WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

すこやかライフNo.45 2015年3月発行

小児ぜん息 成人ぜん息 その他のアレルギー医療トピックス:知っておきたい 食物アレルギーの診断と検査の方法

食物アレルギー 診断確定までの流れ

食物アレルギーの原因食物は、下記のような流れで確定されます。

1 問診

症状が出たときに何をどれくらい食べたか、どんな症状が現れたかなどを、医師が患者さんから聞き取ります。

問診のイラスト

2 血液検査・皮膚試験
 診断を補助する検査

原因と考えられる食物に対するIgE 抗体注1を調べるための検査です。原因食物である可能性を示すことができます。

注1
IgE 抗体は、免疫グロブリン(Ig)という血液中に含まれるタンパク質の一種です。Ig には、IgA、IgM、 IgGなどがありますが、アレルギーの発症に深く関係しているのがIgE です。通常、IgE は体内に微量しか存在しませんが、アレルギーを引き起こす原因となるアレルゲンが体内に入ってくると、そのアレルゲンに合ったIgE抗体(抗原特異的IgE 抗体)が多く産生されます。

血液検査・皮膚試験を行いながら除去試験も行います。

除去試験

疑わしい原因食物を除去し、症状が出なくなるかどうか確認する試験です。また、乳児でアトピー性皮膚炎(下コラム参照)がある場合、アトピー性皮膚炎の原因に食物が関連しているのかどうかを調べるために行われることもあります。

3 食物経口負荷試験
 確定診断のための検査

原因と考えられる食物を実際に食べてみて、症状が出るかどうかを調べる検査です。

原因食物は何か、またそれをどの程度食べられるのか、確定することができます。

食物経口負荷試験のイラスト

4 診断確定

注2
問診で原因食物と症状の因果関係が明らかな場合や、血液検査(食品に対するIgE 抗体)の数値が高い場合には、食物経口負荷試験を行わずに、原因食物を確定させることもあります。

診断確定のイラスト


コラム : アトピー性皮膚炎がある乳児の場合、まずはスキンケアを

乳児でアトピー性皮膚炎がある場合、検査を受けないで食物が原因であると判断してしまうのは正しくありません。

アトピー性皮膚炎は必ずしも食物アレルギーが原因ではなく、スキンケアを行うことで症状が改善することがあり、その場合は食物を除去する必要はありません。スキンケアだけで症状が改善しない場合には、「食物アレルギーが関与する乳児アトピー性皮膚炎」の可能性があるため、必要に応じて除去試験や血液検査・皮膚試験、食物経口負荷試験を行い、原因食物を確定させます。ただし、その場合でも肌のバリア機能を保持するために、必ずスキンケアを継続する必要があります。

(アトピー性皮膚炎のスキンケアについては「すこやかライフ43号 医療トピックス」をご覧ください。)


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