WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

すこやかライフNo.43 2014年3月発行

小児ぜん息 その他のアレルギー特集 子どもの成長とアレルギー 「アレルギーマーチ」から学ぶアレルギー疾患の予防と管理

年齢別に見たアレルギーの特徴:乳児期(0~2歳)

乳児期の発達と特徴

※通常は、乳児期は1 歳未満を指しますが、アレルギー疾患では疾患の特性上、2 歳までを乳児期としています。

乳児期に現れやすいおもなアレルギー疾患は、「食物アレルギー」と「アトピー性皮膚炎」があげられます。からだが未成熟のために行えない検査もあることなどから、症状がアレルギーを原因とするものなのか、その他のものが原因なのか、鑑別がむずかしい時期ですので、症状を注意深く観察することが大切です。

乳児期は、アレルギーマーチの始まりの時期であり、食物は最初に出会うアレルゲンといわれています。アレルギー疾患の症状としては、下痢や嘔吐、腹痛などの消化管症状や、湿疹やじんましんなどの皮膚症状が出るようになります。

しかし、まだからだの各器官の発達が十分ではなく抵抗力も弱いため、いろいろな病気にかかりやすく、アレルギー疾患ではなくてもアレルギーに似た症状が現れることも少なくありません。

湿疹は乳児湿疹であったり、牛乳を飲むと必ず下痢をする場合は、消化・吸収不良(乳糖不耐症)の可能性もあります。せきが続いたり、ぜん息のようなゼロゼロ、ゼーゼー、ヒューヒューというぜん鳴が起こることも、しばしばあります。

乳児期に起こりやすい症状と関連するアレルギー疾患●消化管症状 下痢、嘔吐、腹痛●皮膚症状 湿疹、じんましん、発赤、唇のはれ ●呼吸器症状せき、ぜん鳴、呼吸困難 関連するアレルギー疾患●食物アレルギー ●アトピー性皮膚炎●乳児消化管アレルギー ●ぜん息

アレルギー疾患関連データ ■アトピー性皮膚炎年齢別有症率のグラフ (保健所および小学校、大学健診による全国有症率調査より) ■即時型食物アレルギーの頻度グラフ (日本保育園保健協議会 平成21年度実施 953施設)

発症の気づきとぜん息発症予防のためのポイント

ぜん息発症予防のためのポイント 感染症を予防する●手洗い、うがいをする、流行時にはマスクをつけるなど、感染症予防の対策をとりましょう。  環境整備をする ●こまめな掃除、寝具の手入れなど、ダニ、ハウスダストなどの除去対策を行いましょう。 アトピー性皮膚炎は薬物療法と適切なスキンケアを ●アトピー性皮膚炎では、皮膚のバリア機能の低下を防いで症状を悪化させないために、薬物療法と適切なスキンケア(本号医療トピックス参照)の両方が重要です。また、環境整備も大切ですので、これらをしっかり行うようにしましょう。食物アレルギーやアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を発症するリスクがある子では、下記のポイントを参考にそれらの発症に早めに気づくことが大切です。そして、それらのアレルギー疾患を発症した子では、適切な治療をしっかり行って、ぜん息の発症予防につなげることが重要となります。

日常生活におけるぜん息発症予防のポイントとしては、この時期にウイルス感染をくり返すとぜん息を発症しやすくなるといわれているため、感染症を予防することが大切となります。

また、アレルギーマーチでは、アレルギーの原因となるアレルゲンが、乳児期から幼児期にかけて、食物からダニやハウスダストなどに変化していくとされています。そのため、アレルゲン除去などの環境整備を行うことも重要です。

さらに、アトピー性皮膚炎を発症している場合は、皮膚をきれいに保つことで皮膚から体内にアレルゲンが進入するのを防ぎ、ぜん息の発症予防につながる可能性があるとされています。

 

食物アレルギー発症の気づきポイント

イラスト食物を食べた後に、じんましんなどの皮膚症状や呼吸器症状、消化器症状などが出てしまった場合、以下の項目を記録しておく。

  • 何を食べたか。
  • どれだけ食べたか。
  • 食べてから発症までの時間は?
  • 症状の持続時間は?
  • 症状の特徴
  • 症状の再現性はあるか?

食物アレルギーの症状は皮膚症状が多いが、皮膚症状だけでなく、呼吸器症状、下痢などの消化器症状などが同時に現れることもある。このような症状はアナフィラキシーといい、注意が必要となる(40号医療トピックス参照)。 食物を食べた後に、じんましんなどの皮膚症状や呼吸器症状、消化器症状などが出てしまった場合、以下の項目を記録しておく。

アトピー性皮膚炎発症の気づきポイント

皮膚は全体的に乾燥肌(ドライスキン)。

かゆみをともなう湿疹が、長期間続く(乳児では2か月、それ以上では6か月以上)。

湿疹は左右対称にあらわれることが多い。

湿疹が出やすい場所は、乳児期、幼児・学童期で違った特徴が見られる。

乳児の場合 ほお・額・頭・口のまわり・首の付け根・耳に湿疹が出やすく、悪化してくると体や手足にも湿疹が広がる。耳の付け根が赤くただれる「耳切れ」は、よく見られる症状。 幼児・学童の場合 顔の湿疹は減り、かわって首・ひじの内側と外側・ひざとその裏側など、関節部に現れるようになる。

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