ぜん息などの情報館

1-1 健康相談事業の効果的な実践及び改善のための評価手法に関する調査研究

代表者:小田嶋 博

研究の概要・目的

近年、喘息やアレルギー疾患は、なお増加を続けている。その治療は進歩・普及し、コントロールが容易になったかにみえるが、実際には、そのための薬物療法は不十分であることが多い。また、薬物療法以外の原因対策、運動療法や環境整備も重要である。これらの実践においては、健康相談事業を効果的に実践し、社会的必要性に応じて、問題点があればそれを改善していかなければならない。この実践に関しての適切な評価手法に関して、研究することが必要かつ重要である。
この研究課題全体の目的は、従来作り上げてきたフィールドを生かし、健康相談事業を疾患の状況に合わせて、適切に実施するための障害となる事象の検討、適切な実施方法・実施状況の適切さの評価方法を検討することである。

年度ごとの研究目標(計画)

平成21年度

  1. F県内の小学校、高等学校を中心に、喘息に関する健康調査及び健康相談を目的とした健康教室を行い、その実施方法と効果についての評価方法を検討する。特に高校では同時に、喫煙に関する実態や意識、対応と精神的因子についても検討する。また、小学生に関しては喘息キャンプや水泳教室での喘息指導とその効果を検討する。
  2. Y市内公立中学校における喘息教室と服薬に関する調査を実施する。同市内公立中学校におけるタバコに関する調査と尿中コチニン測定による受動喫煙の調査を実施する。

平成22年度

  1. 小・中・高等学校における喘息・アレルギー疾患調査と精密検査、健康相談対象者の抽出方法の作成、抽出による小学校での家族に対する集団指導、高校での本人及び必要により家族への個別指導の雛形を作成し試行する。
  2. 中学校における喘息講演会・喘息教室の開催、コチニンを用いた能動喫煙、受動喫煙の実態把握を行う。また、小学校・高校での家族や担任教師などによる事業の評価方法を試行する。

3年間の研究成果

平成21年度

  1. 除去可能な喘息に影響する因子としての喫煙が、特に思春期における鬱傾向に関連するとの結果が得られた。
  2. 尿中コチニン濃度が、家族の喫煙者数、本人が自覚する受動喫煙の頻度と強い相関を認め、受動喫煙の客観的マーカーとして有用であることが確認された。高レベルの受動喫煙の危険因子としては、喫煙する家族の存在、室内で喫煙する家族の存在が挙げられ、特に、喫煙者が2名以上の場合にはリスクが高いと考えられた。高レベルの受動喫煙は肥満傾向、感冒、ワクチン接種、朝食非接種と女児における気管支喘息の罹患に関連していた。

平成22年度

  1. 小学校では、患者家族の相談事業への評価を実施し、過去のデータと合わせた血清IgE値の経年変化を把握把握した。
  2. 中学校ではH23年度の学校年間計画へのアレルギー講習会の組み込みを実施した。
  3. 高校では、23年度の4月新学期における健康調査の中の一つとして喘息・アレルギーの項目を組み込み、その問診票の内容をスキー、寒稽古前に生徒全員に実施・試行した。また、その項目を点数化し、対象を抽出する方法を作成した。点数化に関しては概ね目的を達し、抽出が行われ重症例を抽出し、実際のスキー教室の大発作に対処できた。

評価結果

平成21年度

平成21年度評価結果(PDF:106KB)

平成22年度

平成22年度評価結果(PDF:47KB)

平成23年度

平成23年度評価結果(PDF:114KB)

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