財団法人 日本品質保証機構
大都市域の交差点や幹線道路沿道における浮遊粒子状物質(SPM)による大気汚染の状況は依然深刻な状況にあり、特にディーゼル排気粒子(DEP)については発ガン性、気管支ぜん息等の健康影響が懸念され、対策強化が急務となっている。SPM・DEP問題への対策は、広域的な観点で行われる自動車交通対策及び自動車単体からの排出制御が基本と考えられるが、局地的で高濃度な大気汚染状況を早急に改善するためには、これらに加え、各地域の局地汚染に対応した沿道排ガス浄化装置による排ガス浄化対策の導入の検討が必要である。
本調査は、大都市の交差点や幹線道路沿道においてDEPを除去するための沿道排ガス浄化技術の有効性を評価し、新たな装置の開発に向けた適用性について検討し、大都市域におけるSPM・DEP対策の効果的な推進に資する事を目的とする。
試作沿道浄化装置の改良性能向上、浄化装置性能の実フィールド評価及び対策効果評価シミュレーションの実施
当初の研究目標は達成されつつあるとされ、装置が実際に用いられる多様な通風条件下での検討、通過自動車の風圧の利用等による集塵効率の向上、他の研究成果の活用によるNOxとの同時低減の可能性の検討等について指摘があった。
また、ナノ粒子も除去されていることに注目し、更に観測データを蓄積していただきたい等の意見も出された。
本調査研究では、典型的な条件下で浄化装置の仕様を検討し、全体的な性能についてはフィールド試験で評価している。したがって、多様な通風条件下での検討や通過自動車の風圧利用等の検討は、フィールド試験で得られる様々なデータを条件別に解析しながら進めることを考えている。NOxとの同時低減は、通風性とNOx除去率のバランスを見ながら、様々な材料を試す予定である。また、今後も観測データの蓄積に努めていきたいと考えている。