WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

すこやかライフNo.49 2017年3月発行

ERCAレポート:
呼吸器の病気を予防するためのプログラムに積極的に取り組む2つの地方公共団体に感謝状を贈呈小児ぜん息 成人ぜん息 COPD

事例紹介

愛知県名古屋市

ネブライザー貸与事業、小学生ぜん息教室など特に学童期までの事業に注力

写真1 写真2

小児だけでなく成人対象の「成人ぜん息教室」(写真左)や、教職員や市民向けの講演会も実施している。(写真右)は、小学生ぜん息教室のグループワークの様子

名古屋市では、乳幼児から学童期までを対象とした事業に特に力を入れています。たとえば、ネブライザー貸与事業は、未就学児への貸し出しが多く、貸与時に専門医による講話と保健師による保健指導を保護者に対し実施し、その後も、手紙や電話により、対象児のぜん息の症状や療養状況等を確認し、最大5年間にわたるセルフケア支援をしています。

また、乳幼児健康診査に併設したアレルギーに関する健康診査(相談)事業では、アレルギー疾患の病態や、環境整備についてまとめた指導用シートを作成。質問票によりスクリーニングされた乳幼児の保護者に対し、効果的・効率的な指導を行えるようにしています。

さらに、学童期のぜん息児に対しては、従来の宿泊型キャンプをぜん息児とその保護者を対象としたデイキャンプ「小学生ぜん息教室」に切り替え、個別健康教育やグループワーク、保護者交流会に力を入れたプログラムを多職種協働で実施しています(詳しくは、すこやかライフNo.48・地方公共団体事業レポートを参照)。現在、その効果や課題を踏まえ、新たな展開を模索しているところです。

担当者のコメント

環境局 地域環境対策部 公害保健課 主査 松岡まり子さん

松岡まり子さん予防事業は、第一種地域の指定解除に伴って開始されたものであり、長年にわたる多くの認定患者さんの声のほか、事業に関わってくださった専門医やメディカルスタッフ、さらに事業を担ってきた諸先輩方の力によって、現在の事業が継続できています。今回の感謝状は、市民の皆さんや、事業に関わってこられた多くの方々に贈られたものと理解しています。これを機会に他部署や医療機関等との連携を深めつつ、よりよい事業・施策を企画し、実施していきたいと思っています。

東京都千代田区

小児から成人まで幅広い年齢層を対象に和太鼓、音楽教室などユニークな機能訓練事業を実施

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小児対象の和太鼓教室のようす

千代田区は、和太鼓教室や音楽教室などユニークな機能訓練事業を実施しています。小児には和太鼓や歌を通して呼吸法を学んでもらうほか、専門医の話も加え、継続した自己管理へのきっかけづくりにしています。またその取り組みに当たっては、公害保健と、母子保健や環境衛生の担当など他部署と密に連携しているのも特徴です。

成人に対しては、歌と腹式呼吸法教室を合わせたメニューを用意。参加者に「ぜん息なのに声を出して歌えて驚いた」など、強いインパクトを与えました。昨年11月には、COPD啓発のため千代田区消費生活センター主催の「くらしの広場」に肺年齢測定ブースを設置。130人もの区民が参加しました。なお、肺年齢測定では、機構のスパイロメータの貸与や運営ノウハウを伝授する「パッケージ支援」が活用されました。

昼間人口80万人の千代田区ですが、夜間人口は6万人足らず。区の公害保健担当も兼務の正職員2人と非常勤の保健師1人のみですが、小規模ゆえの機動性を生かした取り組みが、今後も期待できそうです。

担当者のコメント

千代田保健所 地域保健課 地域保健係
主事 西田理紗さん

西田理紗さん肺年齢測定は初めての取り組みだったので、「パッケージ支援」があり、非常に助かりました。小児から高齢者まで幅広い取り組みを評価していただき、うれしく思うとともに、今後とも継続していきたいと考えています。

千代田保健所 地域保健課 地域保健係
公害担当 保健師 三宅規子さん

三宅規子さんソフト3事業実施の前提として、ぜん息・COPDの患者数の推移など、地域の現状を把握する必要があります。そうした意味で公害担当保健師が配属されていることと、その果たす役割は大きいと考えます。今回の感謝状は、私自身の大きな励みにもなりました。


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