WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

すこやかライフNo.44 2014年10月発行

COPD現場レポート:「隠れたCOPD」を見つけ出し「実感と納得」の禁煙外来を実施

禁煙とCOPDの治療をセット禁煙成功率は80%近くに

1秒率の値が悪い場合は肺のCT検査を行い、禁煙指導は、この画像を示しながら行われます。患者さんは、肺に黒々と穴の開いた様子、そしてCOPDの場合、「95歳以上」と出ることが多い肺年齢にショックを受けるそうです。

先生は、「たばこの害をやさしく説いても、切実に受け止めていただけません。客観的な事実をご覧いただき、たばこの害を実感し、禁煙の必要性を納得することが必要です」と語ります。

禁煙治療薬(バレニクリン)投与を中心とする12週間のプログラム(注1)終了後、さらに1カ月間、薬なしの状態で再喫煙していないか確認し、卒煙証書を渡します。

COPDと診断された患者さんは、この時点で吸入薬による治療を始めます。先生によるとCOPDの患者さんは、特に軽症の場合、禁煙前は「自分はどこも悪くない」と言い張りますが、禁煙後は息切れやたんがなくなったことに初めて気づき、吸入薬でさらに症状が改善されるため、禁煙継続の意思はいっそう強まるそうです。

この“バージョンアップ”後、同院の禁煙成功率は上がり続け、今年は80%近くになる見込みです(資料2)。

(注1) 禁煙外来の標準治療プログラムについては、すこやかライフ37号の医療トピックスをご参照ください

資料2 禁煙成功率の推移

2009年、禁煙治療薬発売、当時成功率42%。翌年2010年、肺年齢測定開始し60%。2013年は72%で、禁煙成功率は上がり続け、今年は80%近くになる見込みです

禁煙治療薬(バレニクリン 商品名:チャンピックス®)・服用のポイント

寺﨑先生からのアドバイス

禁煙治療薬(バレニクリン)の処方に当たっては、担当医から注意事項などの説明を受けると思いますが、ここで服用のポイントを挙げておきます。禁煙外来受診の際、参考にしてください。

「効かない」と、すぐにあきらめない
  • 人によって効き方が違います。
  • 効く人は、最初の1カ月で服用をやめても、禁煙に成功できる場合もあります。
  • 最初、効きが悪くても、1から2カ月続けると効いてきて、禁煙できるようになります。すぐにあきらめず、とにかく3カ月間、しっかり続けることが大切です。
「1本だけ」でもぶり返すニコチン依存症
  • 禁煙治療中や終了後に、つい「1本だけ」と吸ってしまうことがあります。しかし、たとえ1本でも吸えば、ニコチン依存症はぶり返します。禁煙に入ったら、「もう1本も吸わない」決意を。
  • どうしても口さみしいときは、深呼吸をする、冷たい氷をふくむ、ガムを噛むなどしてやりすごしてください。口にくわえる禁煙グッズも有効です。ただしニコチンが入っていないものを選ぶこと。
副作用には対処法があります
  • 主な副作用は、吐き気、腹痛、お腹の張り、便秘など消化器症状です。
  • めまいや眠気、悪夢を見るという副作用もありますが、めったに出ません。ただし眠気はたまにありますので、自動車の運転や機器の操作は避けましょう。
  • 禁煙に入るのは、服用8日目からです。これを機に、それまでの0.5mg錠(白い錠剤)から1mg錠(青い錠剤)に切り替えます。副作用が出るのは、この切り替え直後が多いようです。それで服用を止めてしまう方もいます。
  • 副作用が消化器症状ならば、整腸剤を一緒に服用することで、かなり防ぐことができます。医師に相談してみましょう。胃の不快な症状を抑えるには、水を大量に飲むことも有効です。

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