地球温暖化

途上国における気候変動対策の現状

一口に開発途上国といっても、中国、インド、ブラジルなどのような新興工業国やサウジアラビアやクウェートなどの産油国と、ツバルやバングラデシュのような島嶼国やいわゆる最貧国と呼ばれるような後発開発途上国では、気候変動対策の考え方も大きく異なります。

例えば、南太平洋にある島国は、地球温暖化の影響にとても脆弱な国です。海面上昇などの影響に対して、堤防を造り、生活に支障がでないようにするという考えがあります。このような備えを「適応策」と呼んでいます。

しかし、実際のところこのような国に住む人々は、地球温暖化の影響を受け入れつつ生活を続けなければなりません。こういった国々が必要な適応対策は、国や地域によって様々であり、いったい何であるのか、具体的にどんな対策を含むものなのか、その定義はまだ定まっていません。適応対策の定義によって、求められる対策が大きく変わるため、一つの重要なテーマになっています。

また途上国は、このような適応策を早急に実施するための資金や技術的な支援の必要性を訴えています。影響が大きくなればなるほど、必要となる備えも、それに必要な技術や資金も大きくなります。そのため、世界全体の温室効果ガス排出削減に向けて、すべての国に対して削減を行うよう、とりわけ先進国にもっと大胆に温室効果ガス削減に取り組むことも訴え続けています。

一方、中国やインドなどの新興国が温暖化対策として力を入れているのが、エネルギー効率改善と再生可能エネルギーの導入です。中国やインドではエネルギー消費の増大への対応という観点からも、再生可能エネルギー設備の増産が進んでいます。2008年までの風力発電の導入量では、中国1221万kW(第4位)、インド964万kW(第5位)と、日本(188万kW・13位)を大きく上回っています。また、太陽電池セル生産についても、中国メーカーのサンテックが世界3位のシェアを占め、国別生産シェアでは中国は世界一のシェアとなる(2008年)など、環境技術にも力を入れてきています。

[ 風力発電導入量の推移 ]
風力発電導入量の推移のグラフ

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