ぜん息などの情報館

Q2-1 ぜん息発作の程度は、どのように見極めるのでしょうか?

A2-1
ぜん息発作は、その程度によって小発作中発作大発作に分かれますが、大発作がさらに進むと、呼吸がとてもしづらくなってゼーゼー、ヒューヒューは小さくなり、意識が低下するなど、いつ呼吸が停止してもおかしくない生命が危険な状態になります。この状態を急性呼吸不全といいます。発作の程度は、下表のように呼吸の状態、呼吸困難感、生活の状態、意識の状態を参考に判定しますが、すべてがそろう必要はありません。家庭ではぜん鳴の大きさ、陥没呼吸の程度、起坐呼吸の有無、呼吸困難感と生活の状態が主要な観察点になります。乳幼児では呼吸数の増加、ピークフロー(PEF)が吹ける年齢であればPEFの低下が、客観的な指標として参考になります。(「ぜん息発作の程度をピークフローメーターで表すのはどうしてですか?」参照)
発作程度の判定基準(※1)
  小発作 中発作 大発作 呼吸不全
呼吸の状態 ぜん鳴 軽度 明らか 著明 減少または消失
陥没呼吸 なし~軽度 明らか 著明 著明
呼気延長 なし あり 明らか(※2) 著明
起座呼吸 なし 横になれる あり あり
チアノーゼ なし なし あり 著明
呼吸数 軽度増加 増加 増加 不定
覚醒時における小児の正常呼吸数の目安(毎分)
~2か月:<60  2~12か月:<50
1~5歳:<40  6~8歳:<30
呼吸困難感 安静時 なし あり 著明 著明
歩行時 軽度 著明 歩行困難 歩行不能
生活の状態 会話 普通 やや困難 とぎれとぎれ 不能
食事 やや低下 困難 不能 不能
睡眠 眠れる 時々目を覚ます 障害される 障害される
意識障害 興奮状況 やや興奮 興奮 錯乱
意識低下 なし なし ややあり あり
PEF
(ピークフロー値)
吸入前 >60% 30~60% <30% 測定不能
吸入後 >80% 50~80% <50% 測定不能
SpO2(※3) 大気中 ≧96% 92~95% ≦91% <91%
PacO2(※4)   <41mmHg <41mmHg 41~60mmHg >60mmHg
※1 判定のためにいくつかのパラメータがあるが、全部を満足する必要はない。
※2 多呼吸の時には判定しにくいが、大発作時には呼気相は吸気相の2倍以上延長している。
※3 パルスオキシメーターを使い測定した動脈血の酸素飽和度。血液中の酸素を調べる。
※4 動脈血中の炭酸ガスの濃度。上昇すると呼吸が困難になる。

注)発作程度が強なると、乳児では肩呼吸ではなくシーソー呼吸を呈するようになる。呼気、吸気時に胸部と腹部の膨らみと陥没がシーソーのように逆の動きになるが、意識的に腹式呼吸を行っている場合はこれに該当しない。

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