害救済給付の概要

医学的な判定(概要フロー図のB

機構は、現在療養中の方からの認定申請書等やご遺族からの特別遺族弔慰金・特別葬祭料請求書等及びこれら申請・請求の添付書類について内容確認をし、医学的判定を要する事項について、環境大臣に判定を申し出ます。

環境大臣はこの判定の申出に対して、中央環境審議会の意見を聴いたうえで、医学的な判定を行い機構に対し判定の結果を通知します。

<参考>認定に係る医学的判定の考え方について(※)

1) 中皮腫

中皮腫については、そのほとんどが石綿に起因するものと考えられることから、中皮腫の診断の確からしさが担保されれば、石綿を吸入することによりかかったものと判定するものであること。

なお、中皮腫は診断が困難な疾病であるため、臨床所見、臨床検査結果だけでなく、病理組織診断に基づく確定診断がなされることが重要であり、また、確定診断に当たっては、肺がん、その他のがん、胸膜炎などとの鑑別も必要であること。このため、中皮腫であることの判定に当たっては、病理組織診断記録等が求められ、確定診断が適正になされていることの確認が重要であること。
しかしながら、実際の臨床現場においては、例えば、病理組織診断が行われていなくても、細胞診断でパパニコロウ染色とともに免疫染色などの特殊染色を実施した場合には、その他の胸水の検査データや画像所見等を総合して診断を下すことができる例もあるとされているなど、病理組織診断が行われていない事案も少なくないと考えられることから、判定に当たっては、原則として病理組織診断による確定診断を求めるものの、病理組織診断が行われていない例においては、臨床所見、臨床経過、臨床検査結果、他疾病との鑑別の根拠等を求め、専門家による検討を加えて判定するものであること。

2) 肺がん

肺がんについては、原発性肺がんであって、肺がんの発症リスクを2倍以上に高める量の石綿ばく露があったとみなされる場合に、石綿を吸入することによりかかったものと判定するものであること。

肺がんの発症リスクを2倍以上に高める量の石綿ばく露があったとみなされる場合とは、国際的にも、約25本/ml×年以上のばく露があった場合であると認められており、また、これに該当する医学的所見としては、次のアからエまでのいずれかに該当する場合が考えられること。

  1. (ア) 胸部エックス線検査又は胸部CT検査により、胸膜プラーク(肥厚斑)が認められ、かつ、胸部エックス線検査でじん肺法(昭和35年法律第30号)第4条第1項に定める第1型以上と同様の肺線維化所見(いわゆる不整形陰影)があって胸部CT検査においても肺線維化所見が認められること。
    なお、「じん肺法(昭和35年法律第30号)第4条第1項に定める第1型以上と同様の肺線維化所見」とは、あくまでも画像上の所見であり、じん肺法において「石綿肺」と診断することとは異なるものであること。
  2. (イ) 胸部正面エックス線写真により胸膜プラークと判断できる明らかな陰影が認められ、かつ、胸部CT画像により当該陰影が胸膜プラークとして確認されるもの。この場合において、胸膜プラークと判断できる明らかな陰影とは、次の(ア)又は(イ)のいずれかに該当する場合をいう。
    1. (ア) 両側又は片側の横隔膜に、太い線状又は斑状の石灰化陰影が認められ、肋横角の消失を伴わないもの。
    2. (イ) 両側側胸壁の第6から第10肋骨内側に、石灰化の有無を問わず非対称性の限局性胸膜肥厚陰影が認められ、肋横角の消失を伴わないもの。
  3. (ウ) 胸部CT画像で胸膜プラークを認め、左右いずれか一側の胸部CT画像上、胸膜プラークが最も広範囲に描出されたスライスで、その広がりが胸壁内側の4分の1以上のもの。
  4. (エ) 次の(ア)から(オ)までのいずれかの所見が得られること。
    1. (ア) 乾燥肺重量1g当たり5,000本以上の石綿小体
    2. (イ) 乾燥肺重量1g当たり200万本以上の石綿繊維(5μm超)
    3. (ウ) 乾燥肺重量1g当たり500万本以上の石綿繊維(1μm超)
    4. (エ) 気管支肺胞洗浄液1ml中5本以上の石綿小体
    5. (オ) 肺組織切片中の石綿小体(複数の肺組織切片を作製した場合には、そのいずれにも石綿小体が認められる必要がある。)

3) 著しい呼吸機能障害を伴う石綿肺

石綿肺については、大量の石綿へのばく露、胸部CT写真を含む画像所見、呼吸機能検査所見といった情報をもとに総合的に判定するものであること。また、石綿以外の原因によるびまん性間質性肺炎や肺線維症等と鑑別を適切に行うためには、症状の経過、既往歴、喫煙歴といった情報も必要であること。

