WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

すこやかライフNo.40 2012年10月発行

特集

特集 いまよりもっとからだを動かそう!

ぜん息やCOPDといった慢性呼吸器疾患では、運動をすることで発作が誘発されたり、息切れがひどくなったりするために、動くことを避け、できるだけ安静にしていようとする傾向があります。しかし、安静にしていることが慢性呼吸器疾患にとっていいかというと、決してそうではありません。

そこで今号では、慢性呼吸器疾患があっても「いまよりからだを動かすこと」がどれだけ大切か、その理由と効果について探ります。小児ではぜん息、成人ではぜん息とCOPDなど、年齢層によって問題となる疾患が異なりますので、小児と成人にわけて特集します。


特集 小児ぜん息と運動:運動不足がちな現代っ子 身につけよう運動習慣!

ぜん息があるないにかかわらず、小児期における運動習慣は、健全な成長のためにとても大切なことです。
しかし、現代ではからだを動かす機会が減り、運動不足がちな子どもが増えているといわれています。
運動を続けていくことは、ぜん息児の心身の成長に大きくかかわることから、ぜん息と運動のことについて、国立病院機構下志津病院小児科医長の佐藤一樹先生にお話を伺いました。オリンピックも終わり、いろいろと刺激を受けたこの機会に、少しでもからだを動かしてみては!

このテーマのポイント

  • 運動をすることで一時的なぜん息症状が起きる「運動誘発ぜん息」が、とくに小児では起きやすい。
  • 運動誘発ぜん息のために、「体力がない」「これ以上運動はできない」などと思いこみ、運動をしなくなってしまうことが多い。
  • 定期的に運動をすることで、運動誘発ぜん息は起こりにくくなり、ぜん息のコントロール状態もよくなる。
  • 運動誘発ぜん息の予防には、長期管理薬を中心とした日常管理をしっかり行った上で、マスクの着用、十分なウォーミングアップが効果的。
  • 好きな運動、楽しんでできるスポーツを見つけ、それを「続けていく」ことが大切。
  • 運動誘発ぜん息が起こったら、いったん運動をやめ、腹式呼吸をして水分をとりながら様子を見る。
  • 20分から30分で自然に治まることが多く、落ち着いたら運動を再開してもよい。(その後しばらくは起きにくくなる)。

より詳しくは、次のメニューからご覧ください

お話をうかがった先生

国立病院機構 下志津病院 小児科・アレルギー科 アレルギー科医長 佐藤 一樹 先生

佐藤 一樹 先生

プロフィール

1992年千葉大学医学部卒業後、1993年同小児科入局。1999年より国立病院機構下志津病院小児科勤務。2008年より現職。

メッセージ

ロンドンオリンピックで活躍している日本の選手を見て、運動、スポーツに興味を持つ子どもたちが、非常に増えたのではないかと思っています。いままで興味はなかったけれど、何かしらのスポーツに憧れたり、運動があまり好きではなかったけれど、自然とからだが動いてしまったりといったことが、きっとあったのではないでしょうか。
ぜん息だから運動はできないということはありません。そういう子どもたちが楽しくからだを動かせるように、ぜひ周囲の人も協力してあげてください。


特集 成人の呼吸器疾患と運動:息切れを楽にして からだを動かしましょう!

成人のぜん息の場合も、運動誘発ぜん息は少なからず見られますが、長期管理薬を中心にした日常管理によりぜん息をコントロールした上で、自分のペースに合わせ、無理なくからだを動かすことが健康維持のためには大切となります。
一方、大きな問題となるのは、COPDです。高齢での発症がほとんどということもあり、息切れによりからだを動かさなくなることが、身体機能の低下や毎日の生活に大きく影響してきます。
そのCOPDと運動の関係について、順天堂大学 大学院医療看護学研究科 臨床呼吸病態学分野 教授の植木純先生にお話を伺いました。これを機会にいままでの生活を振り返って、より活動的な生活を過ごすようにしましょう。

このテーマのポイント

  • 成人では、息切れによる身体活動量低下が大きな問題となる病気として、COPDがある。
  • COPDでは、動かなくなることで息切れがさらに強くなり、体力、筋力も低下しやすい。
  • 柔軟性、筋力、持久力を維持・増進する体力づくりが重要。
  • 「口すぼめ呼吸」と「呼吸と歩行のリズム」を意識して行うことで、歩くときの息切れを軽くできる。
  • ストレッチングや姿勢をよくすることにより、胸の動きをスムーズにすることで、呼吸がより効率的になる。
  • 体調に合わせながら運動を継続していくことが大切。
  • 運動中に息苦しくなっても、あわてずに対処できる「パニックコントロール」を身につける。
  • 安全に運動を行うには、薬物療法などふだんの治療をしっかり行い、病状を良好に保つ。
  • 運動中に息苦しくなったらすぐにいったん休む。調子が悪いときは、無理をせず運動を控える。

より詳しくは、次のメニューからご覧ください

お話をうかがった先生

順天堂大学大学院 医療看護学研究科 臨床呼吸病態学分野 教授 植木 純 先生

植木 純 先生

プロフィール

順天堂大学医学部卒業、インペリアル・カレッジ・ロンドン附属ハマースミス病院留学。在宅呼吸ケア白書2011副ワーキンググループ長、COPD診断と治療のためのガイドライン第4版作成委員会委員、呼吸リハビリテーションマニュアル―運動療法―改定第2版ワーキンググループ長を務める。

メッセージ

COPDでは、呼吸リハビリで運動能力を短期的にアップすることも重要ですが、最近では、長期的にいかに日々の活動性を保つかということが大きく注目されています。身体活動量が寿命を大きく左右するということも報告されました。活動的な生活を過ごすためには、呼吸法や呼吸同調歩行を修得し、ストレッチングなどで胸の動きを軽やかにして、動いたときの息切れを楽にすることが近道です。日誌等に歩数や症状などを記録して、現在の自分を知ることから始めましょう。

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