平成28年1月14日(木)、15日(金)に1期生14名、2期生9名のメンバーを対象にした第三回研修を国立オリンピック記念青少年総合センター(東京)において開催しました。
2期生向け研修
研修のねらい
あいあいネット専務理事 壽賀一仁さんの進行で、まず「ファシリテート」という用語の意味について考え、この研修では「促進する(引き出す)」という意味合いで使っていくことを全員で確認しました。次に第二回研修の際に研修生が記入した「現在の課題」、「今後一か月間に重点的に取り組むこと」を振り返り、その後の進捗状況について一人ずつ報告をしました。
明治大学大学院教授 長畑誠さんからパートナーシップ作りが必要な場面を想定したテーマが提示され、即興寸劇(ロールプレイ)を行いました。研修生は、シナリオがなく詳細な条件設定も自分たちで考えるロールプレイに初めのうちは戸惑っていましたが、ロールプレイを行っては振り返るということを3回繰り返すうちに、パートナーシップ作りに重要なこと(インフォーマルな関係作り、リラックスした場作りなど)が明らかになってきました。
壽賀さんの進行で、相手に心地よく話してもらうための聴き方についてエクササイズを行いました。このエクササイズを通して、お互いについての理解や相手の話に興味を持っているアピールがあると、心地よく話してもらえることがわかりました。また、なぜ(Why)・どう(How)を使って質問する場合と、いつ(When)・どこ(Where)・だれ(Who)・何(What)を使って質問する場合を比較して、聞く側と話す側はそれぞれどんなことを感じたかを話し合いました。
長畑さんから、ファシリテーティブな場作りのための対話とはどういうものかについてお話があり、相手の目を通して物事を見つめなおすことだと確認したところで、小グループで対話のエクササイズを行いました。このエクササイズでは、否定をしない、掘り下げたいことがあったらいつ(When)・どこ(Where)・だれ(Who)・何(What)を使った質問をする、聞く人も自分が語りたくなったら語る、「この人のこの考えの背後にはどんな経験があるのだろう」と考えながら対話する、というルールのもと取り組みました。
実際にプロジェクト推進にあたって関係者の協力を得られず苦慮した経験を持つ研修生もいる中、壽賀さんからクイズを交えながら、どうすれば人は動くのかというお話がありました。壽賀さんが海外の現場で活動する際には自分から課題解決のための提案はせず、すべて現地の人々が決めており、彼らと信頼関係を築いて寄り添っている壽賀さんは友達だと認識されているというお話に、研修生は新たな気づきを得ていました。
最後に、2日間の研修での気づきを踏まえ、今後の活動で「ファシリテーティブな場作り」についてどう実践していくかを、アクションプランとして各自作成しました。
日時 | 平成28年1月14日(木)10:00~10月15日(金)15:30 |
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場所 | 国立オリンピック記念青少年総合センター |
内容 | 【研修一日目】
【研修二日目】
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講師 | 明治大学専門職大学院ガバナンス研究科 教授 長畑誠氏 一般社団法人 あいあいネット 専務理事 壽賀一仁氏 |
1961年生まれ。東京大学法学部卒。上智大学大学院修士課程修了。在学中からNGO活動に関わり、卒業後(特非)シャプラニールの職員として活動。その後、国際協力NGOセンター調査研究員を経て、2004年に仲間とともにNPOを設立((一社)あいあいネット)、同会専務理事。住民主体の地域づくりやコミュニティ・ファシリテーションをテーマに、日本国内の地域や、インドネシア、ベトナム等で活動。JICA(国際協力機構)の研修員受入事業のコースリーダーや技術協力プロジェクトの短期専門家も務めている。(特非)ソムニード理事、同アジアコミュニティセンター21理事。
『国境をこえた地域づくり』(共著)、『進化する国際協力NGO』(共著)、『バングラディシュを知るための60章』(共著)、『マイクロファイナンス読本』(共著)、『NGO最前線』(共著)。
東京生まれ。子供の頃、多くの時間を両親の故郷・鹿児島で過ごす。大学時代に日本国際ボランティアセンター(JVC)のボランティアに参加し、そのまま職員としてアフリカを中心に農村開発の支援にかかわる。一時休職して滞在したジンバブウェで、援助ではない交流と対話の可能性に目覚め、2005年からあいあいネットでも活動する。現在はあいあいネットに専念し、日本を含む世界各地の地域づくりの現場で、ファシリテーションを通じたまなびあいの促進に取り組んでいる。立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科、東京外国語大学、フェリス女学院大学非常勤講師。