食物アレルギーの子どものための みんなで食べるおいしいレシピ~ぜん息予防のために~卵・乳・小麦不使用!

食物アレルギーの子どものための  食事の基礎知識

【解説】加工食品のアレルギー表示の読み方

あらかじめ箱や袋で包装されたり、缶やビンに詰められている加工食品には、原材料として使用した特定原材料を表示することが、食品表示法で定められています。ここでは、その読み方として3つのポイントを示します。

Point 1  表示の義務があるアレルゲン(特定原材料)、表示が推奨されているアレルゲン(特定原材料に準ずるもの)があります。

食物アレルギーの頻度が高かったり重い症状が出やすい7品目(特定原材料)は、表示義務があります。義務ではないものの、表示が推奨されている21品目(特定原材料に準ずるもの)もあります。

特定原材料は、使用されている場合には必ず表示されますが、特定原材料に準ずるものは表示されない場合があるので、注意が必要です。

表示の義務があるもの(特定原材料7品目)

卵、乳、小麦、そば、落花生(ピーナッツ)、えび、かに

食物アレルギーの頻度が高かったり、重い症状が出やすいため表示義務がある。

表示の推奨されているもの(特定原材料に準ずるもの21品目)

アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、ゼラチン、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご

義務ではないため、表示されない場合がある。


Point 2  表示の対象は、あらかじめ容器包装されているもの、缶やビンに詰められた加工食品です。

  • 飲食店(レストラン、ファーストフード店など)、量り売りのお総菜、店内で調理する(加熱も含む)お弁当やパンなどは店頭で直接原材料を確認することが可能という理由でアレルゲンの食品表示制度の対象外です。
  • 食品衛生法に基づく旧ルールでは、包装面積がおおむね30cm2以下の小さな商品には、アレルギー表示の義務はありませんでしたが、食品表示法では、包装面積30cm2以下のものも含めて、すべての容器包装された加工食品に対してアレルギー表示が義務付けられました。

Point 3  表示の義務はアレルゲンのタンパク質濃度を基準に定められています。

  • 表示義務があるのは加工食品中のアレルゲンのタンパク質濃度が数μg/g以上のものに限られます。
  • 加工食品中のアレルゲン濃度が、表示義務濃度以下であっても、1食分を摂取すると症状が誘発されることがあります。

Point 4  アレルギー表示対象品目名が別の名称で表示されることがあります。

例えば、「卵」→「たまご」、「落花生」→「ピーナッツ」のように、異なった表記でも特定原材料と同一であることが理解できる場合には、別の名称で表記することが認められています(代替表記)。
 また、「卵」→「厚焼玉子」、「落花生」→「ピーナッツバター」など、特定原材料名または代替表記を含み、これらを用いた食品であると理解できる場合には、別の名称で表記することが認められています(拡大表記)。

代替表記:表記方法や言葉が違うが、特定原材料と同一であるということが理解できる表記
(下表に掲載されたものに限定
拡大表記:特定原材料名または代替表記を含んでいるため、これらを用いた食品であると理解できる表記例
(下表に掲載されているのは例示
玉子、たまご、タマゴ、エッグ、鶏卵、あひる卵、うずら卵 厚焼玉子、ハムエッグ
ミルク、バター、バターオイル、チーズ、アイスクリーム アイスミルク、ガーリックバター、プロセスチーズ、乳糖、乳たんぱく、生乳、牛乳、濃縮乳、加糖れん乳、調製粉乳
小麦 こむぎ、コムギ 小麦粉、こむぎ胚芽
えび 海老、エビ えび天ぷら、サクラエビ
かに 蟹、カニ 上海がに、カニシューマイ、マツバガニ
そば ソバ そばがき、そば粉
落花生 ピーナッツ ピーナッツバター、ピーナッツクリーム

「加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック」(消費者庁 令和3年3月作成)より一部改変して引用


