WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

すこやかライフNo.49 2017年3月発行

小児ぜん息 その他アレルギー現場レポート:大阪狭山市の学校給食における食物アレルギー対応

センターで調理する副食の5種類9品目が除去対象

文部科学省の「学校給食における食物アレルギー対応指針」(以下、指針)では、

  • 医師の診断による「学校生活管理指導表」の提出を必須とする
  • 安全性確保のために、原因食物の完全除去対応(提供するかしないか)を原則とする
  • 学校及び調理場の施設設備、人員等を鑑み無理な(過度に複雑な)対応は行わない

などを明示しています。

大阪狭山市の取り組みは、この指針に沿った形で実施されています。大阪狭山市立学校給食センターでは、小学校7校、中学校3校の計5400食を調理しています。食物アレルギーのある児童生徒への対応は、2010年9月に始まりました。対象は、「給食センターで調理している副食注1」と「デザート」です。

副食の対応は、調理段階で原因食物を使用しない「除去食対応」です。誤食防止のため、調理から喫食までの間に、幾重にもチェックする体制もつくりあげています(大阪狭山市の学校給食における除去食調理から喫食までの流れ参照)。

除去対象となる原因食物は、卵/乳製品/いか/えび/かにの5種類。うち乳製品は、牛乳、チーズ、ヨーグルト、バター、脱脂粉乳の5品目なので、全部で「5種類9品目」となります。即時型アレルギー反応を起こす原因食物は、卵、牛乳、小麦、ピーナッツ、果物の順で多い注2とされており、「5種類9品目」とは異なります。その理由は、保護者へのアンケート等を基に大阪狭山市学校給食食物アレルギー検討委員会で「5種類9品目」が決められたためです。

除去食対応の対象となる児童生徒の総数は、今年度は46人。ここ数年は、30人台後半から50人台前半の間で推移しているそうです。原因食物別では、今年度は卵27人、乳製品 17人、いか5人、えび17人、かに14人となっています(合計が46人以上なのは、一人で複数の原因食物の対応となっている児童生徒がいるため)。除去食が提供される日数は、月に数日程度。昨年11月を例にとると、給食があった20日間のうち、6日間でした。

デザートについては、業者から仕入れるケーキやプリン、ヨーグルトなどには卵や乳製品が含まれているため対象の児童生徒には提供できません。しかしデザートは児童生徒の大きな楽しみであることから、かわりにゼリー等が提供されます。

注1
副食:揚げもの、焼きもの、煮もの、炒めもの、あえもの、サラダ、スープ、みそ汁など、主食以外のおかず全般
注2
食物アレルギー診療ガイドライン2016(日本小児アレルギー学会)

写真
かきたま汁(右下)が入った献立の例。卵アレルギーの児童生徒には、調理段階で卵を加えない「すまし汁」が提供される。そのほか、「ポテトサラダ」の日には、マヨネーズを使わない「塩味ポテトサラダ」にするといった対応が取られる


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