現在位置:環境再生保全機構 > ぜん息などの情報館(一般の方) > 慢性閉塞肺疾患(COPD)基礎知識 > COPD Q&A

COPD Q&A

慢性気管支炎・肺気腫は慢性閉塞性肺疾患(COPD)と呼ばれ、主に喫煙が原因といわれています。ここで紹介するQ&Aは、COPDの患者さんからよく寄せられる質問について、野村 浩一郎(のむら こういちろう)国立東静病院呼吸器科医長に答えていただきました。
なお、慢性気管支炎、肺気腫(COPD)に関する基礎知識もご覧ください 。

COPDの原因
COPDの症状
COPDの療法

COPDの原因

QCOPDの原因はなんでしょうか?
A
乳慢性気管支炎、肺気腫(はいきしゅ)の発症の危険因子は、次のようなものが考えられています。
  1. 加齢(老化)
  2. 喫煙(長期の受動喫煙も含む)
  3. 気道感染
  4. 大気汚染(産業都市、職業的暴露)
  1. 加齢:慢性気管支炎、肺気腫は60歳以上の中高年の男性に多くみられます。長年の喫煙が主な理由ですが、老化そのものによる影響もあると考えられています。
  2. 喫煙:たばこを吸う人の約15%がCOPDになるといわれています。すなわちCOPD発症の最大の危険因子は喫煙です。もちろん1日に吸うたばこの本数と吸った期間にも影響されます。一般に、たばこ歴を図る指数をブリンクマン指数(1日の本数×年数)という数値で表し、おおよその目安にしています。指数が700を超えると慢性気管支炎・肺気腫だけでなく、肺癌や心臓病などにも明らかに悪い影響が出てくるといわれています。最近、若い女性の喫煙者が増えており、将来女性の肺気腫が増えることが懸念されています。
  3. 気道感染:繰り返す気道感染(かぜをこじらせてせきやタンが増える)が、COPDの発症や進行の原因と考えられています。中でも乳幼児期の重症のウィルス性呼吸器感染が、発症の原因になる可能性があるといわれています。
  4. 大気汚染:現在は、日本の工業地帯でもSO2(二酸化硫黄:亜硫酸ガス)については改善が進んでいますので、以前ほどの影響はありませんが、自動車の排気ガス、特にディーゼル車の排気ガスについては影響が懸念されています。

このページの先頭へ

COPDの症状

Q慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは、どのような病気でしょうか?
A

慢性閉塞性肺疾患(まんせいへいそくせいはいしっかん)は、英語の chronic(慢性)obstructive(閉塞性)pulmonary(肺)disease(疾患)を日本語に訳したもので、その頭文字を取ってCOPD(シーオーピーディ)と呼びます。COPDはひとつの疾患ではなく、慢性気管支炎または両者の併発により引き起こされる閉塞性換気障害を特徴とする疾患です。これらの疾患は、長い時間をかけて、気道(空気の通り道)が閉塞(せまくなる・つまる)した状態になるのが共通した特徴です。

※閉塞性換気障害
肺活量は普通に近い値でも、気道がせまくつまっているため息を一気に吹き出すことができず、最初の1秒間に吹き出す空気の量(1秒量)が全体の70%以下になる状態。

慢性気管支炎は、長時間にわたる気管支の炎症により気管支粘膜が肥厚(ひこう:肥大して厚くなる)するため、内腔(空気の通り道)はせまくなり、また過剰に分泌されたタンにより気管支がつまってしまう病気です。 医学的には、「持続性のせきとタンがふた冬を越えて、1年に3か月以上も毎日続く状態」と定義されています。 症状は、長く続くせきとタン、ひどくなると息切れも自覚するようになります。

