研修・講座について

平成28年度 第三回若手プロジェクトリーダー研修を開催しました


若手プロジェクトリーダー1期生修了式にて、1~3期生の集合写真

平成29年1月11日(水)・12日(木)に、1期生12名、2期生9名、3期生9名を対象とした第三回研修を国立オリンピック記念青少年総合センター(東京)において開催しました。研修の最後には、今回で3年間計9回のすべての研修プログラムを修了した1期生の修了式を行いました 。

3期生向け研修

研修のねらい

  • ファシリテーティブな場作りとは何か?どのような意味があるのか?自分なりの考えを得る。
  • 人々(話をする相手)が自ら決断して問題の分析に向うようにファシリテートできるようになる。

研修一日目

「ファシリテーティブな場作り」に関する全体像の共有 講師 / 長畑 誠氏

明治大学専門職大学院ガバナンス研究科教授 長畑 誠氏により、今回の研修の大きなテーマである「ファシリテーティブな場作り」についてのお話がありました。活動の場ではよく「ファシリテーション」という言葉を耳にすることがあるという研修生たちでしたが、「ファシリテーティブな場作り」という耳慣れない言葉に戸惑いながらも、熱心に話を聞いていました。

これから始まる2日間の研修のとっかかりとなる講義ですが、あえて「ファシリテーティブな場作り」という言葉に明確な定義をせずに、それぞれが考える「ファシリテーティブな場」に関するキーワードのブレインストーミングを行いました。

ファシリテーション研修「事実質問の実践」 講師 / 原 康子 氏

(特非)ムラのミライ 原 康子氏により、事実質問の実践によるファシリテーション研修がありました。これは「なぜ」という言葉を使わずに事実のみ(過去に起こったこと) を質問することで、相手が抱える問題の本質をつかむトレーニングです。なぜという言葉を使うことで、質問された側の一般化された「思い込み」を引き出してしまう恐れがあるからです。普段つい使ってしまいがちな「なぜ」という言葉を使わないという制約のもと、研修生たちは相手のことを知ろうとして懸命に事実質問を繰り返していました。

研修二日目

ファシリテーティブに聴く 講師 / 壽賀 一仁氏

研修2日目は、(一社)あいあいネット専務理事 壽賀 一仁氏に、自身が発展途上国で実感したファシリテーティブな場作りに関する体験談を語っていただきました。開発や途上国支援というと、現地の住民が支援者に依存しきってしまい、成果が持続しないことがよくあるそうです。そういうときは、支援者と住民との間にファシリテーティブな場が生まれていないことが原因の一つであると説明がありました。1日目のトレーニングをもとに、それをどのように現場で実践するのかという壽賀氏の話に、研修生たちは熱心に聞き入っていました。

ファシリテーティブな場作り まとめ 講師 / 長畑 誠 氏

研修の最後は、1日目の前半同様、長畑氏にファシリテーティブな場作りに関するまとめを行っていただきました。有能なファシリテーターを目指すのではなく、「ファシリテーティブな場」をつくることが大切であると話す長畑氏ですが、ここでもあえて「ファシリテーティブな場」に関する明確な定義は与えず、それぞれの研修生が感じたことを共有してもらいました。研修生からは「会議では結論を出すことに意識がいきがちではあるが、ファシリテーティブな場を意識して、参加者が話しやすい雰囲気をつくることも意識したい」という言葉がありました。

最後に研修生たち全員が、今後どのような場で「ファシリテーティブな場」をつくっていきたいかを書き出してもらい、研修は終了となりました。

開催概要

日時 平成29年1月11日(水)10:00~1月12日(木)15:30
場所 国立オリンピック記念青少年総合センター
内容 【研修一日目】
  • 「ファシリテーティブな場作り」に関する全体像の共有
  • ファシリテーション研修「事実質問の実践」

【研修二日目】
  • 「ファシリテーティブに聴く」
  • 「ファシリテーティブな場作り」まとめ
  • (一期生修了式)
講師 長畑 誠氏/明治大学大学院教授
原 康子氏/(特非)ムラのミライ
壽賀 一仁氏/(一社)あいあいネット専務理事

講師紹介

長畑 誠氏/明治大学専門職大学院ガバナンス研究科教授
(地球環境基金振興事業アドバイザー)

1961年生まれ。東京大学法学部卒。上智大学大学院修士課程修了。在学中からNGO活動に関わり、卒業後(特非)シャプラニールの職員として活動。その後、国際協力NGOセンター調査研究員を経て、2004年に仲間とともにNPOを設立((一社)あいあいネット)、同会代表理事。住民主体の地域づくりやコミュニティ・ファシリテーションをテーマに、日本国内の地域や、インドネシア、ベトナム等で活動。JICA(国際協力機構)の研修員受入事業のコースリーダーや技術協力プロジェクトの短期専門家も務めている。(特非)ソムニード理事、同アジアコミュニティセンター21理事。
『国境をこえた地域づくり』(共著)、『進化する国際協力NGO』(共著)、『バングラディシュを知るための60章』(共著)、『マイクロファイナンス読本』(共著)、『NGO最前線』(共著)。

原 康子氏/(特非)ムラのミライ ファシリテーショントレーナー

岐阜市出身。「途上国で国際協力の仕事がしたい」と1995年、認定NPOムラのミライの南インドの活動地を訪れて以来、インドに通い続け、30歳で渡印。
タミルナド州での留学を経て、南インドの港町ビシャカパトナム市(アーンドラ・プラデッシュ州)で、ムラのミライ・インド駐在事務所開設時の初代駐在員となる。
以来インド11年、ネパール4年間の暮らしの間に、インドネシア、スリランカ、ザンビア等で、コミュニティ開発専門家として研修に従事。2016年8月から、京都在住。
2014年JICA地球ひろば「インドのスラムの女性たちと信用金庫を立ち上げる~草の根技術協力プロジェクト・マネージャーが現場で考えた」
2016年名古屋大学 グローバルリーダー論「現場のリアリティに届く話し方」
2016年9月~現在 関西大学非常勤講師 International Development
その他講演・メディア出演実績多数。

壽賀 一仁氏/(一社)あいあいネット専務理事

東京生まれ。子供の頃、多くの時間を両親の故郷・鹿児島で過ごす。大学時代に日本国際ボランティアセンター(JVC)のボランティアに参加し、そのまま職員としてアフリカを中心に農村開発の支援にかかわる。一時休職して滞在したジンバブウェで、援助ではない交流と対話の可能性に目覚め、2005年からあいあいネットでも活動する。現在はあいあいネットに専念し、日本を含む世界各地の地域づくりの現場で、ファシリテーションを通じたまなびあいの促進に取り組んでいる。立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科、東京外国語大学、フェリス女学院大学非常勤講師。

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