大気環境の情報館

大気環境改善のための法令

社会活動の変化がさまざまな大気環境問題を生み出してきたのに対して、大気環境に関する法律も次々に制定・改定されてきました。大気環境を改善するための法律はひとつではなく、いくつもの法律によって体系的に対策が講じられています。ここではそのうちの主な法令をご紹介していきます。

環境基本法

大気環境に関する法律の基本的な方針を定めているのが、1993(平成5)年に制定された「環境基本法」です。「環境基本法」は、それまでの「公害対策基本法」や「自然環境保全法」だけでは、都市型・生活型の環境問題や、地球温暖化をはじめとする国際的な環境問題への対応に限界があるという認識から、新たな枠組みを示す法律として生まれました。

大気汚染防止法

高度経済成長と公害が激化する中、1968(昭和43)年に制定された「大気汚染防止法」は、それまでの「ばい煙規制法」をより強化し、大気汚染から国民の健康を保護するとともに、生活環境を保全することなどを目的としています。工場や事業所からのばい煙の排出を規制するだけでなく、自動車排出ガスの許容制限を定めることなどが盛り込まれています。1970(昭和45)年の通称"公害国会"では、規制地域の廃止(全国への拡大)や、規制対象物質の追加などの規制強化が行われました。さらに1974(昭和49)年の改正では総量規制が導入されました。その後もアスベストの規制、有害大気汚染物質対策の推進、揮発性有機化合物(VOC)の対策など、時代に合わせて、新たな規制の導入や強化などの改正が行われています。

自動車NOx・PM 法

「自動車NOx・PM法(自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減などに関する特別措置法)」は、ディーゼル自動車から排出される窒素酸化物(NOx)の抑制を目的に1992(平成4)年に制定された「自動車NOx法」から生まれた法律です。「自動車NOx法」では、自動車による大気汚染が著しい首都圏、大阪・兵庫圏の市区町村において車種規制などの施策を講じてきましたが、多くの地域で二酸化窒素(NO2)の環境基準がクリアされなかったこと、さらに、ディーゼル自動車から排出される粒子状物質(PM)が健康に悪影響を及ぼすという新たな問題を受けて、2001(平成13)年に「自動車NOx・PM法」として改正されました。現在は、従来の窒素酸化物(NOx)対策がさらに強化されるとともに、浮遊粒子状物質(SPM)も対策の対象になり、対策地域に愛知・三重圏が追加され、全国244市区町村(2011年4月時点)が指定区域になっています。

オフロード法

オフロード車とは公道を走行しない車のことで、建設作業などに用いられるフォ-クリフトやブルド-ザ-、また農耕用トラクタ-などを指します。道路運送車両法の規制対象外だったオフロ-ド車から排出される窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)が無視できないレベルにあることから、2006(平成18)年に「オフロード法(特定特殊自動車排出ガス規制等に関する法律)」が施行されました。オフロード車のエンジンや車体について技術基準を定め、基準に適合しないものは使用できないとする法律です。

スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律

スパイクタイヤの使用による粉じんは1970年代中頃から社会問題化し、その根本的な解決を図るために1990(平成2)年に制定されたのが「スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律」です。この法律により、環境大臣が指定する地域において、舗装されている道路が積雪や凍結していない場合は、スパイクタイヤの使用が禁止されました。

公害による健康被害の補償等に関する法律

1974(昭和49)年に施行された公害健康被害補償法は、汚染物質の排出原因者の費用負担によって、公害健康被害者に対する補償給付などを行う法律です。対象となるのは、気管支ぜん息のような原因物質と疾病との間に特異的な関係のない疾病(大気汚染が著しく、その影響による気管支ぜん息等の疾病が多発している地域を第一種地域として指定)と、水俣病やイタイイタイ病など原因物質と疾病との間に特異的な関係がある疾病(環境汚染が著しく、その影響による特異的疾患が多発している地域を第二種地域として指定)の2種類がありました。1987(昭和62)年には、大気汚染の態様の変化を踏まえた改正が行われ、第一種地域の指定がすべて解除され、既被認定者への補償は継続するものの、新たな認定は行われなくなりました。また、法律名は「公害による健康被害の補償等に関する法律」に改められ、現在、環境再生保全機構が行っている公害健康被害予防事業などの総合的な環境保健施策を推進することとされました。

石綿(アスベスト)による健康被害の迅速な救済のために

石綿(アスベスト)を吸入することにより肺がんや中皮腫(がんの一種)等にかかられた方およびそのご遺族については、2006(平成18)年に制定された「石綿による健康被害の救済に関する法律」に基づき、医療費等の救済給付が支給されます。この法律は、石綿健康被害者で労災保険給付等の対象とならない方に対し、迅速な救済を図ることを目的としています。また、石綿が様々な分野で大量に使用され、日本の経済発展を支えたこと、その一方で肺がん等の重篤な疾患を引き起こし、その潜伏期間が長いために個別の原因特定が難しいといった事情を考慮し、救済給付については社会全体(事業者、国および地方公共団体)で費用を負担することとされています。

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