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コンテンツ 読者の広場

知っておくとためになる!編集委員の皆さんにぜん息やCOPDにまつわるお話をうかがいました。

今回のテーマ
引越し等で、新しい病院にかかる際の注意点
~病院の選び方、自身の病状の上手な伝え方など~

新しい生活の始まりや環境の変化は、多くの人々にとってワクワクするものですが、アレルギーや持病を抱える方々にとっては、新しい医療機関との出会いやその選び方は大きな課題となります。特に、今までの医療機関との信頼関係を築き上げた結果、積み重ねてきた治療の歴史や経験があり、それを新しい医師や看護師に伝えることは簡単なことではありません。

転居先での診察のために準備するもの

転居をきっかけに新しい病院を探す際、まずこれまで受診していた医療機関に診療情報提供書(紹介状)を依頼しましょう。この文書は、新しい医師があなたの健康や治療履歴を迅速に把握するための重要な情報源となります。準備に時間がかかるときもありますから、早めに依頼することが大切です。

さらに、診療情報提供書だけではなく、ご自身でこれまでの様子を書いたものを準備されると、医療機関側は治療方針が立てやすくなります。これまでの自分の病状について、いつから、どんな症状があり、どの治療薬を使って、どのような状態になり、その後どんなときに調子が悪くなるのか、治療薬はどのように変わっていったのか、といったことを予め記入したものを準備することをおすすめします。薬を毎日続けているのか、ときどき忘れてしまうのか、あまり服用できていないのか、といった情報もとても大切ですので正直に書いてください。自分の症状を上手く言い表しにくいときには、ぜん息のコントロールテストの質問に書いてある症状を参考に、今のぜん息の調子はどうか、運動などで困っていないか、咳がでるか、眠れているか、などといったことがどの程度起こるのかを伝えるようにします。

医療機関の情報収集を

新しい医療機関を選ぶ際には、現在の治療内容、ご自身の状態や環境を考慮することが大切です。転居前の医師に、専門の医療機関を受診するべきか、または地域のかかりつけ医にフォローアップを依頼するべきか、確認しましょう。地域や病院によっては、診療のスタイルや方針が異なることもありますので、事前の情報収集や、転居前の医師のアドバイスを受けることをおすすめします。

最後に、医療機関の変更は新しい環境への適応を必要としますが、これを機に自身の病気を見つめ直すきっかけになるといいですね。

お話をいただいたのは...

長尾 みづほ 先生 写真
国立病院機構三重病院 臨床研究部長
長尾 みづほ先生

日本小児科学会認定小児科指導医、日本アレルギー学会専門医・指導医・代議員

本誌に寄せられているぜん息&COPDに関するさまざまな悩みや疑問に、編集委員の先生方がわかりやすくお答えします。

  • Q.1
    気管支炎と気管支ぜん息との違いはなんですか?
    (34歳・女性)
    A.1
    気管支炎はウイルスや細菌が原因。ぜん息は慢性的な炎症です。

    気管支炎はウイルスや細菌が気管支に入り炎症を起こす病気です。通常は発熱や咳、鼻水などの風邪症状からはじまり、痰がらみの咳やひどい咳込みを伴い、2週間程度の経過で症状は改善します。治療は、インフルエンザやRSウイルスなどのウイルスが原因の場合には咳などの症状を抑える対症療法を行い、マイコプラズマや百日咳菌などの細菌が原因の場合には抗生物質を使用します。

    一方、気管支ぜん息は気管支が慢性的に炎症を起こしている病気です。アレルギー体質を持っている人が多く、ホコリやたばこの煙、冷たい空気を吸うなどのきっかけで気管支が狭くなり、息を吐くときにぜん鳴(ヒューヒュー・ゼーゼーすること)がでる増悪ぞうあく(発作)を繰り返し起こします。症状は治療によりすぐに治まることが多いですが、年に数回、ひどい場合には週に数回、増悪を起こすことがあります。治療は、気管支の炎症を抑えるために吸入ステロイド薬などを使用し、増悪が起きたときには気管支を広げる気管支拡張薬を使用します。

    このように気管支炎と気管支ぜん息は同じような症状がでますが、別の病気です。疑わしい症状がある場合には医師に相談すると良いでしょう。

    国立病院機構相模原病院 臨床研究センター アレルギー性疾患研究部長 佐藤 さくら先生
  • Q.2
    第三次健康日本21にCOPDが挙げられたようですが、どのような内容ですか?
    (62歳・男性)
    A.2
    COPDの死亡率を低下させるため、喫煙率の減少などが目標として掲げられました。

    健康日本21(健康寿命の延伸などを実現するため、2000年に厚生労働省によって始められた国民健康づくり運動)の第二次にも「COPDの認知度を80%にする。」という目標がありました。2023年にまとめられた第三次健康日本21では、「COPDの死亡率10万人あたり10.0まで低下させる(現在は13.3)」という目標が掲げられています。COPDの主な原因は喫煙です。喫煙率を下げることで発症の予防が可能となるため、第三次健康日本21でも「喫煙率の減少(20%未満)、未成年喫煙や妊婦の喫煙をゼロにする。」などが掲げられています。

    日本呼吸器学会のホームページには、「COPDの認知度の向上を行うことに加え、発症予防・早期発見・治療介入・重症化予防など総合的に対策を講じる。」と記載されています。

    早期発見し早期に治療介入することで重症化を防ぎ、増悪ぞうあく(発作)を抑制することが重要であると言われています。「増悪」とは、咳や痰、ぜん鳴、息切れが普段よりも悪くなった状態を指します。増悪した時にどう対処するか、主治医の先生と相談しておくと良いと思います。

    COPDには高血圧や糖尿病などの疾患を併せて持つ患者さんが多いと言われています。COPDの死亡率を減らすためには併存疾患のコントロールも重要になります。

    亀田京橋クリニック 副院長 亀田総合病院 呼吸器内科顧問 兼務 金子 教宏先生

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