ぜん息などの情報館

Q5-3 薬の副作用が心配なのですが

A5-3

1. 吸入ステロイド薬
吸入ステロイド薬の副作用には、吸入したステロイドによる局所性ものと、消化管や気道から吸収されて生じる全身性のもがあります。全身性の副作用は、通常使用する範囲(例えばフルタイド200μg/日以下)であれば問題はないとされ、身長は発育について投与当初1年程度1~2cm程度抑制されるが、最終的な身長には影響を与えないとされています。 一方、大量(例えばフルタイド400μg/日程度)になると副腎皮質機能不全の報告があります。骨や皮膚、目などについても、小児では重大な副作用は報告されていません。局所的副作用として、咽頭刺激感や咳の誘発、声がれ、口腔カンジダ症などがあるが、吸入後のうがい(できない場合は飲水)、吸入補助器具の利用などで、多くは予防が可能です。

2. 抗アレルギー薬
 1)ロイコトリエン受容体拮抗薬
 副作用は、発疹、下痢・腹痛、肝機能障害などがあるが、稀で、一般的には安全性の高い薬といえます。
 
 2)化学伝達物質遊離抑制薬
 インタールの吸入薬には、咽頭の刺激感、咳の誘発、発疹などがあるが稀で、長期使用によっても安全性は高いとされています。経口化学伝達物質遊離抑制薬(リザベン、アレギサール、ロメットなど)は、稀にに肝機能障害や発疹、リザベンの出血性膀胱炎があります。
 
 3)ヒスタミンH1拮抗薬
副作用として眠気があり、けいれん、興奮が乳幼児で生じることがあるので注意します。そのほか、稀に発疹、肝機能障害などがあります。セルテクトでは上記のほか、錐体外路症状(硬直、眼球が偏位する、首のねじれ、攣縮、振戦(手足の震え)などが報告されています。
 
 4)Th2サイトカイン阻害薬
副作用として、消化器の症状(胃の不快感、吐き気、下痢など)のほかに、眠気、頭痛、発疹、肝機能障害ばどがあります。また、ネフローゼ症候群の報告があります。

3. テオフィリン徐放製剤
一般的は、血中濃度に比例して副作用が出てくることが多く、個人差も大きいのですが、消化管症状(気持ちが悪い、嘔吐、食欲不振、下痢など)、次いで中枢神経症状(興奮、不眠)、さらに高濃度となると循環器症状(頻脈、不整脈)、さらに高濃度になるとけいれんをおこして死亡することもあるとされています。けいれんは、5歳以下、特にてんかんなど中枢神経の病気を合併しているとおこりやすいとされています。

4. β2刺激薬
副作用として、循環器症状(動悸(心臓がどきどきする)、頻脈、不整脈など)、消化管症状(吐き気、嘔吐など)や振戦(手足の震え、鉛筆を持てない、字が震えて書けない)などがあります。
 貼付薬(ホクナリンテープ)には、上記のほか、貼った場所のかゆみ、発赤、かぶれ、発疹などが報告されています。貼るときは、湿疹が出ている場所をなるべく避けます。連用する場合は、皮膚への刺激を減らすため、貼る場所を変え、新たに貼る場合は、前に貼ったテープをはがします。経口β2刺激薬と併用すると過剰投与になる恐れがあり、注意が必要です。
 短時間作用性吸入β2刺激薬だけでぜん息をコントロールしていると、気道炎症が悪化し、気道過敏性が亢進して、かえってぜん息が悪化して、ぜん息死の危険性を高めることが指摘されています。また、長時間作用性β2刺激薬は、常用すると重篤なぜん息発作の危険性を高める可能性が指摘され、米国食品医薬品局(FDA)は安全性が未だ確立されていないとの立場をとっており、使用する場合は必ず吸入ステロイド薬と併用するなど、単独で使用しないよう求めています。
 ぜん息のコントロールは抗炎症作用のある長期管理薬を第一選択薬としておこないます。

5. 吸入ステロイド薬・長時間作用性β2刺激薬配合剤
吸入ステロイド薬・長時間作用性β2刺激薬配合剤は、米国食品医薬品局(FDA)は長時間作用性β2刺激薬の安全性が確立していないとの立場から、ぜん息がコントロールされたら吸入ステロイド薬のみで長期管理し、長時間作用性吸入β2刺激薬投与を中止することを推奨しています。

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