平成27年1月16日(木)、17日(金)に若手プロジェクトリーダー研修(第3回)を国立オリンピック記念青少年総合センター(東京)において開催しました。
今回の研修のねらいとして、次の2点を掲げました。
明治大学大学院 長畑氏のファシリテーションで、これまでの活動経験の中で、仲間や上司から、何かを一緒にやろうという働きかけがあった時、
・コミュニケーションがうまくいったなぁ、と思える経験、
・コミュニケーションが難しかったなぁ、と感じた経験、
について、それぞれの経験を書き出し、グループでまとめ、共有しました。
(一社)あいあいネット 山田氏の進行で即興寸劇(ロールプレイ)を行いました。
1つめのテーマは「あなたの団体にボランティア志望の人が来ました。その人とどういう対話をしますか」でした。ボランティア志望役グループ、団体スタッフ役グループという2つのグループに分かれ、数分間の作戦会議を経て、団体スタッフ役グループが考えた設定で10分間の寸劇がスタートしました。ボランティア志望役の人たちは、話が長く止まらない主婦、ノリで来てしまった学生、無口な男性などに扮し、団体スタッフ役がそれに対応しました。
2つめのテーマは「あなたのNPOは地域の環境保全活動のため、住民への協力を仰ぎに行きます。そのときにどんな会話をしますか?」でした。こちらも、地域住民役グループ、団体スタッフ役グループという2つのグループに分かれ、お昼休み中の作戦会議を経て、団体スタッフ役グループが考えた設定で15分間寸劇を行いました。シナリオのない中、互いに相手のグループの反応や出方に合わせて、これまでの経験を思い出しながら臨機応変にアドリブで対応していました。
それぞれの寸劇後、互いのグループの反応や対応についての振りかえりを行い、「相手といい関係を作るためにできる具体的なアクション」について、考え、共有しました。
(一社)あいあいネット 壽賀氏の進行で、ファシリテーティブな場作りの第2ステップとして「聴くこと」についてのお話がありました。相手の感情に配慮しつつ、事実を聞くことの大切さについて、質問を交えながら、考え、確認し合いました。
(一社)あいあいネット 壽賀氏の進行で、1日目の振り返りと、「聴くこと」のエクササイズを行いました。3人一組になり、「聞き手」「話し手」「観察者」に分かれ、「あいづちの重要性」「記憶を掘り起こす」「聞き手は何も提案しない」ことを念頭に取り組みました。互いの役を交換しながら全ての役割を行い、それぞれの振りかえりと、個々人の特徴や長所、改善点等についても意見交換しました。
明治大学大学院 長畑氏の進行で対話のエクササイズを行いました。「家族自慢、または愚痴」をテーマに、「思い込み」は保留し、背景を事実質問で掘り起しながら対話し、質問する側は決して「提案」してはいけないというルールのもと取り組みました。
引き続き、長畑氏の進行で、ここまでの研修の振り返りを行い、「ファシリテーティブな場つくりとは何か」「どんな意味があるのか」「3つのステップ」について、全体で確認をしました。研修生からは、これまで学んできた「ファシリテーション」の考え方とは違う、相容れない部分もあったようで、積極的な質問や意見があがりました。また、資料や参考文献の紹介もありました。
最後に、2日間の研修での気づきを踏まえ、今後の活動で「ファシリテーティブな場作り」について、どう取り組んでいくか、気づきを役立てていくかについてのアクションプランを、それぞれ作成しました。
今回の研修テーマである「ファシリテーション」は、会議やワークショップの進行に限らず、活動のなかで、誰かと一緒に何かをしていく場面、すべてに関係する内容として、寸劇やエクササイズを体験していただきました。終了後、研修生からは、「今回の内容を持ち帰り、もう少し深掘りして活動につなげていきたいです。次回、また集まったときに自分にもっと自信をもって意見交換できるように頑張ります。」といった前向きな意見もありました。
日時 | 平成27年1月15日(木)10:00 ~ 1月16日(金)15:30 |
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場所 | 国立オリンピック記念青少年総合センター |
内容 | 【研修1日目】
【研修二日目】
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1961年生まれ。東京大学法学部卒。上智大学大学院修士課程修了。在学中からNGO活動に関わり、卒業後(特非)シャプラニールの職員として活動。その後、国際協力NGOセンター調査研究員を経て、2004年に仲間とともにNPOを設立((一社)あいあいネット)、同会代表理事。住民主体の地域づくりやコミュニティ・ファシリテーションをテーマに、日本国内の地域や、インドネシア、ベトナム等で活動。JICA(国際協力機構)の研修員受入事業のコースリーダーや技術協力プロジェクトの短期専門家も務めている。(特非)ソムニード理事、同アジアコミュニティセンター21理事。
『国境をこえた地域づくり』(共著)、『進化する国際協力NGO』(共著)、『バングラディシュを知るための60章』(共著)、『マイクロファイナンス読本』(共著)、『NGO最前線』(共著)。
東京生まれ。子供の頃、多くの時間を両親の故郷・鹿児島で過ごす。大学時代に日本国際ボランティアセンター(JVC)のボランティアに参加し、そのまま職員としてアフリカを中心に農村開発の支援にかかわる。一時休職して滞在したジンバブウェで、援助ではない交流と対話の可能性に目覚め、2005年からあいあいネットでも活動する。現在はあいあいネットに専念し、日本を含む世界各地の地域づくりの現場で、ファシリテーションを通じたまなびあいの促進に取り組んでいる。立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科、東京外国語大学、フェリス女学院大学非常勤講師。
2003年に師匠・和田信明氏と出会ったのち 「いりあい・よりあい・まなびあいネットワーク」の活動に関心を抱き、互いの想いを共有する仲間との活動が 楽しすぎて、いつの間にか10年が経過。西部バリ国立公園と周辺のコミュニティで人と自然の共生を目指す活動をインドネシアの仲間たちと一緒に創っているが、今後は日本の地域でも、様々なまなびあいの場のプロデュースを目指している。