大気環境の情報館

SO2に係る環境基準の設定と達成に向けた様々な対応策(1969年)

公害対策基本法では、目標とすべき環境の状況を環境基準として定め、その水準を達成することを目標として規制その他の措置を講ずることが定められました。

大気汚染に係る環境基準は、ターゲットを健康問題に絞り、硫黄酸化物について1969年に「1時間値の年間平均値が0.05ppmを超えないこと」等を主な内容とする環境基準が定められました。

この環境基準は、1970年の公害対策基本法の改正や1972年に出された四日市公害裁判の判決を背景に、その後得られた科学的知見に基づいて、1973年に、二酸化硫黄について「1時間値の1日平均値が0.04ppm以下であり、かつ、1時間値が0.1ppm以下であること」として改定されました。

1965年度以降の継続測定局における大気中の二酸化硫黄(SO2)濃度の年平均値は、1967年度の0.059ppmをピークに減少傾向に転じました。これは、燃料の低硫黄化を進めたことや、横浜市で編み出された公害防止協定方式が全国的に広がってきたことなどの効果です。

しかしながら、依然として環境基準を上回るレベルであり、環境基準の改定、排出規制が実施されたほか、民間においても燃料の低硫黄化や液化天然ガスへの燃料転換及び排煙脱硫装置の設置等の諸対策が進められた結果、1975年頃には0.02ppm程度に下がりました。

燃料の低硫黄化については、通商産業省では、総合エネルギー調査会に低硫黄化対策部会を設け、その審議結果に基づき次の対策を講じました。

第1は原油の低硫黄化であり、低硫黄原油の輸入の増大を図った結果、原油の平均硫黄含有率は、1965年度の2.04%から1969年度には1.68%に下げられた。第2は、重油脱硫であり、内需用重油の出荷額に対する重油脱硫処理能力は1967年度3.3%から、1969年度20.6%、1975年度以降は60%台になった。第3は原油生だきであり、電力産業の大気汚染防止対策として採用されました。

このほか、企業の自主努力として、硫黄分を含まないLNG(液化天然ガス)の導入や都市ガスによる地域冷暖房の実施が行われました。

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