大気環境の情報館

高度経済成長前半の大気汚染(1945年~64年:昭和20~30年代)

第二次世界大戦後におけるわが国の工業復興は早く、石炭を主要エネルギーとした工業復興は、各地で降下ばいじん硫黄酸化物を主とする大気汚染問題を引き起こしています。大気汚染の発生によって各地で住民の苦情が相次ぎ、東京都や大阪府などいくつかの地方公共団体で公害防止条例が制定されました。この当時の大気汚染は、石炭を燃焼させた後に発生する黒鉛・すすが主な問題であり、集塵装置の導入によってかなり改善されました。

高度経済成長の初期から全国の主な工業都市の住民に、大気汚染の影響によると考えられる呼吸器障害が発生しています。1955から1965年頃の大気汚染が最も著しかった当時の状況に関する記録を集約すれば、硫黄酸化物やばいじん等による大気汚染によって視程は30~50mにまで落ち込み、自動車は日中でもライトをつけなければ運転できない状態であり、硫黄酸化物による鼻を刺すような臭いが立ちこめていたところもありました。

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