ぜん息などの情報館

2-1-2. アレルギー専門コメディカルによる喘息・アレルギー疾患自己管理・長期管理指導の質の向上、医療の効率化に関する研究

代表者: 赤澤 晃(東京都立小児総合医療センター)

研究の概要・目的

現在のガイドラインに沿った治療が適切に実施されれば十分な喘息コントロールができるが、①重症度の過小評価による治療薬の不足、②吸入薬使用、環境整備、自己管理等の治療スキルの指導不足、③低アドヒアランスにより長期管理が実施できない等の問題があることがすでに指摘されており、この問題の解決には、治療スキルの指導、アドヒアランスを向上させる患者教育及び患者を指導するコメディカルの参画が必須である。
したがって、本研究では、小児アレルギーエデュケーターが病態説明、吸入指導、スキンケア指導、Q&Aなどを丁寧に実施するための患者教育のプログラムを作成し、患者満足度、QOL、治療スキル及び自己管理能力を向上させ、長期管理の継続、発作時対応、環境整備等が実施できるようにすることを目的とする。
小児アレルギーエデュケーターによる患者教育により患者満足度、QOL、治療スキル、自己管理能力の向上、長期管理の継続、発作時対応、環境整備等が実施できるようになり治療効果、効率の向上、医療費の削減に繋げられるようにする。平成24年度は、現在の診療体制でアレルギー治療に必要な患者教育がどこまで実施できているかを調査する。平成25年度は小児アレルギーエデュケーターが介入できる患者教育のプログラムを作成し、介入の違いによる治療効果等の違いを示していく。

年度ごとの研究目標(計画)

平成24年度

小児アレルギーエデュケーターとのチーム医療によりアレルギー医療の質と効率の向上を検証するため、①治療ガイドラインの治療目標を達成するために現状の医療体制での問題点を把握するための調査、②アレルギー専門コメディカルの養成と質の担保、③専門コメディカルが介入した場合の患者満足度、QOL、治療効果、長期的な医療費の検証を行う。平成24年度については以下の検討を行う。
①治療ガイドラインの治療目標を達成するために現状の医療体制での問題点を把握するための調査
現状の医療体制の問題点を研究協力者の施設でアンケート調査を行う。調査用紙は、既存の調査用紙と一部新規に開発したものを用い小児専門医療施設、一般医療施設の小児科、診療所小児科において調査を実施する。
②アレルギー専門コメディカルの養成と質の担保
専門コメディカルにはアレルギー疾患に関する高度な知識と治療技術指導能力、コミュニケーション技術が必要であるため、日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会の資格認定制度である小児アレルギーエデュケーター制度と協力する。また、本年度の調査で把握された問題点を参考にして、専門コメディカル用の患者教育マニュアル、プレパレーションツールを作成する。

平成25年度

①アレルギー専門コメディカルの養成と質の担保
前年度に引き続き小児アレルギーエデュケーターが使用する患者教育マニュアル、プレパレーションツールを作成する。
②専門コメディカルが介入した場合の患者満足度、QOL、治療効果、長期的な医療費の検証
研究分担者の医療施設において、小児アレルギーエデュケーターの指導の有無、内容の違いを盛り込んだ臨床研究プロトコルを作成、倫理審査を受け実施し、治療効果、経済効果を検証する。

2年間の研究成果

平成24年度

医療側の患者教育の実態調査として、医療施設、医師、看護師を対象に郵送によるアンケート調査を行った。8割以上の施設で患者教育は実施していたが、そのほとんどは医師が行っており、十分に行えている看護師はわずか1割程度であった。患者に対してはWebによる調査行っている。
患者教育の臨床力を高めるための学習教材として、Case Studyによる自己学習プログラムを作成中である。

平成25年度

小児アレルギーエデュケーターによる患者教育の効果の検討においては、吸入療法で9割の患者が不適切な吸入方法であったところ、小児アレルギーエデュケーターの指導によりほぼ全員が適切に行えるようになった。アトピー性皮膚炎患者・家族の小児アレルギーエデュケーターの継続治療においては、小児アレルギーエデュケーターの実効力の高い指導を支えていたものは、専門知識に裏打ちされた理論や指導スキルであった。
専門コメディカルの患者教育の質を向上させるための学習教材の開発においては、患者教育の質を高める教材として、①e-ラーニングCase study、②Group Workで活用できる動画によるケーススタディ、③アトピー性皮膚炎患者指導マニュアル、以上の3つを作成した。

評価結果

平成24年度

平成24年度評価結果(PDF:80KB)

平成25年度

平成25年度評価結果(PDF:95KB)

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