WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

すこやかライフNo.45 2015年3月発行

小児ぜん息地方公共団体事業レポート:三重県四日市市 ぜん息児のためのチャレンジ・デイキャンプ

親と子それぞれがぜん息についての知識を深め自己管理方法を習得

デイキャンプには、宿泊型キャンプに比べ、「日程上、参加しやすい」「スタッフの確保がしやすい」「短い時間で効率的に学習できる」といった特徴があります。

四日市市のデイキャンプの場合、これらに加えて、「期間を空けて継続的に指導できる」などの特徴が挙げられます。

デイキャンプ当日、子どもたちは体験学習やレクリエーション、ウォークラリーなどを通じて、ぜん息自己管理の重要性や運動の楽しさを実感し、保護者は医師の講演や座談会でぜん息についての知識を深めました。

四日市市チャレンジ・デイキャンプの特徴

検査を通じて現在のぜん息の状態を把握してもらう

事前・事後評価では呼吸機能を評価する検査を行っています。とくに運動負荷試験では、子ども自身も運動の前後で肺機能が落ちていることを実感したり、保護者が気づきにくい「運動誘発ぜん息」の有無を知ることができます。

4回に分けて、継続して指導

デイキャンプ1回目では、ピークフローの吹き方やぜん息日誌のつけ方、なぜこれらが必要かをぜん息児が体験を通して学び、自己管理の目標を立てます。

その後、2回目のデイキャンプまでの期間は、その目標に取り組むことが自宅での宿題になります。2回目のデイキャンプでは、目標をどれくらい達成できたかを確認し、再度、目標を設定して事後評価まで取り組む、という流れになっています。期間を空けて自宅で取り組むことで、キャンプ後の自己管理継続にもつながります。

写真1
運動療法が専門の三重大学教育学部教授・冨樫健二先生。運動量とぜん息の関係を見るために、運動量を測るライフコーダという機器を子どもに付けているところ

親子別のプログラムを企画

子どもは保護者から離れ、同じぜん息児たちとゲームや体験学習を通じて触れ合いながら、自己管理に対する自立心を養うことができます。

保護者は、医師の講演や個別面談で治療や自己管理の必要性を理解するとともに、子どもの病状を詳しく把握することができます。

写真2
ライフコーダを付けて、レクリエーションを楽しむ子どもたち

デイキャンプ参加の結果を主治医にフィードバック

修了後、4回すべてに出席した児童に「修了証書」を授与しています。また、デイキャンプに参加したことを主治医に情報提供できるよう、呼吸機能検査の結果を保護者に渡します。保護者はキャンプ期間中につけた日誌や検査結果を主治医に提出することができ、その後の治療方針を相談するうえでも役立ちます。

写真3

デイキャンプ参加スタッフ(一部)
前列右から、三重病院・平山淳也医師、三重県立総合医療センター・西森久史医師、三重病院・長尾みづほ医師、三重病院・貝沼圭吾医師
後列右から、三重病院小児アレルギーエデュケーター、三重大学医学部看護学科 准教授・村端真由美先生(4人目)、四日市市環境保全課スタッフ

国立病院機構三重病院 藤澤隆夫先生からのメッセージ

藤澤隆夫先生

四日市市のデイキャンプは、まず、子どもたちのぜん息を客観的に評価することから始めます。そして、自然の中での楽しい企画を通して、定期的な服薬や体力づくり、環境整備などの大切さ、実行の仕方を具体的に学んでもらいます。年間を通じてのプログラムなので、毎日の生活の中で続けることができるかどうかもきちんと評価していきます。「ぜん息があっても元気で活発な子」、これが私たちの目標です。このような活動が全国に広がって、多くのぜん息児が参加できることを願っています。


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