ぜん息などの情報館

3-3-1 COPD患者と公害認定患者に対する重症度別、簡便呼吸リハビリテーションプログラムの多施設間無作為比較試験に関する調査研究

代表者:千住 秀明

研究の概要・目的

本研究の目的は、倉敷市、北九州市の公害認定患者と長崎地区の慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者を対象に、下記の2項目を検討することである。
①公害健康被害者の過去10年間の肺機能の推移から呼吸機能低下率を算出して、今後の公害認定患者の肺機能低下を予測し、呼吸リハビリテーションが必要な対象者数を推定する。
②公害健康被害者の日常生活への負担を軽減する目的で、現在COPD患者に適応されている簡便呼吸リハビリテーションプログラムを適応し、その効果をCOPD患者と比較し、有用性を検討する。

年度ごとの研究目標(計画)

平成21年度

倉敷市、北九州市の65歳以上(21年度)の公害認定患者における認定時、平成11年度および21年度の身体組成、肺機能、身体症状、受診歴など認定患者の重症度より呼吸リハビリテーション対象者数を推定する。また、平成11年度および21年度の経年的変化よりこれからの認定患者の身体諸機能の予後を推定する。また、COPD患者と公害認定患者を対象に簡易呼吸リハビリテーションプログラムを作成、適用し、その有効性を検討する。

平成22年度

  1. 倉敷市、北九州市の公害認定患者を対象に、年齢、性別、認定疾患、喫煙歴、症状(息切れ、喘息発作、咳と痰)、身体組成、呼吸機能検査を診療録より調査し、疾患別に認定患者の身体的特徴を明らかにする。
  2. 公害認定患者を対象として呼吸リハプログラムを実施し、その有用性を身体機能面、精神心理機能面等から検証する。

3年間の研究成果

平成21年度

  1. 呼吸リハビリテーションが必要な公害健康被害者数は呼吸機能に基づく病期別判定では40%、呼吸困難や日常活動制限よる判定では94%であった。
  2. 対象者の呼吸機能低下は正常範囲内であり、現状の健康被害予防システムが十分機能していた。
  3. COPD患者に対する呼吸リハビリテーションの方法論は、公害認定患者の運動能力を高める効果を示したが、実際のADLや精神心理的な向上には十分寄与しなかった。

平成22年度

  1. 倉敷市、北九州市の公害認定患者の身体・呼吸機能について分析した結果、呼吸機能は良好な値を示しているが、症状の有訴率が高いことが確認できた。また、公害認定患者群では下肢筋力、運動耐容能の低下や日常の活動量の減少、不安やうつ症状を有するものが多いことが明らかにした。
  2. 公害認定患者に対し、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対する呼吸リハビリテーションを実施した結果、一部の項目で改善を認めたもののその効果は予想していたものと比べて少なかった。また、公害患者は、呼吸リハ実施によって活動量の増加を認めたものは少なく、運動に対する意欲の低さが疑われた。

評価結果

平成21年度

平成21年度評価結果(PDF:80KB)

平成22年度

平成22年度評価結果(PDF:42KB)

平成23年度

平成23年度評価結果(PDF:146KB)

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