WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

小児ぜん息 成人ぜん息 COPD その他のアレルギーすこやかライフNo.45 2015年3月発行

読者の広場 コラム お答えします! 読者Q&A 聞いてください! ウチのこんなエピソード 教えてください! あなたのしているこんな工夫

コラム すこやかライフ45号発行によせて

薬やその使い方の進歩だけでなく、さまざまな環境の改善に伴ってぜん息で入院する人は幸い非常に減少し、ベッドのやりくりに四苦八苦していた頃が嘘のような気がします。しかし、ぜん息で亡くなる方がゼロになったわけではなく、残念ながらアレルギー疾患は全体として増えている傾向があります。

一方、ちまたにはさまざまな情報があふれております。したがってぜん息やCOPD、アレルギーについてはこれまで以上に、最新でわかりやすく、そして正確な情報を発信する媒体の存在が重要だと思います。現時点でこれらの条件を備えた情報誌はネット配信も始まった「すこやかライフ」以外にはないと思っています。薬や医学情報だけでなく文字通り「健康な生活」のための情報が詰まっているカラフルで読みやすい冊子だと思います。これからもこのコンセプトを変えずに、最新で正確な情報を提供しつづけてくれることを願っています。

同愛記念病院小児科 山口公一

お答えします! 読者Q&A

本誌に寄せられているぜん息&COPDに関するさまざまな悩みや疑問に、専門医がわかりやすくお答えします。

読者Q&Aコーナーの質問は、アンケートフォームから

Q COPDのため、在宅酸素療法を行っています。酸素を吸って3年目になりますが、最近、胃もたれしやすく、食事をするとすぐにお腹がいっぱいになってしまいます。COPDと関係があるのでしょうか? (78歳・女性)

A COPDとの関連が考えられます。食事は4~6回に分割し、呼吸を整えながら、ゆっくりと時間をかけて食べましょう。

お困りですね。食事をするとすぐお腹がいっぱいになり、食欲も落ちてくるというのは、多くのCOPDの方のお悩みと思います。医学用語ではこんな状態を「腹部膨満(ふくぶぼうまん)」と記載します。

COPDでは、肺の過膨張(かぼうちょう)により横隔膜(おうかくまく)の動きが悪く、腹部臓器を横隔膜が圧迫することで、少量の食事で、腹部膨満感が出現します。

同時に、COPD患者さんは安静時でも呼吸運動により多くのエネルギーを消費するために、エネルギー消費量は同年代の方の1.3倍程度になります。「年齢が高くなれば食事の量は少なくなるのは当たり前」と多くの患者さんがお考えかもしれませんが、COPD では増えたエネルギー消費に見合う十分なエネルギー量の摂取が必要です。

しかしながらご質問のように、腹部膨満感や呼吸困難感などにより食欲が出なくなり、1日3回決められた食事では必要栄養量を摂取することが困難となります。そこで、低炭水化物・高脂質の食事メニューを考えながら、腹部膨満感を抑えるために、食事は 4~6 回に分割し、呼吸を整えながら、ゆっくりと時間をかけて食べることがポイントです。この方法で、呑気(のんき:空気嚥下(えんげ)症)を抑え、腹部膨満を減少させることができます。

消化管でガスの発生しやすいイモ類、豆類、カボチャ、キャベツ、大根などの食材や胃にガスがたまりやすいビール、炭酸飲料の摂取は控えましょう。しかし、控えることばかり考えていると必要摂取カロリーが不十分となります。以下のポイントを食事のときの参考にしてください。

  • 自分の好きな献立でよいので、そこからエネルギーを摂取しましょう。
  • 高いカロリーのおかずから優先的に食べましょう。
  • 多すぎて残すことでさらに食欲が低下するので、少量ずつ食べられるだけの量をお皿にとって食べましょう。
  • 楽な姿勢でかむようにしましょう。
  • 食後は小一時間の休憩をして、胃に血液が集まるため忘れずに酸素吸入をしましょう。
  • 口腔ケアが誤嚥(ごえん)を防ぎ急性増悪を予防します。忘れずに歯みがきをしましょう。

