WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

小児ぜん息 成人ぜん息 COPD その他のアレルギーすこやかライフNo.48 2016年9月発行

読者の広場 お答えします! 読者Q&A 聞いてください! ウチのこんなエピソード 教えてください! あなたのしているこんな工夫

お答えします! 読者Q&A

本誌に寄せられているぜん息&COPDに関するさまざまな悩みや疑問に、編集委員の先生方がわかりやすくお答えします。

読者Q&Aコーナーの質問は、アンケートフォームから

Q 1歳になる子どもに湿疹ができ、病院でステロイド軟こうを処方されましたが、「ステロイド」と聞き、使用するのが怖いです。子どもに使用しても心配はないのでしょうか?(30歳・女性)

A 乳児であっても、必要量を短期間使用するのであれば、基本的に問題ありません。不安なときは、どのように、どのくらいの量を、どのくらいの期間使ったらいいのか、医師に確認を。

ステロイド薬は副作用の方が注目されやすいのですが、炎症を抑えるもっとも有効な薬です。ステロイド薬には以下のとおり2種類あり、一般的に、局所投与の方が全身投与に比べて投与量が少なく、副作用が少ないです。

  • 注射薬、内服薬:血液を通って、病気の起こっている場所に行く「全身投与」
  • 吸入薬、軟こう:病気の起こっている場所に直接投与する「局所投与」

ステロイド軟こうで注意することは、

  1. 薬としての強さの度合いの違いで、多数の種類があること。
  2. 塗る体の部位や年齢によって、吸収の度合いが大きく違うこと。とくに乳児、そして顔面は吸収が良いので注意が必要です。

そのため、できた湿疹に対して適切な強度の有効な薬を、なるべく短期間使って治癒させることが重要になります。不安だからと不十分な量をだらだら使うのは、湿疹が治らないうえに、副作用が出てしまう危険があります。また、勝手に使わなかったり、途中でやめてしまって病気を再び悪くしてしまうと、かえって使う量が多くなったりしてしまいます。

使用するのが不安でしたら「ステロイドは使いたくない」と拒否するのではなく、「このお薬はどのように、どのくらいの量をどのくらいの期間使ったらいいのでしょうか? 副作用を心配してしまうのですが、いかがでしょうか?」と医師に聞いてみましょう。医師や薬剤師、看護師など医療従事者は、患者さんが「ステロイド」という言葉だけで驚いてしまうのを十分知っていますので、聞いて頂いて大丈夫です。

また、薬による治療と一緒に行う予防法等も教えてもらえます。湿疹はかゆくても「ひっかく」のはいけません。悪化させる大きな要素です。乳児は無意識に「ひっかく」動作をしてしまいますので、そのためにも炎症を速やかに抑えることが大切です。

武蔵野大学薬学部教授 山下直美先生

*ステロイド軟こうの使い方については、すこやかライフ47号「医療トピックス」もご参照ください。


Q いま62歳なのですが、先日、肺年齢測定を受けたところ、90歳代だと判定されてしまいました。良くなる方法はありますか?(62歳・男性)

A 肺年齢の数字だけにとらわれず、呼吸機能検査を正しく行い、正しく評価することが重要です。

「肺年齢」とは正式な医学用語ではありません。肺年齢を出すためには、1秒間に吐き出せる呼吸の量である「1秒量」を用います。この1秒量は、日本呼吸器学会が定めた以下の計算式を使って、年齢・性別・身長から日本人の予測値を計算することができます。

  • 男性:0.036×身長(cm)-0.028×年齢-1.178
  • 女性:0.022×身長(cm)-0.022×年齢-0.005

たとえば、60歳の男性で身長が170cmであれば、通常では1秒量の予測値は3.262Lと計算できます。この数値は正常値ではなく通常の場合の予測(計算)値です。肺は様々な影響を受けるので、本当の意味での正常値というものはありません。この予測値に対して、呼吸機能検査で実際に測定した1秒量の値がどのくらいの割合であるかが計算でき、これがCOPDや気管支ぜん息の重症度に関係します。

