ぜん息などの情報館

2 気管支ぜん息患者の年齢階層毎の長期経過・予後を踏まえた健康相談・健康診査・機能訓練事業の事業内容の改善方法に関する調査研究

代表者:秋山 一男

研究の概要・目的

これまで小児喘息及び成人喘息の2ワーキンググループを立ち上げ、長期経過・予後を追跡するシステムを構築した。このシステムを活用し、前方視的に喘息患者の治療・管理状況を追跡することで、長期予後に関係する寛解・増悪因子を明らかにすることを目的として本年度の研究を実施した。
小児喘息部門では、平成15年に構築した長期予後追跡システムを用いて、登録3年目の重症度、治療状況、環境要因等について、解析した。
成人喘息部門では、全体研究として、成人喘息の長期予後、難治化に関する要因を多角的に明らかにすることを目的として、8万人に及び健康保険組合レセプト調査システムを構築し、平成11、15、19年について解析し、成人喘息集団の実態、医療費の推移予後因子などを明らかにした。

年度ごとの研究目標(計画)

平成21年度

小児喘息部門:小児気管支喘息の予後を前方視的観察研究で調査するためにこれまでに1234名の喘息または喘鳴の既往のある小児を登録してきた。今年度は、3年間の経過について集計し解析する。
成人喘息部門:成人喘息の長期予後、難治化に関する要因を明らかにするために①レセプト解析による成人喘息集団の大規模実態調査による予後因子などの研究、②成人喘息の経年的肺機能低下に関する研究、③成人喘息における寛解例、通院中断例からの検討、④日本人成人喘息における難治化因子とリモデリング危険因子の検討、また、成人喘息の原因と増悪にかかわる環境因子を明らかにするために、①屋外環境:成人喘息における屋外環境増悪因子の研究、②室内環境:新規室内重要アレルゲン(昆虫)の同定と意義に関する研究を行う。

平成22年度

  1. 小児喘息部門においては、これまで継続してきた気管支喘息群及び乳児喘鳴群の登録4年目のデータの解析を行い、寛解・改善の状況の把握と、改善に関わる因子の解明を行う。
  2. 成人喘息部門においては、定期的に実施しているレセプト調査におけるこれまでの調査のさらなる解析と次年度調査の準備、さらに新たな調査システムとして実施したインターネット調査による調査の妥当性・有用性の検討と結果の解析、さらには各個研究として多角的な視点からの成人喘息予後規定因子の検討を行う。

3年間の研究成果

平成21年度

小児喘息部門:今年度は485名の喘息患者の調査資料を回収することができた。多くの喘息児で症状の改善、コントロールがついており、真の重症度も改善傾向にあることがわかった。乳幼児期の喘息の1/3が6歳までに抗炎症薬が不要な間欠型に落ち着くことがわかった。
成人喘息部門:成人喘息の長期予後、難治化に関する要因については、レセプト解析によりはじめて生の喘息医療実態、発作受診回数や喘息医療費の変化が明らかとなった。成人喘息難治化因子を日本人で初めて大規模かつ正確に証明した。

平成22年度

  1. 小児喘息部門では、4年目の短期予後状況として、その90%以上が症状の改善が認められたが、初診時重症患児では、4年後もコントロール不十分な患者も少なからず認められた。またアレルゲン除去を目的とした環境整備が不十分な状況は、大きくは変わっていなかった。なお、改善・寛解規定因子が調査年度ごとに変化しており、今後の長期追跡による経過が注目される。
  2. 成人喘息部門では、今回初めて、国内初の大規模かつ正確なWeb調査により、日本人の小児から若年成人発症喘息の長期予後とそれに寄与する因子が明らかになった。さらに日本人成人喘息における難治化因子とリモデリング因子などが明らかにできた。

評価結果

平成21年度

平成21年度評価結果(PDF:81KB)

平成22年度

平成22年度評価結果(PDF:50KB)

平成23年度

平成23年度評価結果(PDF:153KB)

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