大気環境の情報館

商店街における交通対策による都市大気汚染等の改善に係る調査

平成11年度から13年度の3年間にわたって横浜市に委託して実施した「商店街における交通対策による都市大気汚染等の改善に関する調査」の内容を以下に示します。


調査の概要

研究目的

横浜市内の自動車公害問題への取り組みは、平成10年に改訂された「横浜市自動車公害防止計画」に沿って、各方面で展開されている。本調査は、その中でも市内に多く存在する商店街に焦点をあてて、自動車公害対策を調査・検討したものである。

人と物が集まり、また、分散していく場所である「商店街」における大気汚染や騒音などの問題は、商品を配送する貨物自動車の当所への集中、そこでの長時間の路上駐車、及びこれらと買い物客、あるいは買い物客の乗用車との混在など、自動車の使用に伴って生じる要素が大きいと考えられる。

そこで、横浜市内の代表的な商店街の一つである元町商店街をモデルとし、現状の交通環境の改善方策及びみなとみらい21線の開業に伴う新たな人の流れや買い物客の増加などの変化も視野に入れて、「商店街」としてすみやかに(即時かつ資本投入がより少なく)導入することが可能と考えられる自動車公害対策の導入を目指し、元町商店街と横浜市が共同で、この調査を行った。

平成11年度は、元町商店街、神奈川県トラック協会、神奈川県警、横浜市などの関係者から成る「元町商店街における交通環境改善プロジェクト」を設置して、対策メニュー等の検討に必要なアンケート調査や交通量調査等の基礎調査を実施し、すみやかに導入することが可能と考えられる対策メニューを立案した。

平成12年度は、立案した対策メニューについての実験的な導入や、その効果測定などを行った。

平成13年度は、2ヵ年の成果を踏まえ、可能と判断した交通環境改善対策の本格的導入に向けた検討を行うとともに、他の商店街への展開方策のとりまとめを行った。

研究成果

基礎調査により得られた知見等に基づき、元町商店街として取り組む交通環境改善対策について、すみやかに導入することが可能な対策と、ハード面の整備や関係者との協議、詳細な現状分析が必要で、実現の可能性や条件整備等について検討していく対策に区分し、導入することが可能な対策については社会実験を実施し、その実施結果を踏まえ、今後、交通環境改善対策の本格導入に向けた検討を進めていく上での課題について整理した。

  1. 社会実験の実施結果
    (1)交通量対策
    • ア.共同配送実施による車両の削減(共同配送参加会社車両100台が29台に減少)
    (2)従業員等の公共交通機関利用促進
    • 公共交通機関への代替29%、自店所有車両の自粛26%)
    (3)交通流対策
    • ア.タイムシェアリングの実施(荷捌き時間帯の指定により、時間外に入る貨物車両が37%から33%に減少)
    • イ.違法駐車の減少(駐車違反対策により、違法駐車台数が959台から708台に減少)
    (4)発生源対策
    • 駐車する車両はアイドリングストップの励行で約9割が実施
  2. 本格導入に向けた課題の整理
    元町商店街では交通環境改善プロジェクトの下に設置したワーキングチームで検討を重ね、本格的に実施する対策を「交通環境の改善に向けた元町商店街のルール(案)」としてとりまとめた。
    また、早期に本格導入可能な対策の実施に向け関係機関等との調整を進めつつ、中長期的な取り組みでは、周辺地域における施設整備や市街地環境の変化などを見据えながら、
    (1)買物客の公共交通機関利用促進、
    (2)パーク&ライド導入へ向けた条件整理、
    (3)商店街内の通過交通排除、
    (4)元町・元町五東交差点改良等の検討
    を行い、商店街における街づくりとの連携も考慮した中で、適切な時期に対応を図ることとした。

調査研究レポート全文

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