昭和大学富士吉田教育部 教授 田中一正先生


Q 気圧や天候の変化でぜん息が悪化してしまいます。症状を安定させるには、どうしたらよいでしょうか?(38歳・女性)

A 日ごろから長期管理薬を使ってぜん息の状態を良くしておくことが重要です。

ぜん息悪化の引き金として、感冒(ウイルス感染)の次に多いのが気圧や天候の変化で、多くの患者さんに起こることです。一番の対策は、日ごろのぜん息の状態をよくしておくことになります。そのうえで、悪化の兆し(咳が増える、胸が苦しい、ピークフローが下がる)が認められたら、早めに、かかりつけの先生に指示されている悪化時の対処法(吸入ステロイド薬を増量する、短時間作用性気管支拡張薬を使用する、経口ステロイド薬を内服するなど)を実施します。

ぜん息の患者さんは気道過敏性といって、気道の周囲の筋肉が、正常の方より変化に対し敏感に反応して収縮し、気道が狭くなります。この気道過敏性を抑えるために、吸入ステロイド薬をはじめとする長期管理薬を使用します。吸入ステロイド薬をきちんと使用してコントロールしておくと、気圧や天候の変化が起きても、悪化しにくくなります。

外来で、患者さんに「台風や雨の時に咳が出たりしませんでしたか?」と聞きますが、このことが気道過敏性が十分に治療されているか判断する指標になります。

病院では、アセチルコリンという気道の筋肉に働く物質を吸入したときの反応性や、呼気中のNO(一酸化窒素)量を見る検査をすることで、気道過敏性や炎症のコントロール状況を判断することができます。

少しのきっかけでぜん息が悪化するようであれば、もう一段階治療のレベルを上げて、十分治療してから、薬物を減量していくことになります。かかりつけの先生に、受診した当日は調子がよくても悪化してしまう状況を躊躇せず、お話ししてください。小発作であっても、繰り返すことで、気道過敏性は悪化しますし、気道の筋肉量が増えたり、気道の周囲が固くなったりして、薬物への反応性が悪くなるという変化が起きてくることもあります。

症状が良くなれば、薬は減らしたいと思うところですが、「十分に使ってから、減らす(ステップダウン)」がいい治療法です。焦って減らさないでいきましょう。

武蔵野大学薬学部大学院薬科学研究科薬学研究所 教授 山下直美先生


聞いてください! ウチのこんなエピソード

うれしかったこと、楽しかったこと、たいへんだったこと、困っていること、失敗談など、ぜん息やCOPDの治療中に身の回りで起こったさまざまなできごとをみんなで話して、気分をスッキリさせましょう!

エピソードの応募は、アンケートフォームから

体からのSOSを見逃さない!(48歳・女性)

以前より落ち着きましたが、とくに季節の変わり目に無理をしたり体調を崩すと、就寝直後にぜん息の発作が出ます。こんなときは、体からのSOSだと受け止め、仕事・家事・育児などを自分でコントロールすることも重要だと考えるようになりました。

散歩を再開して体調も改善(66歳・女性)

飼い犬が亡くなってから散歩にも行かなくなり、体調が悪くなってしまいました。先日、新しい犬の里親になり、散歩に行ったり何かと世話をするようになって、体調が良くなりました。やる気も出てきて、やはり体調にも気の持ちようは大切だと思いました。


教えてください あなたのしているこんな工夫

ぜん息・COPD治療・管理のために行っている「工夫」をぜひ、教えてください。

私の工夫の投稿は 応募フォームから

35歳・女性からの投稿

ダニアレルギーの3歳の息子がいます。外泊するときはベビー布団を持参しています。ちょっと面倒ですが、息子の症状が出ずに安心して旅行を楽しめるので、毎回持っていくようにしています。

22歳・女性からの投稿

ぜん息のある私と娘は、疲れをためすぎない、睡眠をしっかりとることを大事にしています。疲れ、ストレスで発作が多々見られるからです。これからも続けていきたいです。

私の工夫を応募する

※投稿いただいた内容のすべてが、WEB上に掲載されるわけではありません。あらかじめご了承ください。

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