研修・講座について

平成30年度 第二回若手プロジェクトリーダー研修を開催しました


平成30年10月1日(月)・2日(火)に、若手プロジェクトリーダー3期生を対象としたフィールド実習を岐阜県郡上市において開催しました。

研修のねらい

  • 生きた事例を知り自分のプロジェクトと比較することで、改善と今後を展望する。
  • 地域にどのように根をはやしているか、協働の在り方や方法を知る。
  • より自立化した事業を運営する先輩スタッフの声を聞き、自分のキャリアを見直す。

キーワード
『ステークホルダーとの協働、相互理解の促進と組織のガバナンス形成』

集合、オリエンテーション(石徹白地区内、MAGOEMONにて)

今回のフィールド実習の企画・運営にご協力いただいた郡上里山株式会社の興膳健太さんや石徹白地区で活動する方々にもお越し頂き、今回の研修のねらいやスケジュールを確認しました。MAGOEMONは古民家を利用した食堂で、石徹白地区内の方の憩い・交流の場としても利用されています。

現場訪問①

事前の希望をもとに4箇所の活動地を訪問し、ヒアリングを実施しました。

1)石徹白洋品店

地域の資源と伝統を活かした洋服を制作し販売する「石徹白洋品店」を訪問。平野馨生里さんより、石徹白に移住して洋品店を始めた経緯から、子育てをしつつ衣食住の衣の自給を目指し、藍を育てたり、草木染めをしたり、地域の人の力を借りながら5年で事業を軌道に乗せようとしているお話を伺いました。続いて、2階の商品の展示ルームに移動し、石徹白地域に伝わる「たつけ」という作業着を紹介いただきました。平野さんはこの「たつけ」という、1枚の布から無駄なく裁断されて作られる型を広く伝えたいと考え、全国でワークショップを行っているとのことです。

2)エコツーリズム

石徹白地区のシンボルである白山中居神社の歴史を和田大典さんから伺いました。アースシップというラフティングなどのアウトドア事業をしている中で、石徹白をフィールドにアウトドアフェスティバルなどイベントも企画運営しているほか、この白山中居神社を起点とする禅定道を活用したエコツアーを計画されています。その後、和田さんのガイドのもと、実際に浄安杉という巨木まで歩き、五感を使って、いかに自然を楽しんでもらうか、そのニーズをどのように掘り起こすか、といったインタープリターとしての話も伺いました。古道の再生にも取り組んでいて、将来的には、白山登山を古道で行うエコツアーを行う計画を、熱く語っていただきました。

3)水力発電

石徹白地区で行われている水力発電について、平野彰秀さんにご説明とご案内をいただきました。石徹白と出会い、らせん型の小さな水車の導入、その間の地域の合意形成の経緯や、自ら集落に移り住みNPOの活動から自治会としての活動に移していったこと、最終的に自治体主導で全戸に近い世帯からの出資によって大型の水力発電にこぎつけたなどを伺いました。地域に入っていくときの心構えや、地域・住民の方々との向き合い方など、実践的で貴重なお話を聞くことが出来ました。

4)ツリートップアドベンチャー

「冒険の森」という、森林を活用したアスレチック施設を訪問し、小森胤樹さんから、森林資源の活かし方を林業事業者の視点と、サービス業者の視点からお話しいただきました。冒険の森自体はまだ開業2年目ですが、利用客は着々と増えているとのことで、外部施設との連携など今後の展望を伺いました。その後、植栽地域のニホンジカの課題について実際にフィールドを見ながらご説明頂きました。行政へのアプローチ方法についても、豊富な経験と知識を元にお話し頂き、研修生の事業にとっても参考になるものでした。

これまでの3年間の研修をふりかえるワークショップ

一日目の夕食後に、これまでの研修を振り返り、意見や感想を共有するワークショップを行いました。事業推進のために役立つ知識やスキルを体系的に学べたことや、全国で同じように環境活動に取り組む仲間ができたことが評価されるとともに、プログラム改善のための意見が出ました。

