地球温暖化

気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15) 及び京都議定書第5回締約国会合(CMP5)の結果概要(速報)

2009年12月7日から19日まで、デンマークのコペンハーゲンで、COP15とCMP5が開催されました。この会議には、192カ国・地域から約4万人が参加しました。

今回のCOPの特徴

これまでのCOPと比べて最も大きな特徴は、各国の首脳が多数参加したことです。これまでは、2週間の会期の最後に環境大臣等の閣僚級会合が行われて結論がとりまとめられることが多かったのですが、今回は日本の鳩山総理大臣、アメリカのオバマ大統領、中国の温家宝首相をはじめ、115もの国から首脳たちが集まり、初の首脳級会合が行われました。

これまでのCOPも、毎回数千人が参加する大きな国際会議でしたが、今回は最終的な参加登録者総数が4万人を超えるというかつてない規模となりました。このため、会場の収容可能人員や警備上の問題から、各国代表団以外の一般参加者の入場が厳しく制限されることとなってしまいました。

COP15:結論に至る経緯

現在、京都議定書の締約国である日本などの先進国は、温室効果ガスの削減目標を掲げて努力を進めています。この京都議定書の第一約束期間は2008年から2012年です。この期限の後、どのような枠組の元で国際的な温暖化対策を進めるか(次期枠組)を検討するのが、今回のCOP15の最も重要な議題でした。しかし残念なことに、最終的な合意に至ることはできませんでした。

2週間にわたる会期の前半は、2つの作業部会による交渉が行われたのですが、京都議定書の延長や強化を主張する開発途上国と、京都議定書にはアメリカ、中国、インドなどの温室効果ガス大量排出国が参加していないので、これらの国による削減を推進すべきとする先進国との対立が解消されず、実質的な進展がなかなかみられませんでした。

各国首脳が集まり始めた12月17日夜から、日、米、欧、中、印、小島嶼国など、主要な26カ国・機関の首脳陣により「コペンハーゲン合意」の案について議論が行われ、関係した首脳陣ではいったん合意が得られました。

しかし、最終決定機関であるCOPの全体会合では、数カ国がこの合意の作成過程が不透明であったことを強く非難し、合意の採択に反対しました。スーダン代表は、コペンハーゲン合意が「産業化以前からの気温上昇を2℃以内に抑える」ことを取り上げ、IPCCの報告からみても、1.5℃以内に抑えないと、アフリカ諸国は致命的な被害を受けると強く主張しました。一方、この合意は決して完全なものではないが、この場で何らかの合意がなければ次のステップには進めない、一刻も早く取組を進めなければならないと、反対する国の説得を試みる小島嶼国代表などもいました。このように、従来は“一枚岩”とみなされていた途上国間で明らかな意見の対立がみられたのも、今回のCOPが初めてのことでした。

最終的に、コペンハーゲン合意は「COPがこの合意に留意する」と決定されました。

コペンハーゲン合意の主な内容

コペンハーゲン合意は、世界全体の長期目標として、産業化以前と比較して、世界の気温上昇を2℃以内に抑えることを掲げています。このために、この合意に賛同する国は、2010年1月31日までに、削減目標(先進国)や削減行動(途上国)を届け出ることになっています。届け出られた目標や行動の内容は、この合意に用意されている別表に記載されます。

届け出た目標や行動は、きちんと取組まれているかどうかを確認するために、測定・報告・検証(Measurement, Reporting and Verification:MRV)が可能なものとすることになっていますが、途上国が自主的に行う行動は、国内の検証を得るのみです。中国などの温室効果ガスを大量に排出している途上国が、自分たちの取組はあくまでも自主的なものであり、温暖化の責任を負うべきは先進国であるとの立場を強く主張したため、国際的な検証の対象となるのは、先進国からの支援を受けて行う削減行動のみとなりました。途上国の温暖化対策支援のため、先進国は、2010~2012年の間に300億ドル、2020年までには年間1,000億ドルの資金供与を目標とすることを約束しました。

今後の予定

2010年の11月末から12月にかけて、今度はメキシコでCOP16が開催されます。その次は、2011年の年末に南アフリカでCOP17が開催される予定です。今回の「合意への留意」を足がかりとして、これらの会議で実質的な進展が得られるかどうかは、今後の各国の取組にかかっています。

出典:

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