WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

すこやかライフNo.43 2014年3月発行

小児ぜん息 その他のアレルギー特集 子どもの成長とアレルギー 「アレルギーマーチ」から学ぶアレルギー疾患の予防と管理

アレルギーに関するQ&A

お父さん、お母さんの疑問を解決します!

Q アレルギーを治すことはできますか?

イラストA アレルギー体質(アレルギーを起こしやすい体質)は、遺伝子によるところが大きいため、残念ながらその体質を変 えることはできません。しかし、アレルギー疾患の発症要因は複雑であり、アレルギー体質であっても発症しない人がいます。

アレルギー疾患にかかってしまった場合でも、とくに小児期までに発症した疾患は治る可能性が高いといわれています。これは、乳幼児期から小児期が終わるまでに、免疫系、内分泌系、自律神経系などのからだの各機能が成熟に向かい、それにともなってアレルギー疾患の症状が改善していくためと考えられています。

アレルギー疾患は症状をコントロールすることで、治る可能性が高まり、ほかのアレルギー疾患の予防にもつながります。アレルギー疾患とわかっても、あわてて自己判断せず、わからないことはなんでも主治医に相談しましょう。


Q 免疫療法について教えてください

イラストA 現在のアレルギー疾患は、症状を和らげて悪化を食い止めるための治療が中心となっています。アレルギー疾患を完全に治す治療法は、まだ確立していませんが、アレルゲン免疫療法という治療法が注目されています。

アレルゲン免疫療法は100年前から行われている治療法であり、少量のアレルゲンをくり返しアレルギー患者に投与することで、アレルゲンに対して「耐性を獲得(アウトグロー)」し、体内に入っても反応しない状態にする治療法です。減感作療法、脱感作療法と呼ばれていたこともあります。

アレルゲン免疫療法は、専門医の元での注射による治療が一般的に行われていますが、すべての人に必ず効果があるというわけではなく、通院による治療が長期間に及ぶ問題やアレルギー症状を誘発する危険もあります。

現在、花粉症については、より簡単で安全性も高い、舌下にアレルゲンである花粉エキスを入れる舌下免疫療法が、2014年より保険適応される予定です。また、食物アレルギーについては、症状が出ない程度の量の原因食物をくり返し食べることによって治療する経口免疫療法が試験的に行われているなど、さまざまな研究が進められ期待が持たれているところです。


Q アレルギー疾患は予防できますか?

イラスト

A 現在、アレルギー疾患を完全に予防する方法や薬は、残念ながらありません。しかし、アレルギーについてのさまざまな研究の結果、アレルゲン対策や治療をしっかり行ってアレルギー症状をコントロールすることが、ほかのアレルギー疾患の予防につながると考えられています。なかでもスキンケアの重要性が指摘されています。

ただ一部では、アレルギー疾患は保護者がとても不安に思う病気のためか、妊娠中に卵や牛乳をとらないようにするなど、生まれてくる赤ちゃんのアレルギー疾患の予防対策を自己判断で進めてしまうこともあるようです。しかし、根拠なく食事制限をすれば、必要な栄養素が不足し、子どもの成長に悪影響を与えることもあります。

まずは正しい知識を持ち、不安な場合は主治医に相談しましょう。


Q 子どものアレルギー疾患は大人になって再発しますか?

イラスト

A アレルギーマーチに見られるように、多くのアレルギー疾患は子どもの頃発症し、成長にともない自然にあるいは治 療によって症状が治まっていくケースがほとんどです。しかし、なかにはそのまま成人まで移行したり、また症状や発作が出なくなって何年も経過し、成人して忘れた頃に症状が再発することもあります。

はっきりしたことはわかっていませんが、たとえばぜん息の場合、成長してからだの各器官が成熟していくと、アレルギー反応が抑えられて発作症状が出なくなっていきますが、気道の炎症がわずかながらでも残っていた場合に、かぜや過労、ストレスなどをきっかけに、そのくすぶっていた炎症が再燃するのではないかと考えられています。

大人になってからアレルギー疾患が再発しないためにも、症状が出なくなったからと自己判断で治療をやめたりせず、医師と相談しながら子どものうちにアレルギー疾患をしっかり治療・管理しておくことが大切です。


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