アスベスト(石綿)とは?

アスベスト(石綿)による健康障害のメカニズム

アスベスト(石綿)は、ヒトの髪の毛の直径(40μm~100μm※1)よりも非常に細く(クリソタイル(白石綿)の直径0.02-0.08μm、クロシドライト(青石綿)0.04-0.15μm、アモサイト(茶石綿)0.06-0.35μm)、肉眼では見ることができない極めて細い繊維からなっています。そのため、飛散すると空気中に浮遊しやすく、吸入されてヒトの肺胞に沈着しやすい特徴があります。吸い込んだ石綿の一部は異物として痰の中に混ざり体外へ排出されます。しかし、石綿繊維は丈夫で変化しにくい性質のため、肺の組織内に長く滞留することになります。この体内に滞留した石綿が要因となって、肺の線維化やがんの一種である肺がん、悪性中皮腫などの病気を引き起こすことがあります(※2)。

石綿繊維は細くて長いものほど有害性が高くなるといわれています。肺内に滞留した石綿繊維を白血球の一種であるマクロファージが排除しようとしますが、長い繊維は排除されにくく体内に長く滞留するためと考えられています。

また発がん性は、石綿の種類によって異なり、角閃石族のクロシドライト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)の方がクリソタイル(白石綿)よりも発がん性が高いとされています。

石綿を吸い込んだ量と中皮腫や肺がんなどの発病との間には相関関係が認められていますが、どの程度以上の石綿を、どのくらいの期間吸い込めば、中皮腫になるかということは明らかではありません。

※1 1μm=10-6m=0.001

※2 石綿繊維により長期間にわたって炎症がおこり、肺の組織が傷つけられ続けることで線維化が生じます。また、発生した活性酸素によりDNAが損傷された結果、遺伝子異常が起こり、細胞ががん化する可能性が考えられています。

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