WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

すこやかライフNo.49 2017年3月発行

COPD医療トピックス:COPD(慢性閉塞性肺疾患)の栄養療法

筋肉量を増やすために必要な栄養素「分岐鎖アミノ酸(BCAA)」

十分なエネルギーを摂って体重の減少を防ぐことに加え、筋肉量を増加させることができると理想的です。

筋肉をつくるためには、タンパク質の摂取が欠かせません。タンパク質は体の中で「アミノ酸」に分解されますが、アミノ酸の中でも筋肉の保持や増量にもっとも重要な役割を果たすのが「分岐鎖アミノ酸(BCAA 注1)」です。BCAAとは、アミノ酸の種類であるバリン、ロイシン、イソロイシンの総称です。これらのアミノ酸は体の中でつくることができないため、「必須アミノ酸」とも呼ばれています。BCAAは、筋肉の分解を抑制して、筋肉のエネルギー源となります。COPDの人は、呼吸筋を激しく使うため呼吸筋の損傷を防ぐ、という意味でもBCAAは欠かせない栄養素です。

BCAAはおもに、まぐろの赤身、かつお、鶏肉、牛肉、卵、牛乳などに多く含まれています。「」を参考に、一日に8~16g の範囲で、摂るようにしましょう。また、BCAAを強化した栄養補助食品も販売されています。利用してみたい場合は、医師や管理栄養士に相談しましょう。

ただし、筋肉量を増やすためには運動を同時に行う必要があります。「家族でできるCOPD体操」を参考に、適度な運動を心がけましょう。

注1
BCAA:Branched Chain Amino Acid

表:BCAAを多く含む食品

食事量の減少による脱水にも注意しましょう。

人間の体の約60%は水分です。1日に摂取したい水分量は、体重の3%といわれています。つまり、体重50kgの人は1.5ℓを摂取する必要があります。

朝、昼、夕食をきちんと食べている場合は、食事だけで1ℓの水分を補給できるといわれていますが、食欲が低下し食事をふつうの半分程度しか摂れないと、食事から摂れる水分も半分になってしまいます。

水分が不足し脱水になると、体の中の電解質バランスが崩れ、たんも出にくくなるなどCOPDに悪影響が及びます。食欲のないとき、食事をきちんと摂れなかった場合には、水分を意識して摂るようにしましょう。

  1. (注)合併症がある場合は、水分の摂り方に注意が必要なこともあるため、主治医に相談しましょう。

目次

このページの先頭へ