肺気腫(はいきしゅ)は、長年の喫煙などにより、ガス交換(体に酸素を取り入れ、二酸化炭素をはき出す)の場である肺胞(はいほう:細気管支の先にあるぶどうの房状のもの)が壊れ、数が減るとともに壊れた肺胞が大きく膨(ふく)らんで弾力性や収縮性を失うために、息をはく時に肺胞の出口の気管支がつぶれてしまいます。そのため酸素を失った空気が肺胞に残り、酸素の多い新鮮な空気を吸いこむことができず、息切れを起こしやすくなるのです。 医学的には、「肺胞壁の破壊を伴い、終末細気管支より末梢の気腔(きくう)が異常に拡張した状態」と定義されています。 症状は、階段や坂道を昇るときに息切れを自覚するのが始めで、ひどくなると、平地を歩いているときやちょっとした動作でも息切れを自覚するようになります。

Qなぜ息が切れるのでしょうか?
A

慢性気管支炎・肺気腫(はいきしゅ)に共通した症状は、体を動かしたときの息切れ、呼吸困難です。中高年になって症状が現れるため、始めは“年のせい”と考えがちですが、たばこを吸っている方で坂道や階段を休み休みでないと昇れなくなったと感じるようなら、この病気を疑う必要があります。

慢性気管支炎の症状は、長年にわたり続くせきとタンが特徴ですが、ひどくなるとぜん鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)や発作性呼吸困難などのぜん息様の症状を伴うことも少なくありません。

気道の炎症が進み、せまくなった気管支にタンがつまると呼吸をするのに大きな負担がかかるため、呼吸困難を自覚します。細いストローをくわえて呼吸をすると苦しくなるのと似ています。

肺気腫は、長年にわたる喫煙により肺胞が壊れ、数が減るとともに壊れた肺胞が大きく膨らんで弾力性や収縮性を失うために、息をはくときに肺胞の出口の気管支がつぶれてしまいます。そのため酸素を失った空気が肺胞に残り、酸素の多い新鮮な空気を吸いこむことができず、息切れを起こしやすくなるのです。肺胞の破壊が進むと動脈の血液中に十分な酸素を取り込むことができず、慢性的な酸素欠乏の状態(慢性呼吸不全)となってしまいます。
血液中の酸素が十分であっても息苦しさを自覚することがあります。過度に拡張した肺や胸郭(きょうかく:肋骨(ろっこつ)で囲まれ肺や心臓を入れる空洞)の不快感、せまくなったりつぶれやすい気管支を通して呼吸するための呼吸筋への負担と疲労感、呼吸困難に対する心理的不安、加齢に伴い体力や足腰の筋力が落ちるため疲れやすくなるなど、様々な原因が複雑にかかわって“息切れ・呼吸困難”という症状をつくりだします。あなたの感じる“息切れ・呼吸困難”がどのような原因によるものか、専門医に正確に診断していただくことが大切です。

このページの先頭へ

COPDの療法

QCOPDの薬剤の効果と副作用を教えてください。
A
慢性気管支炎、肺気腫(はいきしゅ)などのCOPDは、なんらかの原因で空気の通り道である気管支がせまくなったり、タンなどがつまってしまう疾患です。したがって、COPDに用いられる薬剤は、せまくなった気管支を広げる作用、むくんだ気管支の炎症を抑える作用、タンを切れやすくする作用、せきを抑える作用、気道感染を抑える作用をもっています。

主な薬剤の作用と副作用は次の通りです。

  1. β(ベータ)2刺激薬:交感神経刺激薬ともいいます。せまくなった気管支を広げ、空気の通りを楽にします。内服薬と吸入薬があります。
    副作用は、けいれん、動悸(どうき)、頭痛、そわそわした感じ、不安感などです。
  2. 抗コリン薬:気管支の収縮を予防し、タンの分泌を抑えます。効果が現れるまで15分ほどかかり、30〜90分でピークに達します。
    副作用は、動悸、まれに前立腺肥大患者の方に尿閉(にょうへい:尿が出にくくなる)を起こしたり、緑内障を悪化させることなどです。
  3. テオフィリン薬:気管支を広げる作用や呼吸筋力の増強効果があります。
    副作用は、食欲不振、悪心(おしん:胸の不快感、むかつき)、動悸、頭痛、けいれんなどです。
  4. 去タン剤:タンを柔らかくして切れやすくします。
  5. ステロイド薬:気管支の炎症を抑え、むくみを取りタンの分泌を抑えます。吸入薬と内服薬があります。
    副作用は、声のかれ、咽頭部違和感、口腔内(こうこうない)カンジダ症(口の中に白い斑点ができる)などです。
  6. 抗生物質:気道の細菌を殺し、感染の進展を防止します。

