名古屋市は、1988年から実施してきた「おやこ教室」を、2023年度から「ぜん息児ゼロ作戦!おやこぜん息教室」として新たにスタートさせました。ぜん息の子どもとその保護者がぜん息について楽しく学ぶこの事業についてお話をうかがいました。
名古屋市が2023年度から新たにスタートした「おやこぜん息教室」は、ぜん息の未就学児とその保護者がぜん息について理解を深め、具体的な対処の仕方を学んで日常生活における自己管理に役立てることを目的にしています。
教室はステップ1の「学ぶ」と、ステップ2の「体験」の2回に分けて開催されています。「学ぶ」では保護者と子どもに分かれて、「ぜん息教室」としてぜん息の基礎知識や最新治療について全員参加で学びます。また、「体験」では水泳教室やおやこ音楽教室、おやこサッカー教室といった実技プログラムの中から、参加したいプログラムを選択します(複数選択も可)。
専門医によるぜん息の基礎知識や最新の治療に関する講話、理学療法士による呼吸介助法、腹式呼吸などの講座が行われます。ここでは、ぜん息という病気についての理解を深め、軽度の増悪(発作)への対処法などを学ぶことができます。このほか認定NPO法人アレルギー支援ネットワークによる保護者交流会も行います。
自分の体の構造や、どんなときに苦しくなるのか、服薬を忘れると体はどうなるのかなどを、小児アレルギーエデュケーター(アレルギーに関する高度な知識と指導技術を持つ専門職)が、絵本やクイズを使って説明することで、自己管理についても考えるきっかけになっています。さらに、ぜん息体操や、息を吹き込むとクルクル伸び縮みするおもちゃ「吹き戻し」を使って呼気と吸気について学ぶなど、工夫を凝らした体験型学習を行っています。
「水泳教室(年中・年長)」「おやこ音楽教室(1歳以上)」「おやこサッカー教室(3歳以上)」が行われます。
たとえば音楽教室では、歌やリズム遊びを通じて、ぜん息の症状が出たときに役立つ腹式呼吸を楽しく学びます。簡単な挨拶や言葉で元気よく息を吐いて、腹式呼吸の意識付けをしたり、『はらぺこあおむし』など馴染みのある歌に合わせて簡単なダンスを楽しみながら体をほぐします。活動中には、子どもたちが自分の体のどこに肺や気管支があるかわかるように、各部位の絵を描いた布製タペストリーを使って保健師が説明、お母さんとボディタッチし合う場面もあり、笑い声が上がるなど楽しく学ぶ様子も見られました。
ぜん息の基礎知識や最新のぜん息治療について、専門医が詳しくお話します。
医師講話・理学療法士による講座、アレルギー支援ネットワークの保護者交流会など
ぜん息を学ぶレクリエーション(ぜん息体操・ぜん息クイズなど)
※対象年齢:3歳以上
体を動かしたり、音楽を楽しんだり、体験する中で自己管理について楽しく学びます。医師や保健師がいるので、安心して参加することができます。
症状悪化予防と健康の回復を図ります。年齢や泳力に応じて指導を行います。
声楽家・音楽療法士のもと、歌やリズム遊びを楽しみながら腹式呼吸へとつなげます。
症状を上手にコントロールして運動誘発性ぜん息を予防し、運動の楽しさを学びます。
今回の「おやこぜん息教室」には、定員を大きく上回る応募があり、コロナ前5年間の参加者数に匹敵する約70組が参加しました。あらためて、ぜん息に関する情報へのニーズが高いことを再認識できました。
今年度新たにスタートをした「おやこぜん息教室」、より充実した教室となるよう、これからも検討を続けていきたいそうです。