助成について

絶滅危惧種イトウ(サケ科)尻別川個体群の再導入事業

活動地域 活動分野
北海道 自然保護・保全・復元
団体名
尻別川の未来を考えるオビラメの会
所在地
〒048-1501
北海道虻田郡ニセコ町富士見65
「ライズ」内 吉岡俊彦様方
TEL:0136-44-2472/FAX:0136-44-2472
URL:http://homepage3.nifty.com/huchen/Obirame/index.html
団体の設立経緯・目的
北海道南部地方をゆるやかに流れる尻別川は「幻の魚」イトウの生息南限です。しかし急激な環境破壊と乱獲のため、現在では尻別川のイトウは絶滅寸前といっても過言ではありません。当会は、そんな「尻別イトウ」を救うために結成されたNGOです。
主な活動対象地域
北海道後志地方尻別川流域
活動形態
実践
活動分野
自然保護・保全・復元
本プロジェクト助成継続年数
2年目

学生ボランティアらの協力を得て行った尻別川産イトウ親魚飼育池の改修作業の様子

活動の概要

活動の背景と目的

サケ科の淡水魚イトウ(Hucho perryi)は、環境庁(現環境省)の『汽水・淡水魚類レッドリスト』(1999)で絶滅危惧IB、北海道の『北海道レッドリスト/北海道の絶滅のおそれのある野生生物リスト』(2000)で絶滅危機種とされ、国際的にも最高度に保護されるべき種の一つです。北海道尻別川はその生息南限であり、最優先で手だてを講じる必要があると考えられます。当会は専門研究者らの協力を得ながら、尻別川産イトウ親魚を飼育し、人工授精によって得たイトウ稚魚を再び川に戻すことで自然繁殖復活(再導入)の呼び水にしようと考えています。当会は国際自然保護連合の「再導入のための指針」(1995)に準拠して、稚魚放流に先立って数年かけて尻別川流域を踏査し、放流に適した地点を探索しました。本事業の主舞台となる尻別川水系倶登山川は、ようやく発見した数少ない適地の一つで、流域住民のみなさまや地元自治体のご理解も得ながら、この川をモデルに再導入手法を確立することを目指しています。

活動の概要

国内初となるイトウ個体群再導入事業ですので、慎重の上にも慎重を期すことが求められています。当会は2001年、保全生物学者らの協力を得て「オビラメの復活30年計画」を立て、2030年までにこの目標達成を目指しています。これまで尻別川産イトウの人工孵化に成功し、引き続き親魚及び稚魚の飼育を継続しています。国際自然保護連合「再導入のための指針」(1995)に準拠することとし、事業実施前後のアセスメントと継続的な追跡調査の責任を自らに課しました。専門教育を受けた多数のボランティアの協力を得て、まず事前に放流地点周辺の環境調査(各レベルにおける河川構造、魚類相、昆虫相・植物相調査など)を済ませ、2004年に初めて稚魚(全個体に標識)を放流した後は稚魚追跡調査のほか、河川構造、魚類相の変化に関する調査を継続しています。また地域社会の合意形成を目指して、事業の意義や調査結果を分かりやすいかたちで伝えるべく、勉強会やシンポジウムを開き、さらにニューズレターやホームページを通して広報活動を行っています。

活動の結果と効果

一般に絶滅に瀕した個体群の復元は、人工種苗の補充のみによってはなしえません。再導入によって再び自立的な個体群を復元するには、当該環境における絶滅要因の排除こそ重要です。当会の活動が地域社会に波及し、2006年度は初めて、自治体河川管理者らとの協議の場が設けられ、当会が再導入実験を進めてきた尻別川水系倶登山川において、これまで魚類など水生生物の自由な通過を妨げてきた落差工5基に新たに魚道を設ける事業計画が決定されました。落差工は、広く河川全体を利用して世代交代するイトウにとって大きな絶滅要因でしたが、ようやく対策されることになりました。このように当会のイトウ再導入の試みが地域社会にも影響を与え、イトウのみならず、尻別川生態系の健全化に寄与し始めたことは大きな成果です。この動きを支流域から尻別川流域全体、ひいては北海道の河川全体に広げることができれば、絶滅危惧種イトウに象徴される北海道の水域生態系の復元も夢ではないでしょう。

(助成金額:811千円)

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