WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

すこやかライフNo.48 2016年9月発行

小児ぜん息 その他アレルギー現場レポート:熊本地震の教訓から学ぶアレルギー児の災害対策

災害対策にも通じる食物アレルギー治療の基本

次に自助のポイントですが、熊本医療センター小児科の緒方美佳先生を主治医とするアレルギー児の保護者や行政担当者のお話から、やはり食物アレルギーの対応食の備蓄が重要だといえそうです。(熊本の教訓から読者の方々へ

また、その前提として「食べられる食品の範囲(種類および量)」を普段から見極めておくことが欠かせません。緒方先生は「不必要な除去はせず、食べられる範囲をできるだけ広げていくというのは食物アレルギー治療の基本ですが、それは災害対策にも通じることです」と語ります。可能であれば、定期的に食物経口負荷試験を受けることが望まれます。

また災害時には、疲労やストレスなどで、普段は食べられる物(量)でも、症状が出る場合があることにも注意が必要です。実際、お話をうかがった保護者のほとんどが、「“卒業”(アウトグロー)したと思った食品を食べて症状が出た」「普段ならば大丈夫な量でも症状が出た」と証言しています。

アレルギー疾患では、ぜん息の長期管理薬、アトピー性皮膚炎のステロイド軟こう・保湿剤など毎日使う薬の備蓄も重要です。かかりつけ医に相談し、10日~2週間程度の長期処方をしてもらって おくと安心です。エピペン® も予備があるとよいでしょう。ただ、災害医療チームなどは、たいていアドレナリンの注射薬を持参していることから、「あまり心配しすぎることはない」(緒方先生)とのことです。お薬手帳を持参することは言うまでもありません。

ある保護者の方は、こう語ってくれました。「病院やお店が開いたと聞いても、毎日を乗り越えるのに精一杯で、外出する気力がわかないのです。危険が残る街に子どもを連れて出たり、車を運転したりしたくなかったですし……」。食料や薬の備蓄は、そんな時のためにも、必要だといえます。


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