ぜん息などの情報館

2-1-1. 気管支ぜん息患者の効果的な長期管理支援のための患者アセスメント手法と評価に応じた患者教育プログラム

代表者: 大矢 幸弘(国立成育医療研究センター)

研究の概要・目的

ソフト3事業における健康相談および健康診査事業において、ぜん息患児および保護者に対する支援がより有効なものとなるように、個々の患者の心理社会的要因や行動要因を踏まえたテイラー化教育プログラムを開発し、患者個人の行動レベルやアドヒアランスの程度に適合した効果的な個別指導方法を確立する。
平成24年度の調査研究においては、テイラー化教育プログラムの有効性を、服薬アドヒアランスの測定、呼気NO測定、養育者用喘息QOL尺度の測定、および平成23年度に開発した自己効力感尺度得点の測定等によって検証する。さらに、平成25年度は、テイラー化教育プログラムの実用性を高めるために、プログラム実施評価を基にした内容修正とともに、一般化に向けて医療従事者の使用可能性を検討することにより、プログラムの修正および改良を実施する。

年度ごとの研究目標(計画)

平成24年度

無作為化非盲検群間比較試験(Randomized Controlled Trial:RCT)により、研究責任者が診療を行っている医療機関を受診する満7歳から18歳以下のぜん息患児で、JPACによるぜん息コントロール状態が「比較的良好」および「不良」に該当する者、および未就学のぜん息患児を養育している保護者で、JPACによる児のぜん息コントロール状態が「比較的良好」および「不良」に該当する者の保護者を対象として、患児用テイラー化教育プログラムおよび保護者用テイラー化教育プログラムを実施し、平成23年度に開発した自己効力感尺度の測定、呼気NO測定、および服薬アドヒアランスの測定等によって、テイラー化プログラムの有効性を検証する。

平成25年度

平成24年度の研究において、テイラー化介入群の対象者に配布するプログラム評価票から、プログラム内容の妥当性を高めるべく、修正の示唆を得るとともに、プログラムの一般化に向けてプログラムの改良を行う。また、改良後のテイラー化教育プログラムの最終評価として、7歳以上の患児および未就学のぜん息患児を養育する保護者を対象に、プログラムの実用性評価を行うとともに、プログラムを提供する医療従事者側の実用性を評価し、実施可能性および使用可能性を検討する。

2年間の研究成果

平成24年度

学齢期のぜん息患児、未就学ぜん息患児の保護者を対象とした研究において、テイラー化教育プログラム、およびぜん息パンフレットともに患者教育の効果が認められた。患者特性ごと(ぜん息発症年齢,処方内容,発達段階など)に分類し、教育効果を検証した結果では、テイラー化教育プログラムの教育効果が認められた。息パンフレットおよびテイラー化教育プログラムは、提供方法および内容が異なるが、それぞれに利点および欠点が存在する。患者教育の効果を高めるためには、対象者のぜん息発症時期や動機づけ、および重症度などに応じて、テイラー化教育プログラムとパンフレットを併用させた患者教育の必要性が明らかになった。

平成25年度

テイラー化教育プログラムの改良修正を行い、テイラー化教育プログラムの一般化に向けた実用性評価研究を実施した。大きな修正点として、本プログラムの媒体をタッチパネル式PCからタブレット端末へと変更した。実用性の評価について、4施設・計60名にテイラー化教育プログラムを実施した結果、改良した本プログラムは、子どもが楽しく実施可能であり、保護者・子どもともに喘息に対する理解を促すことが示唆された。さらに、保護者および患児が本プログラムを受講することで、疾患理解にとどまらず、認知の変容や管理行動が動機づけられるといった効果が確認された。

評価結果

平成24年度

平成24年度評価結果(PDF:75KB)

平成25年度

平成25年度評価結果(PDF:76KB)

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