成人ぜん息の基礎知識 健康な人と変わらない日常生活を送れるようになること

知識編ぜん息を知る

さまざまなぜん息

職業性ぜん息

職場にいるときだけぜん息の症状が出る、特定の作業をしているときだけぜん息の症状が出る、ということはありませんか? 特定の労働環境下で、特定の職業性物質にさらされることにより発症するぜん息を「職業性ぜん息」と呼びます。職業性ぜん息の原因となる物質はさまざまで、煙や塩素などの刺激物質と、アレルギー反応を引き起こす原因となる感作物質に分けられます。さらに分子量の違いから、高分子量物質と低分子量物質に分けられます(下表参照)。

ここがポイント!

  • 職業性ぜん息とは、特定の職業性物質にさらされることにより発症するぜん息です。
  • 診断には問診がもっとも重要です。職種、休日に症状が出るかなどを詳しく医師に伝えましょう。
  • 職業性ぜん息を発症したら、原因となる物質を完全に回避することが原則です。

職業性ぜん息を起こしやすい職種とその原因物質

高分子量物質:植物性物質、動物性物質、その他
職種 原因となる物質
看護師、医師、ゴム手袋使用者 ラテックス
こんにゃく製粉、製パン・製麺業者、精米、コーヒー豆取扱者 こんにゃく舞粉、小麦粉、そば粉、米、コーヒー豆
ビニールハウス内作業者、生花業者 キノコ胞子、花粉
実験動物取扱者、獣医、調教師 動物の毛、フケ、尿タンパク
化粧品会社の美容担当者、理容師 人のフケ
カキのむき身業者、干しエビ製造、いりこ製造業者 ホヤの体成分、干しエビ粉じん、いわし粉じん
柔道整復師 トリコフィトン
クリーニング業、薬剤師、清酒醸造業者 酵素洗剤、酵素
シリアル食品製造業者、チーズ製造業者 ハチミツ、凝乳酵素
  1. (喘息予防・管理ガイドライン2018)
低分子量物質:化学物質、薬品、その他
職種 原因となる物質
薬剤師、製薬会社従業員 薬剤粉じん(高分子量物質の薬剤の場合もあり)
製茶業者 精製緑茶成分(エピガロカテキンガレート)
美容師、理容師、毛皮染色業者 過硫酸塩、パラフェニレンジアミン
染料工場従業員 ローダミン、シカゴ酸
金属メッキ取扱者、セメント製造、白金酸素センサー製造業者 クロム、ニッケル、プラチナ
塗装業者、ポリウレタン製造業者 イソシアネート(TDI、MDI、HDI)
超硬合金製造業者 タングステン、コバルト
補聴器製造業者、製版業者 シアノアクリレート
エポキシ樹脂、耐熱性樹脂製造業者 無水フタル酸、酸無水物
製材業者、大工、家具製造業者 木材粉じん(米杉、ラワンなど)
はんだ付け作業従事者 松脂(フラックス)
瞬間接着剤作業者 シアノアクリレート系接着剤(市販の瞬間接着剤)
  1. (喘息予防・管理ガイドライン2018を一部改変)

職業性ぜん息の診断と治療、対策

発症したぜん息が職業性ぜん息かどうかを調べるためには、医師の問診に詳しく答えることが、有用です。以下の内容を詳しく伝えましょう。

医師に伝える内容

  • その仕事を始めてから症状が発現するまでの過程
  • 初めてぜん息症状が出現したとき、24時間以内に原因となる物質にさらされたか
  • 休日には症状が改善するか
  • 職場でアレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎の症状が悪化したかどうか など

職業性ぜん息の治療では、一般的なぜん息の治療と同様に薬物治療が行われます。

原因物質にさられ続けると症状がひどくなり、呼吸機能も低下します。そのため、職業性ぜん息と診断されたら、原則として原因物質を完全に排除しなくてはなりません。ただし、仕事を辞めるのはなかなか困難なことです。職場の理解が得られるのであれば、配置転換などを申し出るのが理想的ですが、現実的には、原因物質をできるだけ避けながら(マスクをする、換気をするなど)、ぜん息の薬物治療を継続していくことになります。それでも症状が悪化してしまう場合には、医師とよく相談のうえ、職業を選択する必要が出てくる場合もあります。

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