大気環境の情報館

私たちのくらし:車

大気汚染の主な原因には、工場・事業場のほか自動車から出るガス(おもに窒素酸化物<NOx>、粒子状物質<PM>)があるといわれています。大気汚染防止法などの法律や、新しい技術によって、自動車1台あたりの排出ガスの量は減ってきていますが、自動車が増えているため、大気中の窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)は濃くなる一方で、とくに大都市では自動車から排出される大気汚染物質が問題となっています。

(自動車保有台数の推移グラフ)
自動車保有台数の推移グラフ

自動車は、仕組みや燃料によっていくつかの種類があります。なかでもディーゼル車は、ガソリンに比べて燃料(軽油)の値段が安く、メンテナンスの簡単さや燃費効率の良さなどがある反面、窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)などを多く排出するため、問題となっています。

このため、とくに自動車排出ガスによる大気汚染が激しい東京、大阪、愛知などの大都市周辺の地域を対象として、2001年に自動車NOx・PM法が定められ、一定の期間を過ぎた古いディーゼル車については、新しい、汚染物質の排出量がより少ない車に買い換えてもらうことを義務づけるなどの対策が、今まで以上に進められることになりました。

現在、大気汚染物質の排出が少ない、または全く排出しない自動車として開発され、市販されはじめているのが、環境にやさしい低公害車です。このような低公害車を含めて、環境のためにわたしたちと自動車がどんなふうに共生していけばいいのか、考える必要があります。

低公害車の種類

ハイブリッド自動車

ハイブリッド自動車エンジンと他の動力源(モーター等)を組み合わせた自動車。窒素酸化物(NOx)が少なくなるほか、燃料の消費も少なくてすみます。また、今までの車と同じ燃料(ガソリンなど)で走ることができ、現在は乗用車、路線バスなどで実用化されています。日本では、近年、普通の車と価格があまり違わないハイブリッド乗用車が開発販売され、広く一般ユーザーに受け入れられています。


電気自動車

電気自動車バッテリー(蓄電池)に備えた電気でモーターを回転させて走る自動車。自動車からの排出ガスは一切なく、通常の自動車(ガソリン車やディーゼル車など)と比べ走行音がとても静かです。また、電気をつくるときに、発電所から排出される分を合わせても、窒素酸化物(NOx)や二酸化炭素(CO2)の排出は通常の自動車より少なくなります。


天然ガス自動車

天然ガス自動車家庭に供給されている都市ガスの原料でもある天然ガスを燃料として走る自動車。なかでも、天然ガスを気体のままで圧縮した圧縮天然ガス(CNG)自動車が世界的に最も普及しています。天然ガスは硫黄分などの不純物を含まないクリーンなエネルギーで、黒煙などの粒子状物質(PM)も排出されません。さらに、ディーゼル車と比べて窒素酸化物(NOx)の排出量も抑制されています。


メタノール自動車

メタノール自動車アルコールの一種であるメタノールを燃料として走る自動車。メタノールは都市ゴミや天然資源(天然ガス、石炭など)からの合成も可能で、リサイクルを考えたエネルギーであり、黒煙も排出されません。


低燃費かつ低排出ガス認定車

低燃費かつ低排出ガス認定車「エネルギーの使用の合理化に関する法律」に基づく燃費基準(トップランナー基準)を早期に達成した「低燃費車」で、国土交通省が定めている「低排出ガス車認定実施要領」に基づく低排出ガス車認定※を受けている自動車。※低排出ガス車認定燃料の種類に関係なく、自動車排出ガスが窒素酸化物(NOx)、粒子状物質(PM)などの有害物質の排出を最新規制値より25%、50%、75%低減している自動車をそれぞれ「良―低排出ガス(☆)」、「優―低排出ガス(☆☆)」、「超―低排出レベル(☆☆☆)」に認定する制度です。認定を受けた低排出ガス車には、ステッカーが貼られます。


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