WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

すこやかライフNo.42 2013年9月発行

小児ぜん息 アレルギー医療トピックス 食物アレルギーのための知っておきたい食品表示の見方~誤食を防ぐために~

食品表示にまつわる「ひやりはっと事例」から学ぶ誤食を防ぐ食品表示の活用法

事例1:大袋から出してしまったので… 5歳女児 アレルゲン:卵

イメージ

友人に娘を預けました。おやつに大袋から出した個包装のスナック菓子を与えてくれたのですが、30分後にせき込みと唇のはれが起こってしまいました。

友人には娘が鶏卵アレルギーであることは伝えていましたが、個包装には食品表示の記載がなく見落としてしまったようです。個包装を包んである大袋のアレルギー物質食品表示には「卵白」と書いてありました。

伊藤先生の解説

大袋や箱に入った小分けの菓子などは、取り出す前に食品表示を確認するようにしましょう。

また、祖父母や友人などに子どもを預ける際は、繰り返しアレルギーの原因物質を確認し、食べる際に、原材料がはっきり認識できないものは、与えないようお願いしましょう。

子どもを預ける際には、本人が食べられるおやつを、一緒に渡すのもいいでしょう。

事例2:添加物にも気をつけて 7歳女児 アレルゲン:乳

イメージ

食品表示を見ないまま購入してしまった味付きの牛肉を、夕食に食べさせました。牛肉に子どものアレルゲンである「乳」は含まれていないと思っていたのですが、食後、まぶたがはれあがってしまいました。

後で表示を確認したところ、乳由来の「カゼイン」が含まれていることがわかりました。

伊藤先生の解説

カゼインは、牛乳のアレルゲンタンパク質の一種です。カゼインナトリウムは、結着性に優れており、アイスクリームやソーセージ、成型肉(サイコロステーキなど)に使用されています。

加工食品では、食品表示を確認することで誤食を防ぐことができますが、レストランなどで食材にカゼインが使われていることもあるので、注意しましょう。

事例3:一括表示の見落としに注意 4歳男児 アレルゲン:小麦

イメージ

コンソメスープの素を使い、野菜スープを作って子どもに飲ませました。表示には(小麦を原材料の一部に含む)と書いてありましたが、原材料の「しょうゆ」に使われている小麦なら大丈夫だと思い、使ってしまったところ、せき込みなどの症状が出てしまいました。

後日メーカーに確認したところ、小麦粉がしょうゆ以外にも使われていることがわかりました。

「しょうゆ」に含まれる小麦だけであると勘違いしてしまった事例の表示例 原材料名:食塩、乳糖、砂糖、食用油脂、野菜エキス、香辛料、しょうゆ、ビーフエキス、酵母エキス、チキンエキス、調味料(アミノ酸等)、加工でん粉、酸味料 (小麦を原材料の一部に含む) 最後の小麦の説明部分が一括表示となっています。 

伊藤先生の解説

しょうゆの原料である小麦は、醸造の過程でアレルゲン性が消失しているので、小麦アレルギー児であっても使用可能であることが多くあります。

この「コンソメスープの素」はアレルギー物質を一括表示していたため、どの原材料に小麦が使われているのかわからず、母親はしょうゆの小麦だと思い込み、食べさせてしまいました。

一括表示の場合は、どの原材料にどのくらいの量のアレルギー物質が含まれているのかわかりません。思っているよりも多くの量が含まれていることもあるため、心配な場合は製造会社に問い合わせましょう。


目次

このページの先頭へ