具体的な石綿肺の判定の考え方については次のアからウまでによるものであること。

ア 石綿へのばく露の確認について

石綿肺の判定に当たっては、大量の石綿へのばく露を確認するため、石綿肺を発症し得る作業への過去の従事状況等について確認を行うものであること。

  1. (ア) 石綿肺を発症し得る作業への従事状況について、機構は従事していた事業場の 名称や所在地、石綿にばく露した当時の状況(作業の内容、時期、期間、場所等)を本人や遺族等から聴取するとともに、その内容を可能な限り各種の資料によって確認を行うものであること。なお、石綿肺を発症しうる作業については、平成24年3月29日付厚生労働省労働基準局長通知「石綿による疾病の認定基準について」に列挙された「石綿ばく露作業」(以下「石綿ばく露作業」という。)等を参考として幅広く確認するものであること。
  2. (イ) 石綿肺を発症し得る作業への従事状況が明らかでない場合は、大量の石綿へのばく露を客観的に示す資料等をもとに、総合的に評価するものであること。
    なお、肺内の石綿小体計測結果や石綿繊維計測結果が提出された場合の評価については、石綿肺を発症し得る肺内の石綿小体や石綿繊維の量は肺がんの発症リスクを2倍以上に高める石綿ばく露量よりも多いとする報告もあるが、医学的知見が集積されるまでの間は救済の観点から、②エによるものとすること。

イ 画像所見の確認について

  1. (ア) 石綿肺の判定に当たっては、胸部単純エックス線写真により、じん肺法に定め る第1型以上と同様の肺線維化所見が認められることが必要であること(ただし、大陰影のみが認められる場合を除く。)。この際、胸部の所見を的確に把握するためには、胸部CT写真、特にHRCT(High Resolution Computed Tomography:高分解能CT)写真が有用であること。
  2. (イ) 一時点のみの画像所見で所見の確認をすることができない場合は、病状を勘案 し、1年又は2年など一定の期間を置いて再度撮影し、所見の変化を確認することが望ましい。また、過去に撮影した写真により、遡って所見の変化を確認できるのであればこれを活用すること。

ウ 著しい呼吸機能障害の有無の判定について

呼吸機能検査の結果、以下の(ア)から(ウ)までのいずれかの場合に、著しい呼吸機能障害と判定すること。

  1. (ア) パーセント肺活量(%VC)が60%未満であること。
  2. (イ) パーセント肺活量(%VC)が60%以上80%未満であって、1秒率が70%未満であり、かつ、%1秒量が50%未満であること。
  3. (ウ) パーセント肺活量(%VC)が60%以上80%未満であって、動脈血酸素分圧(PaO2)が60Torr以下であること、又は、肺胞気動脈血酸素分圧較差(AaDO2)の著しい開大が見られること。

なお、これらの基準に係る正常予測値については、以下の予測式を用いること。

日本呼吸器学会(2001年)による肺活量予測式

男性

0.045×身長(cm)-0.023×年齢(歳)-2.258

女性

0.032×身長(cm)-0.018×年齢(歳)-1.178

日本呼吸器学会(2001年)による1秒量予測式

男性

0.036×身長(cm)-0.028×年齢(歳)-1.178

女性

0.022×身長(cm)-0.022×年齢(歳)-0.005

また、肺胞気動脈血酸素分圧較差(AaDO2)の著しい開大が見られることとは、じん肺診査ハンドブック(労働省安全衛生部労働衛生課編(改訂第4版))P74の表6に年齢ごとに記載されている「著しい肺機能障害があると判定する限界値-AaDo2(男性,女性)」を超える場合をいうものであること。
なお、これらに係る判定基準を僅かに満たさない場合であっても、その他の呼吸機能検査の結果(運動負荷時の呼吸困難を評価する指標、自覚的呼吸困難を評価する指標等)が提出された場合には、救済の観点から、これらの結果を加えて総合的に判定を行うことが望ましいこと。

4) 著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚

びまん性胸膜肥厚については、大量の石綿へのばく露、胸部CT写真を含む画像所見、呼吸機能検査所見といった情報をもとに総合的に判定するものであること。また、石綿へのばく露とは無関係なびまん性胸膜肥厚もあることから、鑑別を適切に行うためには、病状の経過、既往歴、喫煙歴といった情報も必要となること。

具体的なびまん性胸膜肥厚の判定の考え方については次のアからウまでによるものであること。

ア 石綿へのばく露の確認について

びまん性胸膜肥厚は、石綿へのばく露とは無関係なものもあることから、判定に当たっては、石綿へのばく露状況の確認を行うことが重要であること。具体的には、石綿ばく露作業への従事期間がおおむね3年以上あることが必要であること。また、石綿ばく露作業への従事状況の確認方法については、2(4)③ア(ア)の石綿肺の場合の考え方と同様に扱うものであること。

イ 画像所見の確認について

びまん性胸膜肥厚の判定に当たっては、胸部単純エックス線写真により頭尾方向(水平方向の広がりでない。)に、片側にのみ肥厚がある場合は側胸壁の1/2以上、両側に肥厚がある場合は、側胸壁の1/4以上の胸膜の肥厚を確認できる必要があること。また、胸膜プラーク等との鑑別のため、胸部CT画像所見も併せて評価する必要があること。
なお、複数時点において撮影した写真を用いるなど、経時的に所見の変化を確認することが望ましいこと。

ウ 著しい呼吸機能障害の有無の判定について

びまん性胸膜肥厚による呼吸機能障害は拘束性障害であることから、2(4)③ウの石綿肺の場合の考え方と同様に扱うこととすること。

※「石綿による健康被害の救済に関する法律における指定疾病に係る医学的判定に関する考え方等の改正について(通知)」(環保企発第1306182号平成25年6月18日環境保健部長通知)より抜粋

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