食物アレルギーの子どものための みんなで食べるおいしいレシピ~ぜん息予防のために~卵・乳・小麦不使用!

米粉調理のポイント

米粉には、さまざまな種類があります

米粉にはさまざまな種類があります。原料はうるち米ともち米に分かれます。さらに生のまま、あるいは加熱後に粉にする場合があり、それぞれ名前や使い方が異なっています(表  米粉の種類)。

近年、米の新しい製粉法が開発され、粉の粒子を細かくした「微細米粉」が市販されるようになりました。この微細米粉は米粉特有の粘りが少なく、小麦粉に近い特性をもつため、パンや洋菓子、麺などに利用されています。

家庭用の小麦粉はブランドによる性質の差はほとんどありませんが、米粉は製粉会社によって原料米の品種や製粉の方法が異なるため、その性質に違いがあります。パッケージに書かれてある「パン用」「菓子用」「料理用」などの表示を見て、用途にあった微細米粉を選びましょう。

表  米粉の種類
種類 加工 名称 用途
うるち米 生の粉 上新粉・上用粉 みたらしだんご、かしわもち、
ういろう など
製菓用米粉(微細米粉) 米粉パン、洋菓子、米粉麺 など
加熱した粉 上南粉 など かるかん など
もち米 生の粉 白玉粉・羽二重粉 大福もち、白玉団子 など
加熱した粉 道明寺粉 など 桜餅、おはぎ など

米粉調理 6つのポイント

  1. 1材料をまず揃えてから、作業にとりかかりましょう
    同じ米粉であっても、粉に水分を入れる量、水分を入れた後の調理時間によって生地の状態が異なってきます。手際よく進めるために、レシピに書いてある材料をまず揃えてから、作業にとりかかりましょう。
  2. 2生地が適した状態になるように水分や粉の量を調節しましょう
    本書のレシピ中に書かれてある生地の状態(「耳たぶのやわらかさ」など)を確認しましょう。米粉によってはかた過ぎたり、やわらか過ぎたりする場合もありますので、生地が適した状態になるように水分や粉の量を調節しましょう。
  3. 3ていねいにまんべんなく混ぜましょう
    本書の米粉レシピに「よく混ぜる」と書いてある場合には、粉への吸水を均一にし、生地を安定させるための作業です。ていねいにまんべんなく混ぜましょう。
  4. 4生地のつくりおきは避けましょう
    水分を加えた生地を長時間放置すると、米粉によっては離水(生地が水っぽくなること)を起こしたり、粘りが強くなったりすることがあります。扱いに慣れるまでは、生地のつくりおきは避けたほうがよいでしょう。
  5. 5温かいうちにいただくか、ラップをかけて保存しましょ
    米粉の配合が多い料理は、できあがり後に時間がたつとかたくなります。温かいうちにいただくか、水分の蒸発を避けるためにラップをかけて保存しましょう。
  6. 6米粉麺は調理後、早めにいただきましょう
    米粉のみでつくられた米粉乾麺(米粉のパスタなど)は、ゆで戻して時間がたつと乾燥してかたくなります。また、汁麺を長時間置くと、麺が汁を吸って食感が変わることがあります。早めにいただきましょう。

米粉ミックス粉について

小麦成分を含まない米粉パンや米粉料理のためのミックス粉が市販されています。

これらには、生地を膨らませる膨張剤(ベーキングパウダー、重曹など)のほかに、生地のつなぎをよくするでんぷん(片栗粉、コーンスターチ、タピオカ粉など)、生地中の水分を保ち、膨らみと食感をよくする増粘多糖類(マメ科の植物の実から抽出したグァーガム、ローカストビーンガムなど)などが配合されています。これらに水、イースト酵母や調味料などを加えると、小麦製品に近いパンやスポンジ生地をつくることができます。

ただし、米粉パン用ミックス粉には、小麦成分のグルテンを配合しているものがありますので、小麦アレルギーの人は注意が必要です(参照「原因食物別  除去のポイント 小麦」)。


米粉の性質と用途

米粉の性質は、粉の粒の大きさ、でんぷんの状態(でんぷん損傷度)、でんぷんの質(アミロース量)に影響するといわれています。

  1. 1粉粒の大きさ(粒度)
    微細米粉の粒は上新粉の3分の1以下(小麦粉並み)といわれています。パンケーキやマフィンなど洋菓子の生地をふんわりと膨らませるためには、粒度が小さい微細米粉が適しています。逆にもちや団子の場合には、粒度の粗い上新粉のほうがまとまりのよい生地になります。
  2. 2でんぷんの状態(損傷でんぷん)
    米を粉にする時にでんぷんは傷を受けます。損傷でんぷんが増えると水分を含みやすくなり、生地の膨らみが悪くなります。また吸水後の生地から水分が吐き出される(離水)が起こりやすくなります。米粉パン用の米粉は粒度が適度に小さく、かつでんぷん損傷率の低いものがよいといわれています。
  3. 3アミロース(でんぷんの一種)の量
    米に含まれるでんぷんにはアミロペクチンとアミロースがあり、これらは米の品種によって含まれる割合が異なります。アミロースが多いと生地は膨らみますが、時間がたつとかたくなります。米粉麺用の米粉はアミロースを多く含む品種のほうが麺離れ(麺どうしがくっつきにくい)がよく、食味がよいとされています。米粉パン用の米粉は、アミロースを中程度含む品種のものが適しています。

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