独立行政法人環境再生保全機構
おしえて大矢先生!こどものぜん息とアレルギーおしえて大矢先生!こどものぜん息とアレルギー

近年、増加が指摘されているぜん息・食物アレルギー・アトピー性皮膚炎などの
アレルギー疾患を持つこどもが健康で安全な生活を送れるように、
アレルギー疾患に関する正しい知識や最新情報、またこれから新学期・新生活を迎えるにあたって
気を付けてほしいことについて、保護者の方などに向けた講演会を開催いたします。

講演 内容

講師 大矢幸弘先生

国立成育医療研究センター アレルギーセンター センター長。1985年名古屋大学医学部卒業、同大学小児科、国立名古屋病院小児科を経て95年国立小児病院アレルギー科医員。2002年から国立成育医療センター(現在の国立成育医療研究センター)アレルギー科医長を経て現職。専門は小児科学、アレルギー学。

講演会の配信は終了いたしました。ご視聴いただき、ありがとうございました。

こちらでは講演会の概要をご紹介します!くわしくは動画をご覧ください

代表的な疾患とアレルギーマーチ

こどもの代表的なアレルギー疾患には、アトピー性皮膚炎(以下、アトピー)、食物アレルギー、そして気管支ぜん息(以下、ぜん息)があります。最も発症が早いのはアトピーで、食物アレルギーは乳児早期の皮膚炎経験者に多くなります。ぜん息は乳児期後期から多くなりますが、今ではコントロールが可能です。
乳幼児期のアトピーを始まりとし、続いて食物アレルギー、ぜん息、アレルギー性鼻炎など、次々と異なる時期に発症することがあり、これをアレルギーマーチと呼びます(図)。アレルギーマーチを防ぐためには、早期治療が重要です。

図 アレルギーマーチ

なぜアレルギーが起きるの?

アレルギーは、抗原(アレルゲン)に起因する免疫反応で、人体に有害な状態が起こります。抗原の大半は食物や花粉、ホコリなどに含まれるタンパク質で、免疫反応の多くはIgE抗体が関与しています。体の炎症のある部位から抗原が入ると特定の抗原に反応したIgE抗体が体内にできます。これを感作(かんさ)といいます。皮膚炎や湿疹などの炎症によりその部位のバリアが低下すると、感作を受けてアレルギーが起こりやすくなるのです。
なお、皮膚の炎症とバリア機能低下により皮膚から抗原が入ると経皮感作を受けやすい一方、口からの少量摂取はアレルギーを抑える免疫が働くことが判明しています(経口免疫寛容)。経皮感作が本格的に成立する前に、早めに食べさせることが有効です。

図 治療法

アレルギー疾患の症状と治療法?

アトピーとぜん息は慢性的な皮膚や気道の炎症と表皮バリアの低下が主な病態です。一方、食物アレルギーは抗原が体に入らなければ炎症は起こりません。そのため、治療は前者2つが炎症に対する抗炎症治療、後者は抗原除去と免疫療法が中心となります。

アトピー性皮膚炎

痒みのある湿疹を伴う慢性疾患です。乳児湿疹はアトピーの可能性が高く、離乳食開始前の発症は食物アレルギーも発症しやすくなります。そのため、湿疹が出たら早く徹底治療をすることが大切です。

〔治療の基本は寛解導入と寛解維持〕
アトピーの治療では、ステロイド外用薬を主とする薬物療法で湿疹をゼロにしてから(寛解導入)、保湿剤によるスキンケアでつるつるの状態を維持(寛解維持)できるように心がけましょう。

食物アレルギー

特定の食物(抗原)を摂取したり触れたりすることでアレルギー反応が起こります。蕁麻疹などの皮膚症状が最も多く、嘔吐・下痢、喘鳴・呼吸困難、意識消失を起こすこともあります。鶏卵・牛乳・小麦・ナッツ類をはじめ、魚卵・魚・エビ・カニ・果物など様々な食物で起こります。

〔治療の基本は抗原除去と免疫療法〕
抗原となる食品を食べない「完全除去」が基本です。友だち宅への訪問や宿泊旅行の際にも、万が一に備えて万全の準備をしましょう。また、医薬品や化粧品などに含まれていることがあるので、原材料にも気を付けましょう。
少量を安全に食べることで治療する免疫療法は医師の指導の下で行いましょう。

気管支ぜん息

慢性炎症がある気管支が何らかの刺激で収縮することで発作が起こります。こどもの2割程度が経験しますが、近年は治療法が良くなったこともあり、半数以上は自然に治ります。
治療の目標は、慢性炎症をなくし普通の生活ができる状態にすることです。治療で発作がない状態が続くと炎症はなくなり、薬がなくても発作が出なくなります。将来に長引かせないよう、こどものうちからしっかりと治療しましょう。

〔治療の三本柱〕
薬だけが治療ではありません。将来に長引かないよう、こどものうちからしっかり治療しましょう。
*気管支の炎症を抑える(薬物療法)
※長期管理薬は炎症を治す薬(主に吸入ステロイド)、発作治療薬は発作時に気管支を広げる薬です。
長期管理薬は症状がなくても毎日使いましょう。
*原因となる刺激(ダニ・ホコリ・ペット・たばこなど)の除去(環境整備)
*体力をつけ体調を整える規則正しい生活

大矢先生メッセージ

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