WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

すこやかライフNo.46 2015年9月発行

小児ぜん息 その他のアレルギー現場レポート:食物アレルギーのある子どもたちの修学旅行時の食事対応について

安全第一を考え完全除去が対応の基本

手順書ではまず、対応の基本を、「アレルゲンの完全除去」と定めました。

たとえアレルゲンであっても、加熱調理などでアレルゲン性を低下させ食べられることもあります。しかし、疲労や緊張状態にあり、少量の摂取でも発症するおそれのある旅行先であることを考慮し、かつ対応の単純化を図るためには、完全除去がもっとも安全と判断した結果です。

「さらに除去食は、普通食の献立と外見が異なるものが望ましいですね」と語るのは、手順書作成の中心的役割を担った同志社女子大学生活科学部食物栄養科学科特任教授の伊藤節子先生です。

除去食でも、普通食と見た目がまったく同じコピー食や似たような形態だと、配膳で間違いが起きる確率がぐんと高まります。

そこで伊藤先生は研修会の場などで、「人はどんなに注意しても間違いを起こし得る」という前提に立ち、たとえばハンバーグ(卵を使用)とポークソテーのように、普通食と卵除去食とを外見からも区別できる献立にすること、また、もっとも安全な方法として、アレルゲンを使わない共通メニューを増やすことを勧めているそうです。集団の中に卵アレルギーの子が含まれていたら、フライや天ぷらの衣には卵を使用しないで調理するといった方法です。

写真1
受け入れ施設を対象とした研修会の様子。繰り返し参加する施設関係者のため、新たに「応用編」の講習も設けている


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