WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

すこやかライフNo.46 2015年9月発行

小児ぜん息 成人ぜん息 その他のアレルギー医療トピックス:いま注目のアレルギー治療法「アレルゲン免疫療法」を知る

これまでの治療との違い、特徴を理解しよう

現在日本では、スギ、ブタクサなどによる花粉症、ダニ、ハウスダスト、カビなどが原因となって起こるぜん息およびアレルギー性鼻炎に対するアレルゲン免疫療法が保険適用となっています。

アレルゲン免疫療法は、花粉症やぜん息の原因がどのアレルゲンによるものか、確認してから治療を開始します。治療方法は、アレルゲンを皮下に注射する「皮下免疫療法」と、舌の下にアレルゲンエキスをたらす「舌下免疫療法」の2種類があります。現在「舌下免疫療法」は、スギ花粉症に対する治療のみが保険適用です。(詳しくはスギ花粉に対するアレルゲン免疫療法参照)

アレルゲン免疫療法を行うことで、アレルギー症状を治したり、長期にわたって抑えたりする可能性があります。それに伴い、いま使用している対症療法の薬を減らしたり、新たなアレルギー疾患になったりするのを抑える効果もあるとされています。

しかし、すべての患者さんに効果が期待できるわけではなく、治療も長期間に及びます。また、すぐに効果が現れるというわけではありません。アレルゲン免疫療法を希望する場合には、これまでの治療との違いや特徴をよく理解したうえで、臨みましょう。

アレルゲン免疫療法の特徴

期待できること

  • アレルギーを根本から治す可能性がある治療法です。
  • 現在使用している薬(ぜん息の場合、吸入ステロイド薬など)を減らせる可能性があります。
  • 新たにほかのアレルギー疾患にかかるリスクを低下させる可能性があります(花粉症の人が将来、ぜん息になるのを防ぐなど)。
  • 新たに別のアレルゲンに対するアレルギー反応が起こるのを防止する可能性があります(ダニアレルギーの人がスギ花粉アレルギーになるのを防ぐなど)。
  • 治療を終了した後も、数年にわたって効果が持続するとされています。

始める前に知っておきたいこと

  • すべての患者さんに効果が期待できるわけではありません。
  • 治療には長期間(3~5年)かかり、定期的な通院が必要になります。
  • アレルゲンを投与するため、注射部位の腫れや、舌下免疫療法の場合は口の中の違和感などの副作用が比較的高い確率でみられます。
  • ごくまれに、アナフィラキシーなどの重篤な副作用が起こる場合があります。

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