WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

すこやかライフNo.46 2015年9月発行

小児ぜん息 成人ぜん息 その他のアレルギー医療トピックス:いま注目のアレルギー治療法「アレルゲン免疫療法」を知る

ダニアレルゲンに対するアレルゲン免疫療法

対象・方法・副作用などについて
対象
  • 軽症から中等症のぜん息患者さんで、ダニがおもなアレルゲンの場合
  • 鼻炎の患者さんで、ダニがおもなアレルゲンの場合

    いずれも5歳以上が対象
    ダニだけでなく花粉や犬、猫、カビなど複数のアレルギーがある患者さん、重症のぜん息患者さん、喫煙している患者さんは、効果があまり期待できず、副作用でぜん息発作が起こる危険性も高まります。

方法

  1. ぜん息(鼻炎)の原因アレルゲンがダニであることを検査で確かめる。
  2. 医療機関に通院して、注射でダニアレルゲンエキスを投与する。
治療期間
  1. 濃度を徐々に高くしながら週1~2回、20回程度投与注1
  2. 「維持量注2」に到達してから3~5年、4週間に1回投与。
副作用
  • 注射をした部位が腫れる、せき、じんま疹など。
  • 日本では、おもに高い濃度のアレルゲンを投与した場合、2~10%でアナフィラキシーを含む何らかの全身反応が見られている。

    注射後、少なくとも30分は医療機関内で安静にするよう指示されます。
    異変があったら直ちに医師や看護師に申し出ましょう。

注1
一部の専門施設では、入院して数日で維持量まで到達させる「ラッシュ法」、数週間で維持量に到達させる「クラスター法」が行われています。
注2
効果の現れるアレルゲンエキスの濃度。

POINT

  • 治療は、症状が落ち着いている安定期に開始します。
  • ぜん息発作が起こったり、風邪をひいているとき、体調が悪いときには治療を受けられません。
  • ぜん息の場合、アレルゲン免疫療法を行っている間も、吸入ステロイド薬やロイコトリエン受容体拮抗薬などの薬物療法(対症療法)は、並行して行います。維持量まで到達すると、徐々にぜん息の症状がよくなり、薬を減らせる可能性があります。
  • ダニが多い環境では、効果が現れにくくなったり、副作用が出やすくなったりします。アレルゲン免疫療法と並行して、掃除などの環境整備も継続して行いましょう。

目次

このページの先頭へ