現場訪問の振り返り、ミニシンポジウム

2日目の朝から、1日目の訪問先ごとに、活動内容やその経緯・背景、団体関係者とその関わりのほか、各研修生がヒアリングした内容のまとめを行い、発表しました。1日目の訪問先の講師にもお越し頂き、ディスカッションへの参加、講評の発表などのご協力を頂きました。その後「地域で生きる地域を活かす」をテーマに、講師の方々によるミニシンポジウムを開催し、それぞれから郡上(石徹白)地域の魅力についてのお話や、研修生へのメッセージをいただきました。「やりたいことをやる」「会いたい人には会いに行く」「点をつなぐ」など様々なメッセージは、研修生達の心に強く残ったようです。

現場訪問②

猪鹿庁

最後に、今回のフィールド実習の全体企画・運営にご協力いただいた郡上里山株式会社の興膳健太さんも参画している「猪鹿庁」の事務所を訪問し、興膳さんより獣害対策の活動内容や、団体設立の経緯から運営状況、広報手段、地域の人たちとのかかわり方など、地域で環境活動を行う上でのエッセンスを、映像作品などを踏まえてお話し頂きました。そして研修生、アドバイザー、基金スタッフも交えて2日間を振り返り、今後の活動にどう活かしていくかを発表して、フィールド実習は終了となりました

開催概要

日時 平成30年10月1日(月)~10月2日(火)
場所 岐阜県郡上市
内容 【研修一日目】
  • オリエンテーション
  • 現場訪問①
  • これまでの3年間の研修をふりかえるワークショップ

【研修二日目】
  • 現場訪問の振り返り、ミニシンポジウム
  • 現場訪問②
講師
  • 石徹白洋品店 平野馨生里氏
  • 有限会社EAT&LIVE  和田大典氏
  • 特非)地域再生機構 副理事長 平野彰秀氏
  • 冒険の森inいとしろ 小森胤樹氏
  • 郡上里山株式会社 代表取締役 興膳健太氏
企画運営 郡上里山株式会社
協力 石徹白人
特非)メタセコイアの森の仲間たち

講師紹介

平野 馨生里氏 石徹白洋品店

慶応大学総合政策学部(SFC)卒業後、外資系の広告代理店に就職。郷里の岐阜の地域づくりに惹かれ、U ターン。結婚後、2011 年9 月に石徹白に移住。自宅を改装し、ショップ&ギャラリーの「石徹白洋品店」を2012 年5 月に開店する。

和田 大典氏 有限会社EAT&LIVE

EARTH SHIP 所属。郡上市美並町出身。郡上生まれ郡上育ちのローカルガイドとして四季を通して川でのラフティングやシャワークライミングから山での登山ガイドまで幅広く郡上の大自然の魅力を伝えている。

平野 彰秀氏 特非)地域再生機構 副代表理事

特定非営利活動法人地域再生機構 副理事長。1975年生まれ。岐阜市出身。14年間、東京で商業プロデュース会社、外資系経営コンサルティング会社を経て、2008年春、岐阜へUターン。2011 年秋、石徹白に移住。自然エネルギー導入支援のかたわら、石徹白地区及び郡上市全体の持続可能な地域づくりに携わっている。

小森 胤樹氏 冒険の森inいとしろ

1997 年関西大学大学院工学研究科修了。5年間アークレイ株式会社にて、研究職をしたのち、林業をするため、郡上市の有限会社大原林産にて現場作業員として働く。2012年、代表取締役就任、2017年に代表職を降り、郡上エネルギーを設立。

興膳 健太氏 郡上里山株式会社 代表取締役

1982年生まれ。福岡県出身。2007年3月から郡上に移住。自然体験インストラクターから、狩猟や獣害対策、移住促進など郡上地域を面白くするために色んな企画を日々企んでいる。

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