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地球環境基金×スペースふう×明治大学プログラム評価研究所「ロジックモデルを活用したマネジメント支援」フォローアップを実施

平成30年2月27日(火)スペースふう事務所において「ロジックモデルを活用したマネジメント支援」のフォローアップ(最終回)を実施しました。
 今回は、最終回の訪問として自走を促進するため品質経営の提案を行うとともに、スペースふうの取組の進捗確認を行いました。

カイゼンから始める品質経営

北大路氏から品質経営について説明が行われた。
 スペースふうでは、ロジックモデルの作成が行われ、プログラム評価の実施基盤はできている。今後新たな作戦手段への取り組みが必要となるが、特に重要なのが、現在の活動の質のカイゼンである。カイゼンにより資源の効率的活用が可能となり、限られた資源を新たな取組に振り向けることができる。これに取り組むには品質経営の考え方を知ってほしい。
 品質経営は、QC(Quality Control)→TQC(Total Quality Control)→TQM(Total Quality Management)へと前段階の管理要素を受け継ぎながら発展してきた。QCでは良いモノを送り出す製造の品質への適合であったのに対し、現在のTQMでは、社会に適合するための経営の品質が問われている。
 経営の質の良さとは5つに定義されている。①仕様・規格への適合、②目的への適合、③顧客の期待の充足、④品質要件と結果の整合性、⑤顧客・社会からの支持である。単に仕様に適合している、顧客のニーズを満たすにとどまらず、社会からの支持「スペースふうのファンがいる」というところまで求められている。
 品質経営には、日常管理と方針管理がある。日常管理は「品質を保証する」管理であり、方針管理は「新たな価値を創造する」改善していくための管理である。方針管理はロジックモデルの作戦と同じと考えてほしい。
 経営の品質を確認する要件として、ISO9001を紹介したい。ISO9001は今良いかをチェックするのに対し、TQMは良い方向に変化していくかを重視しているところに違いがある。スペースふうでも要件に適合しているかチェックしてみてほしい。
 TQMの基盤となる取組に日常管理のムダとりがある。ムダは7つと定義されている。①つくりすぎのムダ、②手持ちのムダ、③運搬のムダ、④加工そのもののムダ、⑤在庫のムダ、⑥動作のムダ、⑦不良をつくるムダである。なぜムダが起こるのか原因を追及してみてほしい。
 同様に「5S」も日常管理でカイゼンすべき箇所を可視化するのに不可欠な活動である。①整理、②整頓、③清掃、④清潔、⑤躾である。5Sは基本的なことすぎて軽視されがちだが、取り組むと結構効果がある。
 カイゼンには終わりがない、カイゼンすればするほど、もっとカイゼンすることが出てくる。日常管理のカイゼンから品質経営に向かっていく。ぜひ取り組んでみてほしい。

○スペースふう「ロジックモデル」

動き始めたカイゼン

カイゼンの取組について説明を行ったところだが、実際にスペースふうでは、すでに自主的にカイゼンが始まっていることが確認できた。

1.体制の見直し

スタッフ2名が退職したことを契機に体制を立て直した。
 事務局長を新たに設置するとともに、理事が、事業部と管理部のサポートを強化することで、人手不足を補い、工夫により解決していくこととした。また、事務局長が、理事長、理事が行っている普及業務に参画し、普及に向けた提案に取り組むこととした。
 これらは、ロジックモデルにある「スペースふうの業績が向上する」ための「関係性の改善」や、「普及活動に取り組む体制の強化」が具体的なアクションとして実行されたものとも言える。

2.デイリーシフト表のカイゼン

ロジックモデルでは「スペースふうの業績が向上する、労働環境・条件の良い職場になる」ための解決策として「関係性の充実」が挙がっていた。
 以前からホワイトボードを使って今後の予定を書いていたが、あまり使われていなかった。ホワイトボードで全員の分担が一目で分かるように、個人別デイリーシフト表としてカイゼンし、情報共有することにした。作業も色分けマグネットでわかりやすくした。

3.ヴァンフォーレ専用デスクの設置

これまでJリーグ「ヴァンフォーレ甲府」の試合関係の受注については、事務室一番奥のデスクで処理しており、スタッフ内の情報共有が難しかった。
 これを改善するため、電話、帳票、バインダー、かばん、ホワイトボードを事務室真ん中のデスクに集約し、ヴァンフォーレの情報が一目でわかるようカイゼンした。また、手順ごとの専用バインダーをつくり、ミスを防止するとともに、試合に持って行くバインダーは、かばんに入る小さいサイズにした。

自分たちが変わったと実感

1年間に亘って行われた「ロジックモデルを活用したマネジメント支援」を受けて、スペースふうのスタッフからは、自分たちが変わったと実感している旨の感想が聞かれた。ロジックモデルの策定は方針を作っていくことに留まらず、コミュニケーションの場でもある。ロジックモデルの策定により行動変容が起こったことが確認できた。

私たちみたいなNPOはどこにでもある。志で組織を立ち上げたメンバーと途中から参画したメンバーとは、もともとの温度差があり、ワークショップをした時、意識の違う人たちが話して大丈夫かなと思った。ところがワークショップで、みんなの意識が合っていることに気づいた。
 東京での選抜チームの研修は、一つの起爆剤となった。これまでは、何でも横一列だったので、選ばれなかった人たちへの影響が心配だった。ところが、行った人たちはそれなりに意識を持って帰ってきた。自分たちが勉強してきたという事実が大きい。2人のスタッフが辞めた時に、今まで学んできたことを行動に移さなければならない局面を迎えた。そして、研修で受けた一つ一つの刺激が、個人の持ち味を発揮することにつながった。
 支援が始まった時と、今のスペースふうとは全然違うと私は思う。たぶん他のメンバーも違うと感じていると思う。学んだことで、自分たちの中で変わってきている。
 今日も先生からの話を受けて、ゼロに戻そうかとか駆け引きをどうしようとか、やったことないことに取り組もうとしている。これまでだったら、やったことないなら止めようとなっていた。
 今後、取り組み始めて失敗することもあるかもしれない。けれども、それは自分たちの成長過程として考えたい。やっている中で、もっと良くするために考えようと、一人一人がそういう意識を持ち始め、そういう雰囲気が全体に広がっている。
 理事の3人もいかに引いてくかという話ばかりしていたが、そうでなくて「本気でやってみよう」となった。これから変わろうとしているこのメンバーが次どういうふうになるかというのをぜひ見守ってほしい。

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