大気環境の情報館

各種技術を用いた局地汚染対策設計手法に関する調査 ~土壌・光触媒を用いた大気浄化システム~

平成10年度から12年度(1998~2000)の3年間にわたって大阪府、並びに、平成11年度から12年度(1999~2000)の2年間にわたって川崎市に委託して実施した、「各種技術を用いた局地汚染対策設計手法に関する調査」について、調査の概要と、調査研究レポートの全文を紹介。 なお、この調査は下記の続編です。


土壌による大気浄化システムの概要

大都市地域における二酸化窒素と浮遊粒子状物質の環境基準の達成状況は低いレベルで推移しており、この主たる原因として自動車排出ガスが挙げられる。特に、局地的に高濃度となる交差点や幹線道路沿道周辺においては、広域的な観点で行われる自動車排出ガス量抑制対策に加え、各局地汚染地域に対応した特別な対策が不可欠である。さらに、自動車NOx・PM法に基づく施策を実施しても環境基準を達成できない地点が相当数残ると予測されており、そのような局地における大気汚染の対策を進めることが急がれている。これまで局地汚染対策として、土壌を用いた大気浄化システム、光触媒を用いた窒素酸化物分解建材等の開発が行われ実用化のレベルに達しつつある。

このため、本調査では、大阪府及び川崎市に設置した施設を用いて、交通の状況、道路構造等がそれぞれ異なる地域での、土壌を用いた大気浄化システム及び光触媒を用いた窒素酸化物分解建材に対し局地汚染対策技術としてどのように選択し、組み合わせ、配置すれば実効性のある対策となるかを検討し、地域の実情に応じた効果的な対策を設計する手法の確立を目指し検討を行った。

平成10年度は、大阪府に設置した土壌を用いた大気浄化システムとして沿道型システム及びトンネル型システムを用い、局地汚染対策技術を適用した地域における環境改善効果の把握、システムの効果的経済的な運転手法及び局地汚染改善シミュレーションモデルの設計手法の検討を行った。

平成11年度は、川崎市に設置した土壌を用いた大気浄化システムの2 層式システム及び大阪府に設置した光触媒を用いた窒素酸化物分解建材の新型遮音壁の施設を用い、局地汚染対策技術での環境改善効果の把握及び局地汚染改善シミュレーションモデルの開発・試行並びに各種技術を用いた総合的な局地汚染対策設計手法の検討を行った。

平成12年度は、大阪府及び川崎市設置した局地汚染対策技術を適用した地域における環境改善効果の整理及び局地汚染改善シミュレーションモデルの検証並びに局地汚染対策設計手法を確立するための検討を行った。

研究成果

本調査研究により下記の成果が得られた。

  1. 基本原則土壌による大気浄化システムによる窒素酸化物の除去率は大阪府の沿道型システムで85%、トンネル型システムで約95%であった。また、川崎市の2層式システムでも概ね80%であり、除去率の大きな差も見られず、長期間にわたる窒素酸化物の高い除去性能が確認された。
  2. 窒素酸化物の処理単価は、NOx1kg あたり沿道型システムで183千円、トンネル型システムで16千円となった(いずれもNO2換算)。
  3. 光触媒を用いた建材は大気中のNOxを酸化除去でき、一部の建材では2年以上の長期にわたり初期状態に近いNOx分解性能を維持していることが確認できた。
  4. 環境改善効果予測手法の検討でのプルーム・パフモデルでは、吸引口及び排気口による効果を考慮した大気拡散モデルを構築することにより、システムの環境改善効果を概ね再現することが可能となった。また、数値シミュレーションでは気流計算モデルと拡散計算モデルを用いて構築したモデルでは、気象条件の違いや設置条件の評価が可能となった。

調査研究レポート全文

このページの先頭へ