吸入薬の使用法
抗コリン薬とステロイドの吸入薬は、毎日決まった時間に定期的に吸入するものです。β刺激薬はゼーゼーしたり息苦しいときに必要に応じて使うのが原則です。いずれもボンベをよく振り、吸う息に合わせて噴射し、ゆっくり深く吸い込んで、しばらく息を止めてから息をはくようにします。スペーサー(吸入補助器)を使うと、呼吸のタイミングの合わない方には効果的です。薬剤師にご相談ください。

ぜん息基礎知識「ぜん息の薬」

Q在宅酸素療法を受けています。息苦しくないときは、酸素吸入をしなくてもよいでしょうか?
A

在宅酸素療法は、種々の原因による慢性呼吸不全(動脈血酸素分圧 60Torr(トル)以下)の方で、1か月以上の間病状が安定した状態で、以下の条件を満たす患者さんが適応となっています。
※動脈血酸素分圧:動脈を流れる血液中の酸素の含有量。圧力の単位で表します。
1Torr = 1 mmHg

  1. 安静、空気呼吸下で動脈血酸素分圧が 55Torrに満たない方。
  2. 上記条件で動脈血酸素分圧が 55Torr以上60Torr以下でも、臨床的に明らかな肺性心(肺性心疾患:各種の肺疾患や肺血管性疾患などにより、二次的に生じた心臓障害)、肺高血圧症(平均肺動脈圧20Torr以上)、睡眠中あるいは運動時に長時間にわたり著しい低酸素血症を起こす方で、医師が必要であると認めた方。

つまり、在宅酸素療法は息苦しさを解消するために処方されているわけではないのです。息苦しさは個人差の大きい症状です。酸素不足の状態であっても息苦しさを自覚しない方もいます。しかし、酸素不足の状態を長時間放置していると、心臓などに大きな負担かかかり悪影響が出てしまいます。在宅酸素療法はこの状態を予防するために処方されているのです。ですから、たとえ息苦しさを感じなくても処方された酸素量を守って、できるだけ長い時間吸うことが大切です。

また、在宅酸素療法を始めたからといって、じっとしていなければいけないわけではありません。むしろ、酸素を吸いながら積極的に体を動かしていくというように考えることが大切です。外出や旅行なども可能です。

Q呼吸リハビリテーションとはどのようなものなのでしょうか?
A
呼吸不全の患者さんは、ベッドに横になっていれば、何の不自由も感じませんが、外出して階段や坂道を歩いたりすると息切れを感じます。
症状がひどくなると、入浴やトイレなどへ行くのにも息切れを感じるようになります。そして、ベッドにいることが多くなり、最後にはベッドから離れようと思っても離れられなくなってしまいます。
これは、呼吸不全からくる息切れと動かないことによる手足の筋肉の衰えが重なり合い、ますます動作ができなくなっているのです。
この状態から少しでも抜け出るようにお手伝いするのが呼吸リハビリテーションです。呼吸不全といっても、肺の全てが障害されている訳ではありません。健全な部分もあるのですが、多くの患者さんは健全な部分を十分に生かし切れずに息切れで悩んでいることが多いのです。
呼吸リハビリテーションとは呼吸不全の仕組みを理解して、肺の健全な部分をできるだけ生かしながら呼吸不全と上手につき合える生活を得るために、多くの職域にわたる専門家チームの協力、すなわちチーム医療によって実施され、患者さん及びその家族の方に対して、継続的に実施していくものです。

※「ぜん息などの情報館」では、一部固有名詞に関して「ぜん息」、一般名称は喘息(ぜんそく)と表記しています。

ぜん息やCOPD等に関する情報提供を通じ、患者やそのご家族の方をサポート致します。