ぜん息などの情報館

1-2. 新生児からの皮膚バリア機能保持・シンバイオティクス投与による吸入アレルゲン感作・喘鳴・喘息発症の予防に関する研究

代表者: 下条 直樹(千葉大学大学院医学研究院)

研究の概要・目的

皮膚バリア機能に先天的に異常があるフィラグリン遺伝子変異があると皮膚からのアレルゲン感作を介して高率に喘息が発症することが国内外の調査から示されている。しかしながら、アレルギー疾患の発症には多くの因子が関与しており、単一の方法でアレルギーを予防することは簡単ではなく、より包括的な方法が必要であると考えられる。
したがって、本研究では、日常生活において実際に施行可能な予防法として、生後早期からの皮膚バリア機能保持(保湿薬)と腸内細菌叢の速やかな形成のためのシンバイオティクス(プロバイオティクスとプレバイオティクスの組み合わせ)の両者の併用効果を検討することを目的とする。
日常生活において実際に施行可能な予防法として、生後早期からの皮膚バリア機能保持(保湿薬)と腸内細菌叢の速やかな形成のためのシンバイオティクス(プロバイオティクスとプレバイオティクスの組み合わせ)の両者の併用効果を検討する。

年度ごとの研究目標(計画)

平成24年度

シンバイオティクス(SB)投与+保湿薬(Emo)塗布群、SB投与群、Emo群、非介入群の4群について各群150名に無作為割り付けを行う。シンバイオティクスとして、Bifidobacterium bifidum109個/日とフラクトオリゴ糖1g/日を生直後から6か月まで投与する。保湿薬として、ロコベースTMを一日2回顔面および乾燥の見られる部位に塗布する。
乳児健診は生後1か月、6か月、9か月で行い、乳児湿疹、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、喘鳴・喘息の有無を評価する。9か月で採血を施行し、食物・吸入アレルゲン感作を評価する。産院入院中に助産師に、生後1か月、3か月、6か月、9か月、12か月時に保護者に栄養法、喘鳴等についての調査票を記入してもらう。
また、アトピー性皮膚炎・喘鳴と関連するバイオマーカーを検討するために、生後1歳までの生体試料を採取する。

平成25年度

平成24年度と同様の研究方法により引き続き研究を行う。

2年間の研究成果

平成24年度

本研究は従来にない新生児への介入研究である。本研究を説明した妊婦数は、平成24年10月からの4か月間で280名、月平均70名であった。このうち、96名が本研究に1次エントリーした。シンバイオティクス、保湿薬とも安全性が高く、これらの使用の副作用によると考えられる脱落者はほとんどいなかったが、早産等でエントリー基準を満たさず2次エントリーはやや減少している。

平成25年度

正常分娩で本研究の対象になる妊婦の大部分に説明等を行ってリクルートし、年度内にはエントリー数は483名であった。平成26年3月時点での9か月児159名についての解析では、アトピー性皮膚炎発症率は、非介入群20%、保湿薬(Emo)塗布群20%、シンバイオティクス(SB)投与群21%、SB投与+Emo塗布群17%と併用群が最も低値であった。また、食物アレルゲン感作率についても非介入群47%、Emo塗布群47%、SB投与群39%、SB投与+Emo塗布群26%と併用群が最も低値であった。ダニ感作率は非介入群7%、Emo塗布群7%、SB投与群3%、SB投与+Emo塗布群0%とSB投与群、 併用群で低値だった。

評価結果

平成24年度

平成24年度評価結果(PDF:92KB)

平成25年度

平成25年度評価結果(PDF:90KB)

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