Point 5  原則は「個別表示」ですが、含まれているすべてのアレルゲンをまとめて表示する「一括表示」も認められています。

食品表示には、個々の原材料ごとにアレルゲンを表示する「個別表示」と、アレルゲンをまとめて一括で表示する「一括表示」があります(原材料名は重量の多い順に表示されます)。

市販のお弁当の例

個別表示の場合

どの原材料に、何のアレルゲンが含まれているのか、確認することができます。

「原材料名:ご飯、野菜かき揚げ(小麦、卵を含む)、鶏唐揚げ(小麦、大豆を含む)・・・」のように、アレルゲンを含む原材料一つひとつの後に(○○を含む)と表示されます。

一括表示の場合

どの原材料に、何のアレルゲンが含まれているのか、わかりません。

すべての原材料名を列挙した後に「(一部に小麦、卵、大豆、牛肉由来原材料を含む)」のように、原材料に含まれているアレルゲンはすべて、一括表示されます。

  • (注1)表示欄にアレルゲンと分かる原材料名が記載されていても、一括表示される場合は、含まれるアレルゲンがすべて列記されます。
    一括表示のアレルギー物質が最後に表示されているからといって、個別表示に比べて含有量が少ないわけではありません。

 

ただし、個別表示でも「省略」に注意しましょう

 個別表示でも、一度記載したアレルゲンがほかの原材料にも含まれている場合、二度目以降の記載は省略が認められています。

ポテトチップスの例

省略されない場合

原材料名や添加物名の中に、例えば「たんぱく加水分解物(大豆を含む)、粉末しょうゆ(大豆・小麦を含む)」などの大豆のように、個別にアレルゲンを表示するので複数回出てくるものがあります。

省略された場合

原材料名や添加物名の中に個別にその都度表示されるのではなく、複数回出てくる大豆や小麦などが2回め以降省略されます。

表示が省略された場合には、アレルゲンが含まれている原材料が複数あっても、確認することができません。


添加物について

添加物 解説赤字は、その食品・添加物に含まれているアレルゲンです)
タンパク加水分解物 肉、大豆、小麦、魚、とうもろこしなどのタンパク質を原料としており、「うまみ調味料」として使用されます。
結着剤(結着材料) 食品の形状を保ったり食感をよくするために加えられる材料のことで、リン酸塩やカゼインナトリウム(乳由来)、卵、ゼラチンなどが結着剤として使用されます。
増粘多糖類 草木・海藻などから抽出された天然由来の多糖類のことで、増粘剤・安定剤として使用されます。粘性があり菓子・ドレッシング・練り製品・アイスクリームなどに使われます。グアーガム、カラギーナン、キサンタンガム、ペクチンなどが原料になります。
増粘剤 食品に粘性を与えたり、粘性の調整に用いられます。ソースや焼肉のたれなど、粘性を増やすためなどに使用されています。ゼラチンや上記の増粘多糖類が原料になります。
安定剤 食の素材感・材質感の保持等に用いられ、アイスクリームの形を保つためなどに使用されています。天然由来の多糖類(上記の増粘多糖類)が原料になります。

(注)特定原材料が含まれている場合は必ず(○○由来)などと併記されます。


知っておくと役立つ 食品表示の専門用語

キャリーオーバー 材料として使われた加工品に含まれている添加物のことで、最終製品ではそれ自身の働きは失っていますが、アレルギー表示の対象となります。
(例)クッキーをつくるときに使用されたマーガリンに含まれる「乳化剤」の原料として、卵が使われていた場合、アレルギー表示の対象となります。
コンタミネーション 食品を製造する際に、機械や器具からアレルゲンが意図せずに混入すること。
由来 食品や原材料が何からできているかをあらわす言葉。

  • 参考:「知っておきたい食品の表示」消費者庁(平成27年11月版)/厚生労働省科学研究班による「食物アレルギーの栄養指導の手引き2011」/「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改定)」厚生労働省(2019年4月)
    消費者庁「食物アレルギー表示に関する情報」

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