WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

すこやかライフNo.50 2017年10月発行

小児ぜん息ぜん息児へのエール:「50号記念座談会」

ぜん息であることをオープンにできる環境に

田中 ぜん息があっても、正しく治療を続ければスポーツだってできるのですが、特に部活動などに打ち込んでいる子どもたちのなかには、ぜん息だと知られると不利になると心配し、隠す子どもも多いようです。

みなさんはどうでしたか?

清水 子どもの頃は、ハンディーキャップを抱えていると思われたくなかったので、ぜん息だということを必死に隠していました。苦しんでいるところを誰にも見られたくなかったので、発作が出たら陰に隠れて一人で耐えていました。両親に心配されるのもすごく嫌でしたね。

寺川綾さん寺川 私は「治療で薬を使う」=「ドーピング」と、自分のなかで変に結びつけてしまい、治療を始めてタイムが伸びたときは「薬のおかげかな?」と自分の本当の実力なのか疑っていた時期もあって。だから、治療をしていることを公表したくありませんでした。でも海外の選手が、泳ぐ直前に薬を「シュッ」と吸入しているのを見て、これはドーピングではなく、病気の治療なのだと思えるようになりましたね。

オリンピックに出場してわかったことなのですが、国内外問わず、選手のなかにはぜん息のある人が多く、治療のために運動を始めたのがきっかけで、アスリートになった人もたくさんいます。

清水 それについて以前、調べたことがあります。2002年から2010年の、日本のオリンピック強化指定選手の4.5パーセントがぜん息をもっているそうです(国立スポーツ科学センター調べ)。

田中 正しく治療をすれば、激しいスポーツをすることもできます。医師の立場からちょっと専門的なことを言わせていただくと、もし「運動誘発ぜん息」が出るのであれば、長期管理薬を見直して、ぜん息のコントロールをよくする必要があります。次に重要なのが、運動前の薬物治療と、ウォーミングアップによる予防。運動する15分前の短時間作用性β2刺激薬の吸入が効果的だといわれています。直前のインタール®の吸入、ロイコトリエン受容体拮抗薬の服用の効果も報告されています。

では、ぜん息の子どもたちが安心して生活できるようにするために、どのようにしたらよいと思いますか。

清水宏保さん清水 薬や治療のことなど何でも相談できる、自分に合った医師をみつけることが大切だと思います。そして、体の声に耳を傾け、自分の体質や状態をよく知ることも大事です。

それから、ぜん息を発症してから現在までの経過を記した手帳のようなものをつくって周囲に状況を伝えられたら、情報共有できていいかもしれませんね。

寺川 自分から周囲に伝えることも大切ですが、そもそもぜん息がどんな病気か知らない子どもも多いと思うので、まずは学校などで教える必要もありますね。ぜん息の知識があれば、体育の時間などに症状が出たときに、周囲がぜん息だと気づいてあげられます。

清水 見た目ではわからない症状もありますよね。「肺がかゆい」と言っても伝わらないですし。そういうことも、知っていただけたらいいですね。

(注)
ぜん息の症状が出ないよう、治療と自己管理を継続することを、ぜん息を「コントロールする」といいます。
ぜん息であることをオープンにできる環境に
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