WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

すこやかライフNo.45 2015年3月発行

小児ぜん息 その他のアレルギー特集:アレルギー児の安心・安全な学校生活のために 入学・進学のときに知っておきたいこと

食物アレルギー児の場合

学校では、給食の時間以外にも食物アレルゲンに触れる機会がたくさんあります。下記のような状況の時は注意してもらえるよう、学校に伝えましょう。とくに行事のときなどは前もって保護者に内容を知らせてもらい、その都度問い合わせをするなどしましょう。
(学校の給食対応については、下記をご参照ください。)

授業中

  • 図工の時間:小麦粘土、牛乳パック、卵の殻などを教材として使う
  • 給食後に牛乳パックを洗って解体する
  • 調理実習
    アレルゲンである食材を使わなくても、前の授業でこぼれた食材が十分にふき取られていないことなどがあります。

体育の時間

  • 食物依存性運動誘発アナフィラキシーがある場合は伝えておきましょう。

その食物を食べただけでは症状が出ないのに、食べた後に運動をすると症状が出ることがあります。食物依存性運動誘発アナフィラキシーを経験したことのある場合は、運動前には原因食物を食べない、原因食物が給食で出た場合は、5時間目の体育は見学する(食後2~4時間の運動を避ける)、じんま疹などが出現したら運動を中止してすぐに先生に伝える、などが必要です。
基礎用語(PDF:273KB) もご参照ください。)

行事のとき

  • 節分のとき、大豆のかわりにピーナッツを投げる園、学校もあります。

宿泊をともなう校外学習のとき

  • 原因食物を使った体験学習をする(牛の乳搾り体験、そば打ち体験、みそ作り体験など)
  • 朝食がバイキングで原材料がわからない
  • 友達がすすめたお菓子を断れずに食べる

このほか、緊急時の医療体制について、学校や宿泊先などと事前に打ち合わせておきましょう。

給食以外でもアレルゲンに触れる機会がたくさんあることを知ってもらう

先生だけでなくクラスメイト全員に、どんな食べ物にアレルギーがあるのか、どう気をつけてほしいのか、伝えておくことが大切です。

子ども自身にも、原因食物を食べたり触ったりしたときの対処を覚えさせるとともに、具合が悪くなったらすぐに先生や友達に伝えるよう、説明しておきましょう。

宿泊行事の際の食事内容については、出される食事の原材料を事前に知らせてもらいましょう。その際、保護者が宿と直接連絡をとっていいのか、学校に間に入ってもらうのか、旅行業者と相談するのかなど、事故を防ぐために納得のいくまで話し合いをしましょう。

今井先生からのアドバイスでした。

給食の対応

学校ガイドラインでは安全を最優先にした「完全除去」が基本

学校ガイドラインでは、食物アレルギー児の安全を最優先に考え、給食では原因食物を一切提供しない「完全除去」が推奨されています。

食物アレルギー児一人ひとりの状態に合わせた個別の対応を行っていると、調理から配膳まで繁雑となり事故が起こる確率が高まるおそれがあるため、「除去は完全に行うこと」を目指しています。

保護者もアレルギー児の安全を第一に考えて協力を

保育所では個別にきめ細かな対応を受けていた場合もあるかもしれません。しかし、学校給食は大量調理であることや、担任の先生が一人でみなければならない児童、生徒数が多いことなど、保育所とは違う事情があります。整備された環境や学校の対応能力がある場合は、個別の対応が実施されることもあります。しかし、学校では原因食物を食べさせない「完全除去」があくまでも基本で、完全に除去したうえで除いた分を代替する「代替食」が理想的なスタイルです。代替が困難な場合は、弁当対応となります。

集団生活の中で事故を起こさないための、アレルギー児の安全を最優先に考えた方法であることに理解をされ、学校と協力していきましょう。

こんな場面にも注意!

隣の席の子が牛乳パックを強く握りすぎて牛乳が飛び、子どもにかかって症状が出てしまいました。

そんな時は

原因食物に触れて強い症状が出てしまうような場合、先生からクラスメイトにそのことを伝えておいてもらいましょう。また、かかった場合はすぐに流水で洗い流しましょう。

  1. (注)食物アレルギーの基礎知識については、環境再生保全機構パンフレット「ぜん息予防のためのよくわかる食物アレルギー対応ガイドブック2014」で詳しく紹介しています。

目次

このページの先頭へ