また、実際の測定値が分かれば、この数値が何歳に当たるかも逆算できます。これが、「肺年齢」です。COPDという病気が世の中になかなか認知されないため、いかに一般に浸透させるかを考えて「肺年齢」という言葉が普及し始めました。ちょうど、「脳年齢」や「皮膚(肌)年齢」という言葉も流行っていたので、便乗したわけですね。

「1秒量が予測値の70%ですよ」というよりは、「あなたの肺年齢は75歳相当で、15歳分機能が落ちていますよ」と言った方がわかりやすいですよね。

肺年齢を若くするには、1秒量を良くすることです。そのためには、COPDの方で喫煙している場合は、禁煙が第一です。治療薬として、気管支拡張薬を使用することも良いと思います。すなわち、COPDの治療をすることです。

ぜん息の場合は、ぜん息治療をきちんとして、1秒量を良い状態にすることができます。

もう一つ重要なことは、呼吸機能検査は全力でうまくできないと数値が低く出てしまうということです。そうすると肺年齢も悪くなってしまいます。もしかするとご質問の方も、肺機能検査がうまくできずに数値が悪く出た可能性もあります。いずれにしても呼吸機能検査を正しく行い、正しく評価することが重要です。主治医の先生によく相談してください。

亀田京橋クリニック副院長 金子教宏先生


聞いてください! ウチのこんなエピソード

読者の皆様から寄せられた、うれしかったこと、楽しかったこと、たいへんだったこと、困っていること、失敗談など、ぜん息やCOPDの治療中に身の回りで起こったさまざまなできごとをご紹介します。

エピソードの応募は、アンケートフォームから

ぜん息の患者さんに支えられています(39歳・女性)

私は保健師で、ぜん息患者さん宅を訪問することがあります。実は私自身も重症の気管支ぜん息を患っているので、患者さんに「一緒に改善していきましょう」と話すと、みなさん前向きになってくださいます。また、私の症状も重いため、心配してくれる患者さんもいます。私のほうが支えられているんだなぁと、しみじみ感じています。

発作を気にせずできる弓道を楽しんでいます(78歳・女性)

子どものころからぜん息を患っていて、スポーツをしたくても発作が出るのでがまんしていました。以前はジャズダンス、テニス、スキーなど、友人が楽しんでいるのを見ているだけでしたが、最近、静の運動として弓道を始めました。弓道で、姿勢を正して細く長い呼吸をするのが私に合っているようで、楽しみながら続けています。

娘にとって吸入薬は"お守り"(50歳・女性)

2歳のときにぜん息と診断された娘は、今では高校2年生。幼いころは、私が吸入薬の管理をしていましたが、今は娘に任せています。元気になった娘は、ほとんど吸入薬を使うことがなくなっても、いつも携帯しています。きっと、お守りのようで安心できるのだと思います。


わたしのしているこんな工夫

ぜん息・COPD治療・管理のために行っている「工夫」をぜひ、教えてください。

わたしの工夫の投稿は 応募フォームから

ぜん息の方の工夫

40歳・女性からの投稿

11歳の息子は1歳半のときにぜん息の診断を受け、吸入と服薬を続けています。朝・晩の吸入を「歯みがき後」にするようにしたら、歯みがきと吸入をセットで行うのが毎日の習慣になりました

44歳・女性からの投稿

7歳の息子がぜん息のため、毎日、布団の表裏に掃除機をかけています。寝室には布団以外のものは一切置かないようにして、ほこり、ダニ対策を心がけています。

COPDの方の工夫

89歳・男性からの投稿

体調の良いときは、極力外出するようにしています。サイクリングなど軽い運動をすると、気分もよくなります。

75歳・男性からの投稿

水分を多くとり、よく歩き、腹式呼吸をしてリラックスするように心がけています。最近、よく眠れるようになりました。

わたしの工夫を応募する

(注)投稿いただいた内容のすべてが、WEB上に掲載されるわけではありません。あらかじめご了承ください。

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